ジグソーパズルと懸賞を組み合わせたユニークなアプリゲーム
MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、自己紹介からお願いします。
横山:全自動化マーケティングプラットフォーム「UNICORN」を提供するUNICORN株式会社において、Apple Search Adsの運用支援や、関連プロダクトの開発に携わっています。2007年にアドウェイズへ入社し、グループ内で様々な事業を経験した後、2018年より子会社のUNICORNにジョインしました。
銘苅:アプリの企画・開発・運営を行うオーテで、アドネットワークへの出稿やASO(アプリストア最適化)を担当しています。加えてアプリ内のプッシュ通知など、ユーザーとのタッチポイントを活用した施策も私の担当です。2018年に親会社であるアイモバイルに入社し、3年半ほどアプリ広告のセールスを務めていました。オーテの買収にともない、2021年8月より現在のポジションです。
MZ:オーテが展開しているアプリゲーム「ジグソーde懸賞」の概要と特徴を教えてください。
銘苅:ジグソーde懸賞は、ジグソーパズルと懸賞を組み合わせたアプリゲームです。ジグソーパズルを解いていくとレベルに応じてポイントが付与され、貯まったポイントを使って好きな懸賞賞品に応募できる仕組みとなっています。
銘苅:ジグソーパズル単体やポイ活単体、懸賞単体のアプリはありますが、ジグソーパズルと懸賞を組み合わせた点にこのアプリの特徴があります。ゲームのプレイ時間がポイントとして還元される仕組みにメリットを感じ、長期的に利用してくださるユーザーも多いです。メインターゲットは「お得」「節約」への意識が高い主婦層ですが、実際には男性ユーザーも多く、バランスが取れていると感じます。
獲得効率の低下やROASの回収に課題
MZ:ジグソーde懸賞のマーケティングを推進するにあたり、抱えていた課題を教えてください。
銘苅:2018年のアプリリリース時と比べて、私が携わるようになった2021年は獲得効率の低下に課題がありました。コロナ禍に突入した直後はスキマ時間を埋めるアプリとして利用が大きく拡大したものの、感染状況が落ち着いてくるとインストール数の伸びは鈍化。ROASが下がってCPIも高騰するなど、厳しい局面を迎えていました。
MZ:獲得効率を上げる打ち手のひとつとして、Apple Search Adsへの取り組み強化が挙げられます。そもそもApple Search Adsとは、どのような広告商品なのでしょうか。
横山:Apple Search Adsは、Apple社が独自に提供している広告サービスです。iOSユーザーがアプリをインストールするApp Store上で配信される、唯一の広告を指します。Apple Search Adsでは2022年10月に新たなプレースメントが追加され、広告の提供範囲が広がっています。
たとえばユーザーがApp Storeのアプリを起動した際、最初に表示される「Todayタブ広告」は、従来の検索タブ・検索結果に配信される枠とは異なるディスプレイタイプのプレースメントです。Todayタブ広告によって、ユーザーが検索というアクションを起こす前の段階から広告を露出することができ、より多くのユーザーにリーチすることが可能となりました。
Apple Search Adsの全自動運用に可能性を感じた
MZ:オーテではApple Search Adsの運用を手動で始められたとうかがいました。そもそもなぜApple Search Adsに注力しようと思われたのでしょうか。
銘苅:App Storeからのコンバージョンは言うまでもなく重要です。加えて、ジグソーde懸賞のインストール経路を鑑みても注力すべきだと考えました。指名キーワードから流入しやすいビッグタイトルのアプリゲームとは異なり、ジグソーde懸賞の場合は「ジグソーパズル」や「懸賞」などの一般ワードで検索されることが多いのです。App Store経由の獲得ユーザーはリテンションも高いため、自社で運用をスタートしました。
銘苅:スタートしたものの、ジグソーde懸賞以外のマーケティングも兼任しているメンバーが多いため、Apple Search Adsの運用に十分なリソースを割けていませんでした。キャンペーンが増えれば増えるほど最適なキーワードを見出しにくくなり、「運用に100%注力できれば獲得効率をさらに引き上げられるのに」ともどかしさを感じていました。
横山:オーテ様のように、リソース不足でApple Search Adsを活用しきれていない企業様は少なくありません。「思ったような効果が得られなかった」と注力するのを諦めてしまう企業様もあると聞きますが、非常にもったいないと思います。
UNICORNでは、キーワードの選択・入稿やオーディエンスの設定、キーワードとオーディエンスの組み合わせに応じた入札・買付などの運用業務を自動化する仕組みを提供しています。オーテ様をはじめ、Apple Search Adsを手動運用されているクライアント様の、広告配信と運用に関する課題を解消するプロダクトです。
人では思いつかないキーワードを機械学習で見出す
MZ:Apple Search Adsでジグソーde懸賞の広告を配信するにあたり、UNICORNからはどのような提案を行ったのでしょうか。
横山:UNICORNでApple Search Adsに配信する際、機械学習によるキーワードや入札の最適化、運用の自動化が可能ですが、ファーストステップとして出稿キーワードの方向性は考えておく必要があります。ジグソーde懸賞の場合は「ジグソーパズル」と「懸賞」という2つの軸があるため、そこから派生キーワードをどれだけ広げていけるかが鍵でした。
