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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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人を育てる。組織を育てる。

最強のメソッドカンパニーを目指す サイル栗原氏の組織強化論

徹底したプロセス改善とノウハウ共有

——そうした理想の組織像へ近づけていくために、いろいろな工夫をされていますよね。

 そうですね。まず、大きなくくりで言うと「集中して働こう」ということで、それが可能な環境を作っています。具体的には、週4.5日勤務としており、水曜日の14時以降は休みとなっています。理由は、週5日ずっと働いていると、木曜や金曜あたりには疲れていて、集中力MAXの状態とは言えなくなるからです。そこで、水曜日に中休憩を入れ、木曜も金曜も集中して働けるようにしています。また、「残業せずに働こう」という風土作りも意識して行っており、現在月の平均残業時間は3時間ほどとなっています。

 ただ、このように働く環境を整備したり、制度を整えたりするだけでは不十分で、そもそもこれらが成り立つような環境である必要があります。そのため、業務のマニュアル化や、コンサルティングに用いるノウハウの言語化・体系化は徹底して行っています。その際使っているのは、「Notion(ノーション)」というツールです。ここには数百ページにわたるドキュメントが蓄積されており、大体のことはNotionを見れば解決できる状況になっています。ドキュメントは編集権限が制限されているものもありますが、大半は各社員が自身のノウハウや学びを自由に投稿できるようにしています。

 そして、一度まとめたノウハウや業務プロセスが完璧であることはなく、より良い姿を目指して改善し続けなければいけません。ですので、日々の業務プロセスを細分化して改善を重ねており、社内ではこれを「プロセス改善」と呼んでいます。イメージとしては、トヨタ式カイゼンに近いですね。お客様との日程調整ひとつ取っても、やり取りするときの文面のテンプレートがあったり、日程調整に使うツールが決まっていたり。業務プロセスは無限に改善できるので、それを行える組織風土や仕掛けを取り入れています。

——人材育成・強化に向けて、社内で組織的に行っていることは?

 採用に力を入れていて、当社にマッチする方々に入社いただいているという前提がありますが、その上でやっていることとしては、毎週1時間の社内勉強会と、月1で社外の専門家を講師に招いた勉強会を開催しており、常に新しい情報や強化すべきノウハウをインプットするようにしています。これらは挙手制でテーマを募集していて、特にルールを定めずとも現状回っていますね。

 あとは、「もくもく会」という名称のもと、毎週水曜日の午前中はみんなでコンテンツ制作に取り組む時間としています。暗黙知を形式知にアウトプットする過程でノウハウが整理されたり、ブラッシュアップされたりするので大事な時間です。もう1つ、1個の案件に対してコンサルタント全員で案出しをする「案件相談会」も週に1度行っています。これは、みんなで1つのケーススタディに取り組むイメージに近いですね。お客様への価値提供に直結しますし、他のコンサルタントの視点も学ぶことができるので、コンサルタントの育成に効果的です。

——そのように人材・組織に向き合う中で、大事にしていることは?

 最近、自分の中で言語化したものの中に「個人への要求水準を下げ続ける」というものがあります。これはひとことで言うと、社員にやってもらう仕事をどんどん簡単にしていく、みたいなイメージで、このところすごく意識していることです。

 たとえば、マーケティングの戦略を立てられて、キャンペーンやコンテンツの企画ができて、広告運用もわかっていて、データ分析もできる……そんなスーパーマーケターを採用しようとしている企業も多いでしょう。ですが、これは典型的に個人への要求水準が高い状態で、そんな人材はいません。さらに、論理的に話すことができて、元気よく挨拶できるなど、コミュニケーション能力に関する要件も大量にのってくるわけです。そのような要件の掛け算を満たす人材を見つけるのは不可能である、というのが「個人への要求水準を下げ続ける」の考えのベースにあり、これは働く社員にとっても、組織のスケール化においても重要なことです。

——個人への要求を下げ続けるにはどうするのですか?

 いくつか方法があります。まず、組織やツールに投資をして、マルチタスクな状況からシングルタスクに近づけると、個人の仕事は簡単になります。加えて、「仕組み作り」や「環境作り」も大切です。たとえば、指名検索からインバウンドで案件を取れる仕組みを作ることができたら、営業担当の業務はとても簡単になります。業界で第一想起を取り、ブランドの強化に取り組んだら、テレアポの仕事も簡単になるでしょう。要は、簡単に成果を出せる環境や仕組みを作ることが大事で、高度なデータ分析=難しい仕事/データ入力=簡単な仕事、のような作業レイヤーの話とはまた違います。

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BtoBのマーケ部門立ち上げ・強化、成功確率を高める方法は?

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/29 08:30 https://markezine.jp/article/detail/40080

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