電通グループは、世界58市場から収集したデータから、「世界の広告費成長率予測」を作成した。同予測は、基本的に毎年2回実施しており、今回は2022年、2023年、2024年予測の更新と2025年の新規予測を行ったもの。
なお、広告費は手数料や交渉による割引を差し引いた金額で、現地通貨建てで提供。2022年11月の平均為替レートで米ドルに換算し、実績値と最新の予測値はすべて恒常為替レートに基づき修正している。また、前回7月発表の予測から、過去データも含めて算出し、ロシア市場の数値を除外されたものとする。
2022年、世界の広告費成長率は8.0%を見込む
2022年の世界の広告費成長率は、経済状況の不透明さが起因の消費活動減少により、市場規模は7,136億米ドルと見込んでおり、前回7月の予測から0.7pt下方修正の8.0%となった。その中でもデジタル広告費は、2022年の成長率が13.7%で、総広告費に占める割合が55.3%となる見通しだ。
2023年、世界の広告は3.8%を予測 市場規模は初の100兆円へ
2023年の世界の広告費については、インフレ率や金利の上昇とそれによる消費への影響といった複合的な要素から、市場規模は3.8%成長の7,409億米ドル(約100兆円※)になると予測している。
地域では、市場規模のトップ5は、2022年と変わらず米国、中国、日本、英国、ドイツとなると考えられており、中東を除く、北米、西ヨーロッパ、中央および東ヨーロッパ、アジア・パシフィック(日本含む)、ラテンアメリカでプラス成長となる見込みだ。
今後、世界の広告市場は順調に拡大し、2024年には4.8%増の7,769億米ドル、2025年にはさらに4.5%増の8,116億米ドルになると予測している。
2023年の世界の広告市場(媒体別)について
媒体別にみると、デジタル広告費は2023年においても7.2%と高成長を維持し、世界の総広告費に占める割合は57.1%に達する見通し。
成長を牽引するのは、動画広告(+7.1%)、ソーシャルメディア広告(+13.5%)、検索連動型広告(+7.2%)と予想。また、テレビ広告費は0.2%、ラジオは2.0%、映画館(シネアド)とOOH(屋外/交通)は、それぞれ6.1%、2.0%の成長を予想。一方、新聞と雑誌は、それぞれマイナス成長(△3.7%、△3.4%)となる見通し。
※1米ドル=約135円で換算
日本の広告市場動向について
2022年の日本の広告市場は、デジタルを中心に好調に推移したことで、前回7月予測から2.8pt上方修正となる3.6%の成長を見込んでいる。また、2023年も1.5%成長の予測で引き続きデジタル広告が成長を牽引すると考えられる。
業種としては、人の移動を伴う経済活動等の活発化で、「交通・レジャー」や「外食・各種サービス」などの出稿増が期待される。