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WGSNが予知する1年後

【後編】格差や権力、物理的制約をも超え、エンタメ業界は新時代へ。NFTがもたらす真価

【参照】Web3.0時代と共に出てきた、エンタメ業界のプロジェクト

 The Electricianのライター、Jon Barinholtzはこう言います。「Web3.0時代の幕開けと共に、人々の協力を求めて様々なプロジェクトが立ち上がるでしょう。私はこれを逆コミコンシステムと呼んでいます。少人数で制作した作品をバイヤーに提案し、テレビ番組化を目指すことでファンを獲得するのとは反対に、私たちはまずファンを獲得し、素材を作り、それからバイヤーに向かってこう言うのです。“さあ、作品をテレビ番組にされたいのであれば資金をご提供ください。テレビ化に必要な人材とファンはすでに付いています」と。

 最後に、Web3.0の時代を果敢に切り開いているプロジェクトの事例を紹介しますので、ご参照ください。

コンテンツへのアクセス権を解放し1,200万ドルを調達

 Invisible Universeは、BAYC、Doodles、WoW、Robotos、Coolcatsなど様々なNFTコミュニティのキャラクターが登場する新しいリアリティ番組のパロディ「The Real Metaverse」 の制作資金をNFTを用いて調達。NFT所有者であろうとなかろうと、誰もがソーシャルメディアで45~90秒間の動画、約40話を視聴できるようにし、1,200万ドルを調達した。NFT所有者を超えてさらにアクセス権を開放したという点で画期的な事例である。

ニュータイプのエンタメ企業Non-Fungible Filmsのプロジェクト

 Non-Fungible Filmsは、Web3.0のIPとメジャーなメディアの橋渡し役であり、従来のIPをWeb3.0に対応させる新しいタイプのエンターテイメント企業とも言える。Non-Fungible Filmsは、さらに「マルチメタバースのプロジェクト&プラットフォーム」となることを目指して、「Oscar Haley & The Great Beyond」という家族を巡る冒険物語のNFTコレクションを販売。所有者はキャラクターを映画、TV、ゲームへ出演させることができる。

NFTを通じて実現される「新たな共創の形」

 NFTという仕組みは、そもそも物語の作り方、制作の出発点にも変化をもたらすと考えられる。ドラマ『フィラデルフィアは今日も晴れ』は、ライターズルーム構築のためのシードラウンドでベンチャーキャピタル会社a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)から500万ドルを調達。最初の参加者として選ばれた100人のクリエイターたちはCore CharacterのNFTを入手して物語を制作し、それが使用された場合には印税が支払われるという仕組みになっている。

才能あるクリエイターが集う「Adimverse」

 Adimverseのウェブサイトには未来のエンターテイメント体験を最大化できるような才能をもったクリエイターが集まってきている。サイトには、どのように登録し、クリエイタールームで共同作業し、キャラクターを生み出し、所有し、作品を管理していくかといった方法が記載されており、これまでのプロダクションによる制作とはまったく異なるアプローチとなっている。

Web2.0企業によるNFT活用例

 書籍の世界にもブロックチェーン技術が浸透しつつある。グラフィックノベルのThe Electricianは、資金調達と創造性の向上を目指して1万ものNFTを発行。文学作品における意思決定システムを民主化し、物語の創造をトップダウンスタイルからコミュニティ主体の活動へと権利移譲を進めようとしている。

メディアからライターへの権限移譲

 Web3.0の出版プラットフォーム「Mirror.xyz」は、個人のライターたちにより働きやすい環境を提供しようとしている。書き手が自分の著作を無料でNFT化できるようにし、読者がNFTで記事を集められるように。この仕組みによって執筆者はメディアの中で埋没せず、創作者=書き手として認識され、経済的にも報われるようになる。

クリエイターエコノミーの機会をオープンに

 「Soltype」も文芸NFTの作成や取引を行う新しい出版プラットフォームだ。ここで作家を発見し、投資することで、彼らの成功への道をともに歩みながら収益を得ることができる。これまで、なかなか日の目をみられなかった個人が業績を確実に収益化できる、そんなクリエイターエコノミーがNFTによって実現しつつある。

<WGSNと伊藤忠ファッションシステムについて>

 Ascential (アセンシャル) グループ傘下のWGSN (ダブリュージーエスエヌ)は、カンヌライオンズでおなじみのLionsの姉妹企業です。現在、北米/ヨーロッパ/中東/アフリカ/アジア太平洋地域/ラテンアメリカに20以上の拠点を持っています。情報領域として、インサイト(消費者動向)、家電、ファッション、ビューティ、インテリア、フード&ドリンクがあり、2~10年後に重要視される製品や体験、サービスの具体例やキーワードを提示しています。弊社、伊藤忠ファッションシステムはその日本代理店を務めています。

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この記事の著者

浅沼 小優(アサヌマ コユウ)

伊藤忠ファッションシステム株式会社 ifs未来研究所 上席研究員 大手住宅メーカー、米国でのインテリアディスプレイデザイナー、バイヤー業務を経て、帰国後LVMHグループ、ロエベ他にてマーケティング、マーチャンダイジングを担当。デザイン予測を提供する英国WGSN日本統括を経て、2019年より現職。W...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/16 09:31 https://markezine.jp/article/detail/40718

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