「キッコーマン豆乳」を筆頭に豆乳を主とする商品を手掛けるキッコーマンソイフーズは、スマート・アド・セールス(以下、SAS)を活用し、テレビマーケティングの改革を進めている。GRPという全体量でしか測ることのできなかった状況から、データドリブンなテレビマーケティングの実現へ。SASを活用することで、具体的になにがどう変わったのか? キッコーマンソイフーズでマーケティングを統括する荻生康成氏、同社にSAS活用を提案し今日まで一連のプロジェクトをサポートしてきたジェイアール東日本企画の志賀辰之助氏、SASの開発・提供を主導する日本テレビ放送網の巽 直啓氏を取材した。
※本記事は、2022年5月25日刊行の定期誌『MarkeZine』77号に掲載したものです。
定期誌『MarkeZine』77号 特集:デジタルで進化するテレビマーケティング
第1回:本格化するテレビ広告のDX──視聴者・サービス提供者・広告主の変化に見る「テレビ活用」最前線
第2回:大切なのは、顧客理解×サービス/プロダクトに基づくマーケ戦略。ノバセル田部氏が語る本質的なテレビ活用
第3回:テレビ視聴の浸透、計測の進化──OTT広告が持つ可能性
第4回:テレビマーケティングの進化を支えるサービス群
第5回:キッコーマンソイフーズが語るSAS活用 データを武器に進める「テレビマーケティング改革」(本記事)
第6回:デジマの経験はテレビCMにどう活きる?「バクラク」のマーケターに聞く
時代の変化・テクノロジーの進化にともない、テレビ広告にも変革を

キッコーマンソイフーズ株式会社
マーケティング本部 企画開発部 部長 荻生康成氏

株式会社ジェイアール東日本企画
メディア・コンテンツ本部
メディアマーケティングセンター
メディアプランナー 志賀辰之助氏

日本テレビ放送網株式会社 営業局 営業推進部
主任 巽 直啓氏
――はじめに、キッコーマン豆乳のマーケティング戦略におけるテレビCMの位置づけを教えて下さい。
荻生:健康志向や植物性といったキーワードへの興味関心の高まりを受けて、豆乳のマーケットはこの10年で約2倍の規模に拡大しました。ですが、人口比で見ると豆乳飲用者は4人に1人くらいで、我々としてはまだまだ成長の余地があるマーケットであると思っています。
さらなる市場拡大に向けて、現在豆乳を飲む習慣がない方々へ豆乳の良さを伝えるとともに、キッコーマン豆乳について知っていただく機会を創出していくために、テレビCMはマーケティングの中で重要な位置づけにあります。もちろん、SNSをはじめとするデジタル領域のコミュニケーションツールや交通広告、イベントなども取り入れていますが、いずれと比べてもテレビCMのほうが間口が広いことは間違いありません。たとえば、テレビを所有している方としていない方、Twitterを利用している方と利用していない方を比べても、そのボリュームの大小は明らかです。
ただ、テレビCMを打つにしてもやり方は考えていかなければいけません。独自のターゲティングの方法を見つけるなど、工夫が必要だと考えています。
――キッコーマン豆乳では、2021年10月からSASを活用されています。志賀さんがSASを活用したテレビCMの出稿を提案した背景は?
志賀:私は、元々外資系の広告代理店でメディアのバイイングとプランニングに従事していました。海外のメディア取引に接する機会も多かったので、相対的に今の日本のテレビ広告取引の課題点を認識しており、特に広告主様側のユーザビリティが低いことに問題意識を持っています。具体的には、海外ではテレビCMにおいても「ターゲットに対して広告を投下する」というルールが絶対的なものとしてあります。ターゲットに対するCPMで取引をする方法や、SASのようにピンポイントでCMポジションをバイイングする方法が主流で、これはつまり、広告主がターゲットへの接触量やコスト効率を把握した上でメディア戦略を設計できる、ということです。
対して、日本のテレビCMの取引はGRPという全体量で取引がなされます。この方法では、どれくらいターゲットとの接触量が見込めるかが不明瞭であり、またデジタルと同じ指標で効果検証を行うこともできません。キッコーマンソイフーズ様にはこうした現状の課題をご説明した上で、ターゲットへの接触量を把握するアプローチとしてSASを用いたテレビCMの出稿をご提案しました。
荻生:これまでテレビ広告において論点となるのは、「実施するか、しないか」もしくは「どのくらいの規模で展開するか」といったことでした。一方、デジタル広告では定めたターゲットへ広告を打つなど、データを用いた施策が可能です。「やるか、やらないか?」という施策規模の話で終わらせるのではなく、統合型のマーケティングコミュニケーションを本当に真面目にやったらどうなるんだろう? という議論をしていた中で、志賀さんの話は非常にわかりやすく腹落ちする内容でした。
巽:高度経済成長期で大量生産大量消費の色が濃かった時代から変化し、生活者のメディア接触も消費行動も多様化が進んでいます。一度にたくさんの人へメッセージを届けられるのはテレビCMの大きな特長ではありますが、それだけでは広告主様のニーズに応えられなくなってきている、という課題感は以前からありました。そんな中、海外では2016年ごろからデジタル広告と比較してテレビ広告の価値を再評価する動きが出てきていた。なぜだろう? と調べていく中で、海外のテレビCMのセールス方法に課題解決の糸口を見つけ、広告主様に新たな選択肢を提供する目的でASS(※2)を開発しました。
提供開始以降もデータの拡充や機能のアップデートに注力しており、ビデオリサーチ様の視聴率データに加え、インテージ様、CCCマーケティング様の購買データや、TVISION INSIGHTS様と東芝様のテレビ視聴質データ、インサイトシグナル様のアンケートデータなどを活用することができます。
SASとは?
オンラインで15秒・1枠からCM枠を購入できるサービス。9社のデータベンダーから提供されるデータを参考に、自社のターゲットに合ったCM枠を選ぶことができる。2022年5月時点で24の放送局が購入可能な枠を公開しており、広告主は、SAS専用サイトもしくは「枠ファインダ(※1)」にて、無料でCM枠の検索および価格の閲覧が可能。
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- この記事の著者
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。
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