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「プロダクトでプロダクトを売る」SaaSの新潮流・PLGを実現するには? ベーシックに聞く組織作り

 SaaSビジネスが急速に拡大し、競争が激化している。いかに成長を続けるかは各社の課題だろう。ベーシック社は自社プロダクト「formrun」において、佐々木 陽氏の指揮のもとSaaSビジネスの戦略の1つであるPLGモデルへ舵を切り、年次成長率200%を達成させるとともに本腰を入れてPLG事業部を設立した。PLG成立条件や、組織作りに必要な考え方は何か? 佐々木氏に聞いた。

SaaSの戦略「SLG」と「PLG」

MarkeZine編集部(以下、MZ):佐々木さんは2020年11月にベーシックの執行役員・CSO(Chief Strategy Officer)に就任され、全社戦略の策定とともにSaaS事業の推進を担っていますね。具体的な取り組みの一つにPLG事業部の設立があります。

 PLG(Product-Led Growth)というと、プロダクトの魅力を利用者に知ってもらい口コミなどから販売につなげる、いわゆる「プロダクトでプロダクトを売る」という戦略ですが、なぜそのような部署を作ったのでしょうか?

佐々木:私自身が以前PLGの会社をしていた背景もありますが、ベーシックが持つ「formrun(フォームラン)」というフォーム作成に特化したプロダクトとの出会いがきっかけでした。当時は3人のチームで細々と運営されていたものですが、PLGの成立条件をすべて満たしていました。

株式会社ベーシック 執行役員 CSO PLG事業部長 佐々木 陽氏
株式会社ベーシック 執行役員 CSO PLG事業部長 佐々木 陽氏

 まずPLGと対照的に語られるSLG(Sales-Led Growth)についてご説明すると、SLGは多くの日本企業が取り入れており、書籍『THE MODEL』に代表されるモデルです。つまり、マーケティングチームがリードを集めて、インサイドセールスがホットリード化させ、営業チームがクロージングを目指し、受注が成立するとお客様に商品を使っていただくためのオンボーディングプロセスをサポートチームが行い、顧客体験が始まるという流れです。

PLGが成立する3つの条件

佐々木:SLGは営業活動がユーザーを集めます。一方でPLGはプロダクトがユーザーを集めるので、成立条件がSLGとは異なります。条件の1つ目であり絶対に必要なことが、TAM(最大の市場規模)が大きい領域であること。2つ目は低価格帯であること、3つ目にすぐに使えるシンプルなプロダクトであること。

 PLGのプロダクトは、まずは多くの人に使ってもらうことが重要です。例えば月間の商談単価を30万円と設定した瞬間に、支払い可能なユーザーはギュッと狭くなりますよね。市場が縮小するとユーザーが限られるためPLGは成立しません。ですから、低単価であることも大切です。

 さらに、シンプルにその場で使い始められるか否かもPLGでは重要視します。サービスに登録してからセッティングに1~2ヵ月を要するプロダクトはPLGの成立要件から外れます。

 formrunを見た時にいずれの条件も満たしており、本当のPLGに進化できるサービスであると思いました。そこで、プロダクトの磨き込みを開始したのです。SaaSの様々なKPIが改善しやすくなったタイミングで、きちんとした組織を作り第2第3のPLG型製品を生み出すためにPLG事業部を立ち上げました。PLG事業部では今後、先程挙げたPLGの成立条件を満たしたプロダクトを継続してローンチさせていく予定です。

formrunはフォーム作成に特化したフリーミアムモデルのSaaS
formrunはフォーム作成に特化したフリーミアムモデルのSaaS

MZ:ちなみに、formrunのTAMはどれくらいの規模ですか?

佐々木:世の中のすべてのフォームをformrunにしていくことを北極星に置いています。ですから、「国内外問わずフォームが設置可能なサイトであればすべて」という考え方をベースに持っています。日本の稼働Webサイトだけでも約2,800万サイトあると言われており、そこに海外も含めるとTAMの規模は圧倒的に大きいと考えています。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/05/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/38926

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