Amplitudeは、国別・業界別にアプリとWebサイトの利用状況を紐解いたトレンドレポートを発表した。
同レポートは食品、金融、教育、ヘルスケア&ウェルネス、メディア・エンターテインメント、法人向け(B2B)SaaSなど、約1,600社が展開する数千のアプリとWebサイトにおけるMAU(Monthly Active User:月間アクティブユーザー)の推移に着目し、国別・業界別でユーザー行動のトレンドを公開する。調査結果の概要は以下の通り。
業界別で見たアプリ・Webサイトの利用状況
オンライン学習や学習管理などの教育関連サービス、動画配信・音楽ストリーミングなどのエンタメ系サービス、および出前や食材宅配サービスなどの食品関連サービスでも、アプリやWebサイトの利用に新型コロナウイルスの感染状況の影響が大きく現れた。
食品関連サービスにおけるアプリのMAUは、2020年1月から2021年12月の間に162ポイント上昇。WebサイトのMAUは68ポイント上昇した。これらのサービスではアプリ利用の増加が目立ったものの、Webサイトの方がより頻繁に利用されており、食品関連サービス全体のMAUのうちWebサイトが72%を占める一方、アプリは28%という割合に留まった。また、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年4月には、食品関連サービスにおけるWebサイトのMAUが1カ月で50ポイントと急増した。
プロジェクト管理、CRM、CCM、SMBマネジメントなどを含むB2B SaaSを展開するサービスは、リモートワークを実践する企業の増加にともない、2020年前半に急速に成長。その後も高い成長率を維持している。特にWebサイトのMAUは、リモートワークが導入され始めた2020年2月から4月にかけて103ポイント増加した。これらのサービスはWebサイト経由でアクセスされているケースが多く、2021年12月時点でアプリが全体(Webとアプリの合算)に占める割合は12%にとどまっている。
オンラインバンキングや家計簿アプリなどの金融系サービスも順調に成長しており、2020年1月から2021年12月の期間で、Webサイトは61ポイント、アプリは92ポイントMAUが増加した。これらのサービスではアプリユーザーが圧倒的に多く、2021年12月時点でのアプリのMAUは、WebサイトのMAUの3倍となっている。ヘルスケア関連のオンラインサービスでもアプリのMAUの割合が大きく、全体の74%がアプリを利用。Webサイトは26%にとどまった。これらのサービスはアプリ・Webサイト共に2021年1月時点のMAUが急増したため、新年をきっかけにダイエットやフィットネスを始めた利用者が増加したことがうかがえる。
国別でわかるアプリ・Webサイトの利用状況
また本調査では国別の数字も公開している。それによると、2020年1月から2021年12月の約2年間で、全世界のアプリのMAUは36ポイント、WebサイトのMAUは57ポイント上昇していた。2021年12月時点の全サービスにおけるアプリとWebサイトのMAUの内訳として、54%がアプリ、46%がWebサイトという割合となっており、事業者はWebサイトとアプリのどちらかではなく双方への投資が必要なことがわかる。国別データを見ると、日本を含む調査対象国におけるアプリのMAUは全体的に似た傾向を示しており、2020年3月ごろから急増している。
WebサイトのMAUも2020年春に利用者が増加しており、新型コロナウイルスの感染拡大が背景にあると考えられる。日本では他国より遅れて利用者の増加が始まり、2020年6月にピークを迎えた。その後、2021年3月から再度増加傾向にあり、リモートワークの実施率が増加している時期と重なっている。移動中にモバイルで作業するのではなく、デスクでPCを使って作業することが多くなり、Webサイトの利用に拍車をかけたものと考えられる。
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