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マーケター必読!論文のすすめ

マーケティングに、なぜ、今、ビジネスモデルが必要とされるか【論文紹介】

 日本マーケティング学会が刊行する『マーケティングジャーナル』の内容を噛み砕いて、第一線で活躍中のマーケターに向けて紹介する本連載。今回のテーマは「ビジネスモデルとマーケティング」。産業の枠組みが揺らぎ、デジタル技術の活用が進む中、ビジネスモデルと向き合うことの重要性が高まっています。

ビジネスモデルとは何か

 ビジネスモデルとは、何でしょうか。広く共有されている理解にもとづけば、ビジネスモデルとは、企業などが事業上の諸活動をいかに組織化し、目標を達成するかを記述したものです。事業活動を進め、プロジェクトのゴールとなる目標を達成する。そのために必要となる要因の組み立てを図式化したものが、ビジネスモデルです。

 ビジネスモデルの役割は、事業を支え、拡大に導く各種の事業活動の構図をとらえ、示すことです。皆さんはビジネスモデルを描くことで、事業の全体像を俯瞰したり、事業の課題や前提を共有したりすることができるようになります。さらにビジネスモデルは、事業計画の検討、投資家やパートナーへの事業の収益性や成長見込みの説明といった、さまざまな個人起業家や既存企業の経営やマーケティングの場面でも役立ちます。

マーケティングの文脈でのビジネスモデルの系譜

 ビジネスモデルという言葉が盛んに用いられるようになったのは、比較的新しい現象です。企業経営の文脈において事業活動の構図を描き出そうとする試みは、古くからあります。1990年代の半ば以前には、こうした構図は、マーケティング論や競争戦略論などの枠組みのもとで論じられていました。しかし1990年代の半ば以降になると、ビジネスモデルとして論じられることが多くなっていきます

 1990年代は、大量生産・大量消費型の社会の爛熟期であり、かつ新たな社会への移行がはじまる時期でした。コンピュータと通信が結びつき、産業のフロンティアの開拓が急速に進みます。情報技術が社会のあり方を変え、新たな方向へと産業を導いていく動きが本格化していきます。

 情報化社会への移行という現象は、1970年代ごろから広く社会の注目を集めるようになっていました。そしてこの動きが1990年代に進んだコンピュータのパーソナル化、ウィンドウズOSの登場、インターネットの一般利用の開始、そしてモバイル通信の普及などによって加速化し、社会や産業のより広い領域に影響を与えます。こうして1990年代の後半には、「ドットコム・バブル」といわれるインターネット関連の新規事業や新興企業への投資ブームが起きます。

 このドットコム・ブームのなかで、次々と新しい事業の仕組みが編み出され、「ビジネスモデル」と称され、もてはやされていきます。後にこのブームがもたらしたバブルははじけますが、ビジネスモデルという言葉は生き残り、インターネット関連の事業だけではなく、幅広い事業の仕組みや企業活動の構図を指す言葉として定着していきます

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時代のなかで増していたビジネスモデルの出番

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この記事の著者

栗木 契(クリキ ケイ)

神戸大学大学院 経営学研究科 教授
1966年、米・フィラデルフィア生まれ。1997年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)、『マーケティング・コンセプ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/38835

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