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MarkeZine Day 2022 Autumn

パイオニアの石戸氏が語る!前年度比200%超の商談化数を達成したBtoBマーケティング変革の1年

足りないピースは「圧倒的な事業推進力」

 社内のマインドチェンジを進める上で「改めてボトルネックだと痛感したのは、従来までの製造業と、インターネットサービスに多いリカーリングサービスにおける考え方の違いだった」と石戸氏は語る。

 一般的に製造業では、企画・開発・生産した商品を販売する。売り切り型であれば、顧客が商品を購入した段階で1つのプロセスが終了し、また次のプロダクトの企画から始まる。一方で、ITビジネスなどでは、顧客に販売してからも継続して同一サービスの質を高め続けなければならない。

製造業を生業とする企業の多くは『販売後にサービスの価値向上・顧客満足度の向上を目指して投資を行う』というよりも『次の新商品を作る』という組織構造や業務の流れ、商習慣です。我々もそれに近しい状況で、このビジネスモデルや業務の違いを自覚し、社内全体で共通化して行動に移すのに非常に苦心しました」(石戸氏)

 共通化にあたり石戸氏は、パイオニアが今後も成長していくためにはどのような力を身に付ける必要があるのかを明文化した。「パイオニアは、ハードウェアを開発する能力に長けているが、現在ではソフトウェアの『開発能力』も高い。また創業時より磨き続けてきた『ブランド力』も大きな強み」と石戸氏。そこに収益性や、データを活用してPDCAを高速回転させる「事業推進力」が備わることで、さらに堅実な事業運営が行えると考えたわけだ。

フライホイールで思考の解像度を上げる

 石戸氏は施策を展開する前に、自身の考えの解像度をさらに上げる目的でHubSpotが提唱する「フライホイール」を活用。フライホイールとは遠心力によって回転運動のムラを打ち消すための部品のことで、重量物を取り付けると慣性の法則で自然と回転し続けようとする性質を持つ。この仕組みをビジネスに置き換えて、意思決定や戦略を策定していくフレームワークがフライホイールだ。石戸氏によると、フライホイールは以下の3要素に左右される。

1.回転速度
2.摩擦
3.サイズ

 石戸氏はまず、フライホイールの「回転速度」を上げるための施策として、セールスとマーケティングの強化、SaaS型ビジネスの肝となるカスタマーサクセスチームへの投資などに着手。次に「摩擦」を減らすため、非効率な業務プロセスとシステムの見直しなどを検討した。そうすることで、顧客の多くが自然と「プロモーター」になって自社を推奨してくれるため、フライホイールのサイズが大きくなるのだという。つまりは売上拡大につながると考えたわけだ。

 「マーケティングの全プロセスを見直すなら『プライス』や『プレイス』の領域にも踏み込むべき」と石戸氏。同氏がマーケティング責任者に就任した2021年4月「今期の商談化数を前年度比200%以上に」という目標の達成を最優先に考え、認知拡大と商談化数の最大化、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの強化に専念することにしたそうだ。なお、継続的かつ中期的に製品のValue Propositionの再構築、4Pの見直しも行っているという。

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/11/04 08:30 https://markezine.jp/article/detail/40186

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