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ヒットの裏にマーケあり

ヒットはバグによる偶然の副産物。佐渡島さんが語る「本の領域を超えて読者の世界を変える」方法とは?

NFT、メタバースなどが持つ可能性とは?

高橋:昨今はNFT(非代替性トークン)やメタバースなどの普及も著しいですが、そのようなデジタル領域についてはどのように見ていらっしゃいますか?

佐渡島:コルクとしてNFT事業(※)は検討しています。いずれメタバースでファンが集うと考えていて、その際に自分の好きなマンガや、自分と同じタイプとか親しみのあるキャラクターのアバターを身に付けてイベントに参加したいという方も多いと思うんです。

 なので、マンガのアバターと、ファッションなんかも揃えられるようにして、一人一人の心が満足するようなアバター事業をやっていこうかなと。

 (※)コルクは2022年1月1日に新サービス「METABA」を開始

 一般的に多くの人は自分が何を好むかでアイデンティティを規定していくので、好きなものを身にまとえて、そのもの自体のまねができるということが重要だろうと思っています。プラットフォーム運営はたくさんの方を相手にして満足させるビジネスになっていくのが常なので、あえてNFTで一人一人の生き方が変わっていくきっかけを作りたいな、という感じです。

高橋:NFTやメタバースとキャラクタービジネスやアバタービジネスは、ものすごく相性が良さそうですね。

佐渡島:そうですね。それに、普段売れる前からその作品や作家の方を応援してくださっている読者がいても我々が視認することはできないのですが、アバター化することで、何かの集まりがあった際に初期のアバターを持っていたら、ずっと応援してくださっている方というのがひと目でわかります。

 それはすごくうれしいことだし、他のファンも「あのアバターはすごい証しなんだ!」ってなって、そのアバターの持ち主は誇らしく思えると思うんです。プレミア感が出ることでアバターの価格も上がるかもしれないですしね。

 NFT事業を通じて、そのようなファンコミュニティができていったらいいなと思っています。

マンガはリッチでチープな複層的なコンテンツへと進化していく

高橋:そのコミュニケーションはすごくリアルにイメージできます。キャラクタービジネスをはじめとするエンタメのマーケットは特にそうですが、ファンがいるマーケットで息の長い商売をしていくときに、その顧客ロイヤリティは重要ですよね。

 ブランドを好んでいる、使っている、良く知っている自分に誇りを感じるのは、まさに先ほどおっしゃった「自分が何を好むかでアイデンティティを規定する」のとつながっていて、この傾向はライフスタイルを誰もが発信できるSNSの登場で加速したように思います。

 NFTやメタバースは、インターネット以上に出版業界を脅かす存在になるとの見解も一部でありましたが、集いやすい性質も相まって、作家の方にとっても新たなチャンスになりそうですね。

高橋飛翔(たかはし・ひしょう)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイル株式会社を創業。

 ナイルにて、累計1,500以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足。2018年より新規事業として月1万円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

佐渡島:ある種もう1つのビジネス空間が出来上がるということで、集いやすいし、権利の保全なんかも自然に行われるので、すごくやりやすくなるでしょうね。それに、我々の情報の消費量が速くなっていて、1つのものだけをじっと見ているのが難しくなっているので、誰とどう見て、どんなコメントをするかという風に、コンテンツ自体をメタ的に楽しむことが重要になってきていると思うんです。

 そう考えると、これからの時代はリッチとチープが組み合わさった複層的なコンテンツであることが大切になっていくのかなと。

 1人の作家による完成物の作品は世界の50人くらいで良くて、それ以外の作家の方々は、メタバースでインタラクティブにファンといっしょに作り上げていくといった作品になっていくんじゃないかな、と予想しています。

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この記事の著者

高橋 飛翔(タカハシ ヒショウ)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。

 ナイルにて、累計1,500社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足し「ナイルのマーケティング相談室」「ナイルのコンテンツ相談室」などを運営。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2022/04/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/38796

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