英OOH市場拡大に見る、日本のOOH業界が有する可能性
MZ:LIVE BOARDがDOOHのサービスおよび市場を創造していく際、参考にした海外の先進事例などがあったのでしょうか?
櫻井:我々がモデルとして参考にしているのは、イギリスのOOH業界です。日本のOOH業界には、交通広告、屋外・屋内広告など非常に多くのメディアオーナーが存在します。対して、イギリスはそれが3社ほどの主要企業にある程度寡占されているんですね。業界で意思統一をしやすい環境があるからこそ、OOH広告におけるインプレッション(以下、imp)もしっかり定義されていますし、業界全体で指標を整えていこうという動きもあります。そうして業界全体でOOHの価値を創造してきた結果、OOH市場が大きく成長するというトレンドがイギリスで起こったわけです。LIVE BOARDでは、この成功事例を参考にしています。

ちなみに、昨今はタイでもイギリスと同様のトレンドが見られています。タイのOOH市場は今急速に伸びているのですが、その背景にも業界を牽引する企業の存在があるようです。こうした事例を見ても、日本はまだまだOOHの可能性を活かし切れていないと感じます。
データドリブンなOOHの基盤を整備
MZ:業界内での指標統一の話も出ましたが、現在LIVE BOARDでは、DOOHのimpをどのように定義されていますか?
櫻井:LIVE BOARDでは、OOH業界の国際団体WOO(World Out Of Home Organization)が定めているガイドライン「GLOBAL OOH AUDIENCE MEASUREMENT GUIDELINES」に基づいて、impを定義しています。このガイドラインでは広告の視認率を加味したimpの計測を定めており、DOOHのメジャメントについては現在これがグローバルのスタンダードです。細かい話になりますが、具体的には次の4つのステップでimpを算出しています。
1.NTTドコモユーザーの位置情報データなどを用いて、そのエリアにいる人の数を算出
2.スクリーンの視認エリアなどを加味し、そのスクリーンに対する接触可能者数を算出
3.1回の広告露出にともなう視認者数を算出
4.1回の広告露出にともなうユニーク化した正味の視認者数を算出=imp

ここまで追求してimpを算出しなければならないのか? というご意見もあるかもしれません。ですが、こうした効果計測の機能は“データドリブンなOOH”の基盤になるものです。これがしっかりしていなければ、広告主様、広告会社様の信頼も得られないでしょう。
MZ:LIVE BOARDで展開するDOOHに限らず、日本の広告業界でメジャメントを統一する動きもあるのでしょうか?
櫻井:はい、OOH業界全体でメジャメントを統一しようという動きは起きています。OOH市場の成長のためにも、いち早い指標の統一が求められますが、これは我々一社だけで実現できるものではありません。2023年は業界でのメジャメントの統一にさらに注力していきたく、LIVE BOARDの知見がここで活かせればと思っています。