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米国最新事情レポート『BICP MAD MAN Report』

マーチン・ソレル氏のS4 Capitalが開拓していく、デジタルコンテンツの先行市場

コンテンツがクライアントの先をゆく

 日本では「クライアントに寄り添う」受け身コンサルの姿勢が見受けられるが、S4 Capitalにおいては「コンテンツ製造者(メーカー)」の立場で、先出しする姿勢で事業を伸ばしている。Appleが「ガラケー」に見向きもせず「iPhone」を登場させたイメージとダブる。

 S4 Capitalの主要クライアントの多くはテック系である(図表1)。

図表1 S4 Capitalの主要クライアント(2021年11月S4 Capital発表資料)
図表1 S4 Capitalの主要クライアント(2021年11月 S4 Capital発表資料

 それに続くスモールビジネス側のテック・クライアントたちにもS4 Capitalはコンテンツ・メーカーとして先出し投資を行い、共に成長している。たとえば、Amazonの音声読書の「Audible」部門には、Amazonでさえ作り得ないコンテンツを、S4 Capitalが提供している様子がうかがえる。

 また、S4 Capitalの売上総利益の構成は、額の大きなクライアント(売上総利益15億円以上)が少数で、9割以上のクライアントは1億円規模という収益構造だ。特筆すべきは、時系列で観察すると、小さい利益のクライアントが主として大きく育ち、共に成長していくモデルが浮かび上がること。「伸びる顧客」に絞った受注を可能にしているのは、「よだれが出るほどのコンテンツや、それに向き合う意思・姿勢」を先出しし続けている結果だ。

 そのS4 Capitalだが、2021年の決算で監査のPwCから「待った」がかかり、2022年4月に入ってピーク時の半分の株価が吹き飛んだ。筆者はこれを「新しいことの予兆」として捉えてみたい。ソレル氏の新しい仕組みが先行するあまり、旧来のデューデリジェンスでは追いつけない状態が発生している。結果発表を待ってみよう。

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この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/07 14:27 https://markezine.jp/article/detail/39057

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