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特集:デジタルで進化するテレビマーケティング

大切なのは、顧客理解×サービス/プロダクトに基づくマーケ戦略。ノバセル田部氏が語る本質的なテレビ活用

 2022年2月にラクスルから事業分割し、運用型テレビCMを中心としたマーケティングプラットフォーム事業の運営企業として分社化したノバセル。2018年から「運用型テレビCM」というコンセプトでテレビCMの効果可視化と運用ノウハウを提供してきた同社だが、この4月には定量調査サービス「ノビシロ」、競合他社のCM分析サービス「ノバセルトレンド」など新たな事業展開を発表した。テレビCMにデジタルマーケティングの手法を持ち込み、テレビCMのエクスペリエンスを変えた同社が新たな事業をスタートした狙いはどこにあるのか。そして運用型テレビCMへの注目が年々高まるなか、今後のテレビマーケティング市場はどう変化するのか。ノバセル株式会社 代表取締役社長 兼 ラクスル株式会社 取締役CMOの田部正樹氏に聞いた。

※本記事は、2022年5月25日刊行の定期誌『MarkeZine』77号に掲載したものです。

2010年代半ば以降、テレビマーケティング市場に起きた変化

──ネット広告の存在感が大きくなるに連れ、テレビCMは「効果が見えない」「かつてほど影響力はない」と言われてきましたが、一周回って最近ではテレビCMを主軸とするテレビマーケティングに注目が集まっています。そのきっかけとなったのが「ノバセル」に代表される運用型テレビCMの普及だと考えているのですが、まずはこの運用型テレビCMについてどのようなものなのか教えてください。

田部:運用型テレビCMとは、デジタルマーケティングの考え方を取り入れたマーケティング手法です。テレビCMの広告効果を可視化して、真にクライアント企業の事業成長につながる戦略立案・メディアバイイング・クリエイティブ制作などを行っていくもので、当社以外にも様々な企業が独自のサービスを展開しています。テレビCMの効果分析もそうですし、地方局のテレビCM枠に出稿してテストする方法、クリエイティブをA/Bテストにかけて勝ちパターンを見つけるなどいくつかの手段があります。

 そうしたなか、2018年に親会社であるラクスルで、自分たち自身がCMを出稿して大きく売り上げを伸ばしてきたノウハウを外販しようということで立ち上げたのが「ノバセル」です。

ノバセル株式会社 代表取締役社長 兼 ラクスル株式会社 取締役CMO 田部正樹(たべ・まさき)氏 1980年生まれ。大学卒業後、丸井グループに入社。主に広報・宣伝活動などに従事。2007年テイクアンドギヴ・ニーズ入社。営業企画、事業戦略、マーケティングを担当し、事業戦略室長、マーケティング部長などを歴任。2014年8月にラクスルに入社。マーケティング部長を経て、2016年10月から現職に就任。ラクスルの成長を約50億かけて事業成長を実現してきたマーケティングノウハウを詰め込んだ新規事業「ノバセル」を2018年に立ち上げ急成長を牽引。2021年12月ノバセルの代表取締役社長に就任。
ノバセル株式会社 代表取締役社長 兼 ラクスル株式会社 取締役CMO
田部正樹(たべ・まさき)氏

1980年生まれ。大学卒業後、丸井グループに入社。主に広報・宣伝活動などに従事。2007年テイクアンドギヴ・ニーズ入社。営業企画、事業戦略、マーケティングを担当し、事業戦略室長、マーケティング部長などを歴任。2014年8月にラクスルに入社。マーケティング部長を経て、2016年10月から現職に就任。ラクスルの成長を約50億かけて事業成長を実現してきたマーケティングノウハウを詰め込んだ新規事業「ノバセル」を2018年に立ち上げ急成長を牽引。2021年12月ノバセルの代表取締役社長に就任。

──「ノバセル」をリリースされた当時、テレビCM市場はどういったフェーズにあったのでしょうか。

田部:元々テレビCMは「商品やサービスを、網羅的に多くの人に知ってもらう」という認知手段として使われていました。それが変化し、認知度向上だけで測るのではなく、テレビCMにも具体的な売上や新規顧客獲得効果が求められるようになったのは2014年頃だったと思います。

 2014年頃から、メルカリや当社のようなITスタートアップ企業がテレビCMを始めました。当時はネットビジネスが成長していく中で、既存ビジネスにもネット化が波及していた時代です。そうした企業群が、テレビCMで不特定多数に認知を取るよりも「テレビCMを見た人が、実際にどれだけ自分たちのビジネスに寄与したのかを知りたい」という考えの下でテレビCMの効果を考えるようになりました。考えてみれば、通販番組などのテレビCMは以前から「テレビCMを流して何件電話がかかってきたか」という指標で効果を測っていたわけですから、そうした考え方がネットビジネスを展開する企業のCM出稿においても広がってきたのは自然な流れだったかと思います。

 また、当時のラクスルの事情もあります。売上規模も少なく、外部から資金調達を行った後にテレビCMを出稿するにあたり、具体的な効果や売上へのインパクト、費用対効果を明確にしなければならなかった。そのようにして私たちがテレビCMを通じて大きく成長をする中で「テレビCMも使い方によって売上に寄与できるし、費用対効果もある」ということを実証してきました。これは当社に限らず、テレビCMを出稿してきたITスタートアップ企業のみなさんも強く感じられたことだと思います。

 このような背景があり、市場も少しずつ「テレビCMは膨大な広告宣伝費をかけられる企業のためのものではなく、勝ちパターンを見つけられれば、十分にスタートアップ企業にも利用できる手段だ」という理解が深まり、裾野が広がりました。そして、「ノバセル」のような運用型テレビCMソリューションを活用し、効果を見える化することで、デジタルマーケティングとテレビは対立するものではなく、掛け合わせて相乗効果を発揮できるという認識が広まってきたのだと捉えています。

──なるほど。ちなみに、テレビマーケティングにおける変化のなかで、コロナ禍の影響はありますか。

田部:コロナ禍でビジネスのインターネット化がさらに進みました。同時に、広告宣伝費に対する厳しさやコストカットも増えてきましたし、効果の見える化に対するムーブメントは大きくなっています。そのような背景の下、市場全体が運用型テレビCMに期待を寄せていますし、その動きはより加速している感じがしますね。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/05/27 11:08 https://markezine.jp/article/detail/39005

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