ミンテルは、2023年を含めた今後5年間とその先の世界の消費者市場に影響を及ぼすと予測される、消費者行動における7つのコアドライバー(アイデンティティ、権利、環境、体験、テクノロジー、ウェルビーイング、価値)を軸に構成される5つのトレンドを発表した。
5つのトレンドに対して太平洋地域担当ディレクター、マシュー・クラブ氏のコメントを交えて紹介する。
「私」というメンタリティ
消費者は自分自身に重点を置き、ブランドは消費者が主役になれるよう支援していくと予測される。
この2年間、消費者は自身のニーズを後回しにして、公衆衛生と安全を優先してきた。だが、パンデミックから抜け出しつつあることにより、自分自身を再び重視したいという傾向が見られるという。
そういった中で、メタバースを利用して、デジタル寛容に適した独自のアイデンティティを確立していくと考えられる。結果、プラットフォームや状況に合わせて、自身をオンラインで表現するというアイデンティティが生み出されることになる。これにより、データプライバシーや消費者保護に対する動きも強まっていくと予測される。
パワー・トゥ・ ザ・ピープル(人々に勇気を)
消費者は、自身の資金と意見によってブランドを形成しつつある。これにより、消費者が企業と共創し、変化を求めて投資するモデルへと進化すると見込まれている。
そのために、ブランドは消費者の声に耳を傾けつつ、市場のイノベーションを生み出していく必要があると考えられている。
特に、NFT(非代替性トークン)とWeb3コミュニティは、消費者がブランドに投資するための新しいチャネルを開拓しているので、デジタル資産の有用性は高まると予測される。
過度の疲労感
メディア記事やデジタルコンテンツによって、パンデミックを始めとした、生活費の高騰、エネルギー危機、地政学的不安、気候変動などの問題に常に触れ続け、消費者は情報疲れをしている。
そんな中、慈善活動や地域密着型のプロジェクトなどへの参加により、自身の身近な周囲の環境や地域社会と再びつながりを持つことに意味や安らぎを見出し、目的意識を取り戻すと予測される。
また5年後には、企業は、テクノロジー、ウェルネスおよびレジャー領域において消費者が情報と健全な形でつながるために、多様な情報に秩序をもたらすための境界線を定める必要があると考えられる。
国際的なローカリズム (地元意識)
消費者は、自身の地元にある資源の保護や、地域ビジネスを活性化させようとする動きが強まると予想される。
これは、消費者自身にとっての重要なものが変化することが要因として考えられる。
今後、生産・販売する製品の質に対して反応するようになり、自分が住む場所ではなく、製品が製造されているコミュニティを支援することに意味や価値を感じるようになり、品質を最も重視して見極め、企業の透明性をより厳しく評価するようになると考えられる。
意図を持った消費
消費者は、自分にとっての価値を改めて考え、その結果、より意図を持って消費するようになっていくと予測される。
厳しい経済環境の中で、生活の質を犠牲にすることなく、経済的に賢明な選択をしたいと考える。そのため、長持ちし、複数の用途に使用可能な製品を選択するようになるため、耐久性や柔軟性を重視するようになると考えられる。
また、付加価値を謳った商品(環境にやさしい、地元密着型、送料無料など)が飽和状態になるにつれて、消費者は商品価値をより見極められるようになっていくと見込まれる。
さらに、5年後以降は、自分が属する業界、国、コミュニティが直面するこれまで対処が難しいとされてきた課題に対して、具体的な計画やイノベーションを持って取り組むような目的志向のブランドの出現が予測される。
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