Z世代は、ゆるくコミュニティとつながりたい?
鈴木:本セッションのテーマであるZ世代とSDGs・社会課題の領域には、未来に目線を向ける部分が共通していると私は考えています。お話を聞く中で、パネリストのお2人を結ぶキーワードはやっぱり「コミュニティ」ではないでしょうか。
私の感覚としていわゆるaround20の人たちは、コミュニティに関して距離感を感じているように見えますが、長田さんいかがでしょう。
長田:彼ら彼女らはしっかりとコミュニティの中に入りたいとは思っておらず、ゆるくつながる程度の関係性を心地よいと感じる傾向があります。そのような関係性を保てる場を求めているけれど、どこにもないという感じなのだと思いますね。
この世代は、友達をSNSで作るというのも当たり前です。それは、やっぱりゆるくつながったままでいられるからでしょうね。今日いつ遊ぶとか、何をするとかいちいち互いに言う必要のないゆるい関係だけど、なんとなく同じ時間を過ごしている。そんな感覚が心地よいと考えています。だからこそ、しっかりつながり続けることに抵抗感がない、むしろ心地よく感じる上の世代のコミュニティのあり方に距離感を感じることにつながっているのではないでしょうか。
河村:Z世代とコミュニティという点は、我々もデジタルとアナログを使いながらお店で交流できるということを意識している部分はありますね。いわゆるLTVの観点も含めて、Z世代の方々にどう注力していくかはポイントになっていくと思います。
ブランドがもたらす「ゆるい安心感」
鈴木:そういう意味では、お店をコミュニティセンターという位置づけにするといろいろと課題ややれることが出てきそうです。長田さんは先ほどZ世代にインタビューをしているとおっしゃっていましたが、SHIBUYA109は元々お店がコミュニティになっているわけですよね。
長田:はい。「SHIBUYA109に来る子たち」という1つの共通認識が皆の中にあると思います。そういった心理的な前提やゆるい安心感は、ブランドだからこそ作れるものではないかと考えています。やっぱり、無印良品さんがやっているからこその安心感というのはありますし、ライフスタイルとしてもなんとなく皆さんが共通でイメージできるおしゃれさがあって、それが心地よさを感じさせてくれます。そういう位置づけに企業やブランドがなることが、SDGsの課題においてもよい解決策なのではないでしょうか。

鈴木:今まではどうしてもブランド自身が主体になっていたから、コミュニティといっても「とにかくブランドが好きな人たち」という感じでした。しかし今のZ世代にとっては、共通の価値観をゆるくつなげてくれる存在というポジションにブランドがなっているのだと思います。
先ほど河村さんのお話にあった防災イベントもそうですよね。無印良品さんというブランドが間に入ってくるだけで、ハードルが下がって参加しやすくなります。企業やブランドは今後そういう形で、Z世代がコミュニティとつながり社会課題に向き合うアクションを助ける立場になっていくのかなと思いました。
河村:そうですね。今、世の中全体が「世の中にいいことを」という方向に向かっていこうという動きがあります。私たちもその中でZ世代にも目を向けつつ、いろいろな取り組みを今後もやっていければと思います。