横山:まずは懸賞関連のキーワードや「ジグソーパズル」「パズルゲーム」といったキーワードの周辺から出稿をスタートし、実績を見ながらさらに派生させられそうなキーワードを見つけます。UNICORNにはキーワードを自動収集する機能があるため、その機能も活用しながらキーワードの拡大を進めました。
MZ:実際に広告を配信したキーワードを教えてください。
銘苅:競合アプリの名称や「チェス」「カジュアルゲーム」「クラシックゲーム」といった関連キーワードのほか、特定のアミューズメント施設名でも広告を配信しました。自分たちだけでは「懸賞」や「ゲーム」など、ベーシックなキーワードしか思いつかないため「そのようなキーワードでも獲得できるのか」と勉強になりました。
横山:UNICORNでは関連キーワードを自動的に収集し、配信しながら目標値に合うキーワードを選定していきます。自動収集されるキーワードの中には、人の想像が及ばないものが含まれている場合もあります。ジグソーde懸賞のApple Search Ads配信においては、コンバージョンにつながる可能性がありそうなキーワードで広く配信し、自動的に精査を行うUNICORNの仕組みが活きていると思います。
コンバージョン率は手動運用時の値から20%増!検索順位もUP
MZ:UNICORNのサポートにより、どのような成果が得られましたか。
銘苅:UNICORNさんのおかげで、出稿キーワードの数は手動運用時より格段に増えました。加えてCPIや配信ボリュームをこまめに調整してくださるため、自社のリソースを割かなくても最適化できている手応えがあります。
銘苅:キーワード数が増えたこともあり、インプレッション数は手動運用時の値から約20%増えています。そのぶんタップスルー率は下がったものの、コンバージョン率が手動運用時より約20%上昇しているため、獲得効率は良くなりました。
また、検索順位のランキングも上がりました。ある時期に特定のキーワードで強化配信したところ、最大50位もランクアップしたんです。それまでは検索順位を上げるための施策にリソースを割けていなかったため、ここでも改めてApple Search Adsの重要性を実感できました。
横山:Apple Search Adsでは広告とオーガニックの検索順位に関連性はないとされていますが、「特定キーワードの強化配信がオーガニックの検索順位にも影響を与えた」というフィードバックを聞いた時はうれしかったです。オーテ様はアプリストア最適化にも気を配りながらApple Search Adsを運用されている点が素晴らしいと思います。そのおかげで、当社としても「Apple Search Ads運用支援の延長線上で自然検索の順位アップを手助けできる」とわかりました。
銘苅:UNICORNのApple Search Ads配信は、デジタルマーケティング全体にもポジティブな変化をもたらしてくれました。効果が高かったキーワードを通じて、ユーザーがApp Storeを訪問する際やジグソーde懸賞をインストールする際の心理がクリアに見えてきたからからです。検索キーワードは、ユーザーの興味関心を表すもの。UNICORNさんのおかげでユーザーの解像度が上がり、マーケティングの打ち手を考える際の材料が増えました。
カスタムプロダクトページの作り込みで検索前後のギャップ解消へ
MZ:最後に、今後の展望や両社でチャレンジしたいことがありましたら教えてください。
銘苅:ユーザーの興味関心に合わせたカスタムプロダクトページの制作に注力していきたいです。
横山:カスタムプロダクトページとは、プロダクトページを複数パターン作成できるApple Search Adsの機能です。たとえば「懸賞」というワードで検索したユーザーに対し、懸賞の要素をアピールしたプロダクトページを表示することで、アプリダウンロードを促す活用方法があります。つまり「検索ワード×クリエイティブ」の変数によって広告効果を高められるのです。
銘苅:前述した特定キーワードの強化配信時に、カスタムプロダクトページのクリエイティブを2種用意してタップスルー率を比較しました。それまで使っていたアプリ画面のスクリーンショットと、強化配信するワードに合わせたスクリーンショットの2種を比較した結果、後者のタップスルー率のほうが約3%高かったのです。
横山:カスタムプロダクトページは先にご紹介したTodayタブ広告にも活用でき、必須のプロセスです。UNICORNではカスタムプロダクトページの制作に関してサポートも行っています。
銘苅:アプリ検索後にランディングするプロダクトページを作り込むことで、検索ワードとのギャップをできる限り解消していきたいです。
横山:オーテ様に対しては、Apple Search Adsの運用支援をメインとしつつ、アプリストアの最適化においてもサポートを続けていきたいです。冒頭でお伝えした通り、Apple Search Adsの広告枠は増えています。打ち手の選択肢が広がるぶん、リソース不足に陥る企業様もいるはずです。UNICORNでは今後も、iOSアプリのマーケティングにおいてトータルサポートが可能なプロダクトを提供していきます。
UNICORNについて詳しく知りたい方へ!
UNICORNでは、全自動運用の仕組みと最適化のアルゴリズムを応用させた「Apple Search Adsの自動最適化エンジン」を活用し、Apple Search Adsへの配信・運用を行なっております。UNICORNのnoteに情報をアップしておりますので、本記事でUNICORNに興味を持たれた方は参考にしてみてください!
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