業績を維持しつつ変革の時代へ
本セッションの登壇者である石戸亮氏は2020年、パイオニアのデータソリューション事業を担当する「モビリティサービスカンパニー」にCDOとして入社。CCO/CMOを経た後、2022年9月からはパイオニア全社のCDOを担当している。パイオニアに入社する以前は、GoogleやSalesforceなどに勤務してきたという。
スピーカーを祖業とするパイオニアは1990年に世界で初めて市販向けGPS付きカーナビを発売し、車載機器メーカーとして知られるように。2000年以降は「事業の選択と集中」を行い、カーエレクトロニクス事業を基幹事業に据えた。その後業績が低迷した同社は、再成長を図るべく2019年に非上場化して事業ポートフォリオの見直しを行う。現在は外部から新たな人材を迎え入れ、新たなフェーズに進んでいるという。
現在、パイオニアが展開する事業は主に2つ。1つ目が「モビリティプロダクト事業」だ。モビリティプロダクトとは、カーナビやカーオーディオをはじめとする市販向け、自動車メーカー向けの車載器などを指し「今も売上の大半を占めている」と石戸氏は説明する。
目標は「前年度比200%超の商談化数」
パイオニアの事業の2つ目「モビリティサービス事業」では、企業のモビリティ領域のDXを支援している。
モビリティサービスカンパニーのCDOとして入社した石戸氏の最初のミッションは、モビリティサービス事業の円滑な運営にあったという。モビリティサービスカンパニーの当時の目標は「商談化数を前年度比200%以上にすること」。結果として今では、前年度比240%の成果を恒常的に達成できているというが、どのような施策を打ったのだろうか?
石戸氏はまず、組織の状態やリソースなどを踏まえた上で「何をすべきか」を整理。その結果、浮かび上がってきた最初の課題が「社内のマインドチェンジ・共通認識化」だった。というのも、従来パイオニアが提供してきたカーナビなどの商材は「売り切り型」。売れば、売上に即貢献できた。一方、モビリティサービス事業のビジネスモデルは、車の走行データを活用し、車両管理や安全サポートなどを行う法人向けソリューションを商材とするSaaSビジネスのような「リカーリング型」。販売後の顧客満足度やサービスの継続が売上につながる。「両者のビジネスモデルの違いを社内に浸透させること、共通認識化が重要だった」と石戸氏は語る。