OOHをテレビ、デジタルと同じデータドリブンな世界へ
MarkeZine編集部(以下、MZ):2022年は、取材をする中で「デジタルOOH(以下、DOOH)」というワードを耳にする回数が一気に増えました。この記事では、日本のDOOH業界を牽引するLIVE BOARDに業界の概況を伺っていきます。まずは、LIVE BOARD社についてご紹介いただけますか?
櫻井:LIVE BOARDは、NTTドコモ51%、電通グループ49%の共同出資により2019年に設立されました。NTTドコモの「自社で有するデータの価値をオフラインでも活かしていきたい」という考えと、電通の「データを武器にOOHが未だ発揮できていない価値を最大化させていきたい」という考えが合致して、設立に至った形です。NTTドコモが有するデータを活用することで、ターゲティングや効果検証が可能な“新しいOOH”をご提供しており、DOOH広告枠の販売、DOOH広告媒体の開拓、DOOH広告配信プラットフォームの運営の3つが主な事業内容となります。
MZ:櫻井さんは2021年4月にLIVE BOARDに参画、同年6月より代表取締役社長に就任されています。広告業界に長年身を置く中で、DOOHの領域をどのように見られていましたか?
櫻井:私は1998年に電通に入社し、最初の約10年はテレビ局におりました。その後は、北京とベトナムをはじめ国内外でメディアプランニングとバイイング、コンテンツビジネスの創造などに携わってきました。ですので、OOHの業界に入ったのは、LIVE BOARDに入社してからのことです。
メディアプランニングに従事する中でOOHに対して抱いていたのは、プランニングと効果検証が非常に難しいという課題感。テレビとデジタルに関しては、データに基づくプランニングやバイイングの最適解がある程度見えていたのですが、OOHに関しては活用できるデータが非常に限られていました。ですので、「データに基づいたプランニングをしてほしい」というご要望がある時は、メディアプランの中にOOHを入れることもあまりありませんでした。ですが、不思議なことに、メディアプランの中にOOHが入っていなかったら「なぜOOHが入っていないのか?」と聞かれるんですね。日々の生活動線上にずっとある媒体として、やはりOOHの存在は大きいのでしょう。
そうした経験があったので、LIVE BOARDのコンセプトを聞いた時「これはOOHの地図を塗り替えるものだ」と直感的に思いました。テレビとデジタルと同じようにOOHの世界が変わる瞬間が来るのだとしたら自分もぜひ役に立ちたいと思い、LIVE BOARDへの参画を決めています。