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デジタルマーケティング研究機構(DMI)Forum

Z世代と社会課題をつなぐのは企業!SHIBUYA109 lab.と無印良品が見据える、現在と未来

 2022年7月25日(月)に開催された「第二回デジタルマーケティング研究機構(DMI)Forum」では「Z世代のこれからの動向とSDGs」をテーマにセッションが開催された。Z世代は社会課題やSDGsへの関心が高いと言われているが、これからの未来を左右するこの2つのテーマにおいて企業はどんな役割を持つのだろうか。モデレータのニューバランスジャパン・鈴木健氏、パネリストのSHIBUYA109エンタテイメント・長田麻衣氏と良品計画・河村玲氏の3名によるディスカッションの内容を、本稿でレポートする。

Z世代の生の声を集める「SHIBUYA109 lab」とは

鈴木:本日は「Z世代のこれからの動向とSDGs」というテーマでセッションを開催させていただきます。SHIBUYA109エンタテイメントの長田さんにはZ世代、良品計画の河村さんにはソーシャルグッドの文脈で、それぞれお話しいただきたいと思います。

デジタルマーケティング研究機構イノベーション委員会 鈴木健氏ニューバランスジャパンのDTC&マーケティングディレクターを務める。

デジタルマーケティング研究機構イノベーション委員会 鈴木健氏
ニューバランスジャパンのDTC&マーケティングディレクターを務める

長田:「SHIBUYA109 lab.」という若者マーケティング機関の運営をしている長田と申します。SHIBUYA109 lab.は、弊社のターゲット層である「around20」という15~24歳の男女の方たちの価値観を知ることをメインに、2018年から活動しています。

 SHIBUYA109エンタテイメント SHIBUYA109 lab. 所長 長田 麻衣氏 調査会社に新卒で入社したのち、5年前にSHIBUYA109エンタテイメントに入社してマーケティング部の立ち上げとSHIBUYA109 lab.の設立および運営を行う。
SHIBUYA109エンタテイメント SHIBUYA109 lab. 所長 長田 麻衣氏
調査会社に新卒で入社したのち、5年前にSHIBUYA109エンタテイメントに入社してマーケティング部の立ち上げとSHIBUYA109 lab.の設立および運営を行う

鈴木:Z世代ではなく、around20と呼んでいらっしゃるんですね。

長田:そうです。近年はZ世代と呼ばれる世代だと思いますが、弊社としてはずっとaround20と呼んできました。SHIBUYA109 lab.には2つの役割がありまして、まずSHIBUYA109のマーケティング活動のためのデータを集め、分析すること。そして、もう一つは外部の企業さんと連携しソリューションを生み出すことや、マーケティングのサポートといったことをやっています。

 我々の具体的な活動としては、毎月200人ほどにSHIBUYA109の館内でアンケートを取っています。「今何が流行っているの?」とか「この前の選挙は行った? 行かない理由は?」といったことを直接ヒアリングして、生の声を集めています。Z世代の方々と話していると、ミレニアル世代の私が共感できる部分もありますが、一方でSNSの使い方などは斬新で違いを感じるところもありますね。

 今日のセッションテーマにも関係してきますが、「やっぱりZ世代はSDGsに興味があるんでしょ?」といった言葉を聞くことは多いですね。ただSDGsに限らず社会課題についてはZ世代だけが非常に関心があるというよりは、人によっても度合いは様々なので単純にZ世代でひとくくりにしすぎないほうが良いと感じます。

Z世代が社会課題に関心を持つ背景とは?

長田:弊社では「SHIBUYA109 lab. EYEZ」という、Z世代と一緒に社会課題を考えていく活動をやっています。実際にZ世代の話を聞いていると「社会課題には興味あるけど、自分の意見を言いにくい」「もっと知識を蓄えないと炎上するかもしれない」という慎重な姿勢が見えてきます。だから、まずは彼らや彼女たちが自分のスタンスを考えていくための知識や情報を提供することが必要な段階だと感じています。

長田:SHIBUYA109 lab. EYEZでは30人ぐらいの大学生と活動していますが、たとえば「ファッションにおいてこういう社会課題がある」といったことをみんなで深堀りしていきます。その中でメンバー自身が知るだけではなく、自分たちの目線で他のZ世代たちに向けて、SNSでの発信などを通して情報を提供できるようになりました。

鈴木:Z世代が社会課題に関心があるのは、どういった理由があるのでしょうか?

長田:彼らは、学校教育の中で社会課題との接点が多かった世代です。小学生の時から地球の環境について学び、SNSを通してジェンダーの問題をインフルエンサーが発信しているのを見てきました。実際に集中豪雨などの異常気象や、地球温暖化が深刻になっている現在の状況を見ながら育ったという背景もあります。社会課題に対して、「自分たちが未来の子供たちのために解決すべき問題だ」と考える高校生や大学生が当たり前のようにいる世代です。彼らには既に社会課題を自分事として捉える意識がマインドとして備わっている、しかし知識がないという状態なのでしょう。

 同時に、周りの目をすごく気にする世代なので、「自分が意見を掲げたら周りにこう言われるかも」「知識不足だと炎上しちゃうかも」といった不安を強く感じて、一歩が踏み出せないという傾向もあります。

 ですが、企業側からのキャンペーンや情報発信といった取り組みがあることで、Z世代も「いいね」や「RT」といった形で間接的に社会課題に関心や共感を示せます。Z世代が社会課題と繋がる緩衝材としての役割を、企業は果たせるのではないかと思います。

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/01 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39698

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