情報収集チャネルとしての「ウェビナー」
コロナ禍以降、「ウェビナー」は、その手軽さから「検索」に次いで情報収集に使われるチャネルとなっています。
そのため、数多くの企業がウェビナーを実施し、この2年で身の回りにはありとあらゆるジャンルのウェビナーが開催されるようになりました。今や「ウェビナー疲れ」という言葉が生まれるほど、参加者は良くも悪くもウェビナーに慣れている状況です。少し前であれば、企業はウェビナーを行うだけで一定以上の成果を出せたところが、「とりあえず」ただ実施するだけでは確実に失敗に終わってしまいます。
コロナ禍の自粛モードが落ち着きを見せ、少しずつ生活が「リアル」に回帰していることもあり、「ウェビナーは成果がでないからリアルに戻そう」という企業もいるかもしれません。
しかし、マーケティング手段として、ウェビナーには他の施策には代えがたい優れたメリットがあります。コロナ禍の一時的な代替品ではなく、企業は「ウェビナー」という合理的な顧客接点をこの先も長く有効活用すべきです。
マーケティング手段としてウェビナーのメリット
- 「1対多」の顧客接点機会を創出できる
- 居住地に囚われず、全国から集客が可能
- 開催コストがリアルよりも抑えられる
- 参加者の参加ハードルがリアルよりも低く、リード獲得しやすい
私はマーケティング担当者の方からウェビナーに関するご相談をいただくことが多い立場ですが、ウェビナーを実施してみたものの思った成果が上がらず、継続的な施策に落とし込めていないケースも多く見られます。
そこで本稿では、ウェビナー施策で悩みを抱えている方に向けて、巷でよく見られる3つの失敗ケースをあげながらその要因を解説していきます。後編ではその失敗要因を踏まえた、成功するウェビナーのノウハウをまとめる予定です。
失敗ケース1:「とりあえずウェビナーをやったが効果がでない」
では早速、ウェビナーの失敗ケースを紹介していきます。経験者のかたの中には「あるある」とうなずかれるかたも多いのではないのでしょうか。
相談者Aさんのケース
「とりあえず自社サービスのデモウェビナーをやってみましたが、想定よりも参加者が集まらず……。でも初回だし、こんなものかって感じですね。一応また3ヵ月後にやることは決まっていますが、目標人数を集めるには何を改善したら良いのか教えてください。」
初めてのウェビナーを自社のサービス紹介から始めてみた、というパターンです。
サービスデモウェビナーを行うこと自体は間違ったことではありません。しかし「なんか違う……」と感じでしまう理由は、ウェビナーの「目的が不明瞭」だからです。「ウェビナーをやること」自体が目的になってしまっている、最もありがちな落とし穴です。
基本的なステップですが、まずはウェビナーの目的を整理していきましょう。
マーケティング活動において、ウェビナーでは大きく3つのことが実行できます。
ウェビナーを実施する主な3つの目的
- リード獲得
- リード育成
- リード選定
1→2→3という一連の体験の中で、ナーチャリングまでできるのがウェビナーの利点ではあるものの、この3つの目的すべてを1つのウェビナーで同時に実現しようとするあまり、一番解決したい課題が不明瞭になってしまいがちです。企画の内容によって、「リード獲得」に向いていて申込をとりやすいものや、「リード選定」に向いていて商談化率が高くなるものもあります。
今回のAさんのケースのような、「サービスデモウェビナー」の企画の場合、新規リード獲得を目的にするのは難しい運用形態と言えます。まだあなたの会社のサービスを知らない新規層にとって、いきなり「サービスのデモをお見せします」と言っても、なかなか申し込みは集まらないでしょう。
新規の「リード獲得」をしたいのであれば、ノウハウなどを発信する「お役立ちウェビナー」や、それを2社以上の会社で合同で行う「共催ウェビナー」の方が目的に合います。
一方で「サービスデモウェビナー」は参加してもらった人にサービスのデモを見てもらえたり、そもそも参加している時点で一定の興味を持ってくれているため、参加後の商談化率は高い傾向があります。