編集長とストラテジストによる分業体制
インターネットの普及により、企業が自社でWebサイトを立ち上げ情報を発信する、いわゆるオウンドメディアの活用が広く一般的となりました。オウンドメディアを通じて自社のサービス・プロダクトに関する内容や周辺情報を提供することで、企業は親和性の高いユーザーを集客でき、リードの獲得につなげられるからです。こうしたメリットから、マーケティング施策としてオウンドメディアに取り組む企業も多く見られます。
一方で「サイトのアクセスや検索順位が上がらない」「記事のネタがなかなか見つからない」など、担当者にとっては悩みもあるようです。Googleが定期的に実施するアルゴリズム更新の影響でサイトのトラフィックが下降してしまうケースも多く、2022年にはHubSpot Japan 日本語ブログも影響を受けました。今回は、私たちがHubSpot Japan 日本語ブログを運営する中で学んだポイントをお伝えできればと思います。
まず、私たちはHubSpot Japan 日本語ブログを「顧客と企業がつながる最初のきっかけであり、顧客とHubSpotを結ぶ重要な接点の一つ」と捉えています。平均して月に30〜40本の記事を公開し、外部パートナーを含めた約50名のチームを、SEOストラテジストとブログ編集長の2名体制でまとめています。なぜ2名で分業しているかというと、コンテンツ制作とSEO戦略の立案・実践はまったく違う側面からコンテンツの質を高める役割を担っているからです。
インバウンド思想の共有がブログ運営の鍵に
SEOストラテジストは、検索結果として表示される当社の記事が読者の実際の情報ニーズと合致するよう、現状のキーワード別順位やトラフィックを考慮しながら戦略を立てる役割を担っています。検索エンジン(Search Engine)と向き合っていますが、最終的に最適化したいのは読者の「検索体験(Search Experience)」です。
一方でブログ編集長は、SEOストラテジストの戦略に沿って実際のコンテンツ制作を行います。読者が最適化された検索体験を通して求めている情報に出会った後、「読者が求めていた情報をよりわかりやすく、役立つ形でお届けできるか」「読者が探していた情報以上の気づきをもたらすことができるか」などの視点に立って、記事の品質と本数を担保することが編集長の重要な役割です。
このように、SEOストラテジストとブログ編集長は異なる脳を使うイメージで分業しています。「分業することで溝が生まれないのか?」といった質問を受けることがありますが、私たちは「読者視点で考える」というインバウンドの思想を共有しており、読者に対して何がベストなのかを互いにすり合わせながら業務にあたっているため、双方で溝を感じたことがありません。むしろ、分業制にすることで「検索プラットフォームを見ている側と読者を見ている側の両面からブログ制作を支えることができる」というメリットの方を強く感じています。