各領域のプロが集まるCTVチーム
──御社はCTV成長のために様々な取り組みをされていますが、CTV事業が始まったのはいつごろからでしょうか。
徳山:2018年にソニーのBRAVIAでリモコンの「アプリボタン」が搭載されることになり、初めてABEMAの起動ボタンを搭載しました。そこからメーカー各社ともご一緒しています。2022年には、AmazonのFireTVのリモコンにもボタンが加わりました。
CTVのプロジェクトチーム発足は2019年の秋頃です。背景には、グローバルにおけるCTVマーケットの拡大があります。国内でも必ず大きくなるだろうと考えました。また視聴態度や視聴時間についても、スマートフォン(以下、スマホ)よりもテレビデバイスの数値が良いなど広告の観点からも非常に大きなビジネスチャンスがあると判断しました。
ABEMAとして今後さらに注力していく領域なので、CTV事業ではマーケティングや開発、クリエイティブ、さらに広告のチームも加わって各領域のプロフェッショナルなメンバーがワンチームで動いています。
スマホとCTVの併用でユーザーの継続率アップ
──実際にCTVの利用ユーザーを増やすために、どのような方針でどのような取り組みをされてきたのでしょうか。
徳山:ABEMA自体が“新しい未来のテレビ”をコンセプトにサービスを展開しており、“時間と場所からの解放”を目指し、時間や場所に縛られないサービス体験を目指しています。また、スマホとテレビデバイスの両方を使っているユーザーは、家でも外出先でもABEMAを利用していると考えられるため、サービスとの親和性が非常に高いといえます。加えて、そういったユーザーは地上波を見ている層とはやや異なります。そこで「スマホとCTVを併用しているユーザーはABEMAの継続率が高い」と仮説を立てました。
それを踏まえてスマホ上ではテレビの便益を伝える取り組みを実施してきました。テレビ視聴の便益としては、たとえば、より大画面で迫力のある、臨場感のある映像を楽しめることや、ながら視聴が可能になるといったことが挙げられます。ABEMAの番組の合間のCM枠でテレビ視聴についてのプロモーション映像を配信するほか、ABEMAの番組内で出演者の方に直接言葉で伝えていただくこともあります。たとえば、格闘技などのスポーツ中継で、実況解説の方にテレビでの視聴方法やメリットを伝えていただきました。
また、スマホユーザーが大画面で楽しめるように、CTVの使いやすさを伝えるLPも展開しています。ユーザーが自分のテレビの型番を入力すると、そのテレビに応じた操作方法の解説が表示されます。メーカーが違うだけでUIが大幅に変わりますし、同じメーカーでも型番によってABEMAを見るための操作方法が異なることが多いのです。
このように、ABEMAをテレビデバイスで視聴することを丁寧に説明してきた結果、2019年時点と比較してCTVの視聴数は約7~8倍と右肩上がりで伸びています。