電通グループは、世界58市場から収集したデータに基づき取りまとめた「世界の広告費成長率予測」の改定版を発表した。同予測は年に2回実施しており、今回は2022年、2023年、2024年予測の更新となる。なお、今回より、将来予測および過去データに遡及し、ロシア市場の数値を除外している。結果概要は次の通り。
2022年の世界の広告費成長率は下方修正も、8.7%の成長見込み
2022年の成長率予測は、世界的な期待インフレ率の上昇にともなう個人消費の減少を反映し、前回1月予測から0.4ptの下方修正となった。
半面、コロナ禍からの回復基調の継続、世界的な各種スポーツイベントや主要国における選挙などによる広告出稿需要の増加もあり、8.7%の成長を見込む。これは19.6%の成長となった2021年に続き2年連続の増加となり、その市場規模は7,385億米ドルになると予測。デジタル広告費は、引き続き全体の成長を牽引し、2022年の成長率は14.2%、総広告費に占める割合は55.5%になる見通し。
今後も、世界情勢には不透明感があるものの、広告市場は堅調な成長が続く見通しで、2023年には5.4%、2024年も5.1%の成長を予測。
2022年も全地域でプラス成長
2022年も昨年に引き続き、北米、西ヨーロッパ、中央および東ヨーロッパ、アジア・パシフィック(日本含む)、ラテンアメリカ、中東などのすべての地域で成長率がプラス成長となる見通し。市場規模のトップ5は、米国、中国、日本、英国、ドイツ。2022年に高い成長が見込まれる市場は、インド、米国、ブラジル。
※将来予測および過去データに遡及し、ロシア市場の数値を除外
2022年の世界の広告市場について
媒体別では、2021年に15.6%成長であったデジタル広告費が、2022年においても14.2%と高い成長を維持。世界の総広告費に占めるデジタル広告費の割合は55.5%に達する見通しだ。成長を牽引するのは、動画広告(+23.4%)、ソーシャルメディア広告(+21.9%)、検索連動型広告(+12.9%)と予想されている。
テレビ広告費は、主にFIFAワールドカップ・カタール大会などにより3.6%、ラジオは5.0%、映画館(シネアド)やOOH(屋外/交通)については、社会的活動への規制が緩和されてきたことにともない、それぞれ19.6%、11.5%の成長を予想している。一方、新聞と雑誌については、デジタル配信は増加傾向だが、紙媒体の減少により、それぞれマイナス成長(△4.1%、△2.7%)となる見通しだ。
業種別では、デジタル機器の使用機会の増加などにより、テクノロジーセクターの成長率が 11.3%と最も高い見通し。また、小売業も、eコマース市場の成長や新規参入企業、新たな小売りプラットフォームのローンチなどにより、11.0%成長と、全体を牽引する主要なセクターの1つになると予測されている。
2022年の日本の広告市場について
2022年の日本の広告市場は、デジタル広告で12.5%の成長、マス4媒体で0.3%の成長、それ以外の媒体でマイナス成長を見込むことから、全体では0.8%成長となる見通し。デジタルはソーシャルコマースの活発化や民放公式テレビ配信サービスであるTVerにおいて民放キー5局による同時配信が始まるなど、新たなデジタル動画サービスなどの提供に伴う広告市場の拡大が期待されている。
※「米州」: 北米、ラテンアメリカ、「EMEA」:ヨーロッパ、中東、その他、「アジア・パシフィック」:日本を含むアジア太平洋
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