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ヒットの裏にマーケあり

YouTubeチャンネル登録者数50万人超の石井亜美さんに聞く、親しみやすいコンテンツ作りの裏側


直接指名されるために始めたYouTube

高橋:すごいですね。過去のオーディションをもとにクライアントが求めていることをデータとして蓄積して、さらに、自己分析も行い合格率を上げていく。どのような商品でもターゲットのいる場所で、そのターゲットに合わせて見せ方を変えて訴求していかなければ売れないですから。

「振り返りノート」を書く石井さん

石井:とはいえ、これだけで生計が立てられるようになったかというと、それほどでもなくて(笑)。

高橋:そうなんですか? 分析によってご自身の強みや受かりやすい傾向もつかめているのに。

石井:モデルのオーディションって、そもそも話す機会がないものがほとんどなんですよ。行って30秒くらいで合否が決まることも多くて、キャラクターを出す間もなく終わってしまう。自分の強みはわかっているのに、強みを発揮できないまま落とされ続けるのはすごく苦しかったです。

高橋:それで自分から発信していけるYouTubeに目を付けたというわけですね。

石井:はい。たった30秒のオーディションで何十人もモデルが呼ばれて1人選ばれる確率より、最初から自分が選ばれるレールを作ったほうが早いなと。そのきっかけを作るために、YouTubeチャンネルを開設し、手探りながら動画配信を始めました。

高橋:同じ土俵の上では魅力が伝わらないのであれば、土俵自体を変えて戦う。その視点はものすごく大切だと思います。私も会社を経営するにあたり、指名していただけるブランド作りを意識しています。

 というのも、事業の場合は比較されると値段を叩かれて、どんどん利益が下がっていくんです。そうすると絶対に儲からない会社になってしまうので、自社名で検索されて、指名で発注いただけるようになることを常に考えながらやっています。

流行りを取り入れるより、自分らしい発信が効果的だった

高橋:受け身が当たり前の環境で逆転の発想をできたことが、モデル業を確立する大きなきっかけになったと思うのですが、自己PRとしてのYouTubeを始めるにあたって、どのような戦略を練られたのでしょうか?

石井:初めはとにかくバズることばかり考えていて、流行りのものをひたすら取り入れていました。でも、全然鳴かず飛ばずで。知人のアドバイスもあって、私だから発信できる内容に変えたんです。

 具体的にはストレッチやダイエットといった体作りに関する内容なのですが、当時はストレッチなどの動画自体が少なかった上、あってもビジネス要素が強いものばかりでした。そこで、視聴者の方が求めている動画を意識的に作ったところ、視聴者数と登録者数がどんどん伸びていきました。今では50万人以上の方がチャンネル登録をしてくださっています(2022年6月末時点)

高橋:自分らしさを表現できるテーマで、さらに見せ方でライバルと差を付けたことが勝因になったんでしょうね。私も動画を拝見しましたが、石井さんは姿勢や振る舞いなどで自分のモデルとしての価値を伝えつつ、視聴者のためになるコンテンツとしてしっかり作り込んでいると感じます。

 モデルの仕事につなげるという目標に合致させながら、プロセスを楽しんでいる様子も伝わってきました。

 石井さんがYouTubeチャンネルを開設した7年前は、モデルでYouTubeをしている方がほとんどいなかったとのことですが、SNSが身近になっている今でも他のモデルさんと差別化されていて、独自の場所にいらっしゃることも、人気につながっているんだと感じます。

マーケあり!ポイント

・モデルの仕事だけでは、オーディションで選ばれるのを待つだけになってしまうと考えた石井さん。そのような業界の中で自分の強みをアピールするために、自ら発信するスタイルを選びました。業界の常識的な仕事の取り方にとらわれず、試行錯誤の中で新たな手法を見つけることが、現在の成功につながっています。

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登録者数50万人を突破させた、独学のマーケティングとは?

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この記事の著者

高橋 飛翔(タカハシ ヒショウ)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。

 ナイルにて、累計1,500社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足し「ナイルのマーケティング相談室」「ナイルのコンテンツ相談室」などを運営。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/06/28 11:47 https://markezine.jp/article/detail/39250

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