自社とクライアントの利益を両立させるために
当社では、再現性を持って成果を出せる優秀な人材や、クライアントに対して本質的なサービスを提供できる人材はどんな人材なのかを明確に言語化しています。その上で、実際にクライアントの集客数や売上を伸ばせるケイパビリティ、あるいは、クライアントすら気付いていない潜在的なマーケティング課題を示すことのできるケイパビリティなどを人事考課において評価できるよう、グレード制を採用しています。
具体的には「こういうことができるとグレード1、こういうことまでできるとグレード2」といったように、各グレードの要件を言語化・明文化し、社員に開示・共有していますが、ここにおいて留意していることの一つは、具体性と抽象度のバランスです。要件を具体的にし過ぎると、職務内容が少しずつ異なる社員たちに対して汎用的なグレード定義にはなりませんし、細かくパターン分けし過ぎてしまっても、運用が成り立ちません。逆に、抽象的過ぎてしまうと「結局これって何ができていたらOKなんだっけ?」となり、意味を失ってしまいます。そのため当社としては、たとえば「上司の伴走を必要とする度合い」を盛り込むなど、尺度の持たせ方を工夫することによって調整しています。

グレードが高い社員は、結果的に大きな売上貢献・利益貢献をすることになります。そういった意味で定量成果と能力評価がまったく紐づかないということにはならないのですが、少なくとも、個々人に「売上目標」「粗利目標」などの数字目標を課していません。皆、自身のケイパビリティ向上と、提供品質向上を目指し、業務を推進しています。
各社員の工数管理をしっかり行うことも品質担保に確実につながっています。誰がどのアカウントにどの程度の時間を投下しており、足し上げた総工数は適正域に収まっているかどうか。もしスポット的に稼働がかかることがあるにせよ、それを本人として、また、組織として、自覚的に扱えているかどうかが非常に重要であると考えます。
ちなみに、当社は個人目標型の管理を行っていないこともあって、メンバーが相互に稼働面で助け合うことが自然発生的に行われることにもつながっています。「無理を生じさせない」ことが、継続的に成果を出すためには合理的であり、重要であるということです。