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「インバウンドの思想」をマーケティングに~実践事例とその思考プロセス~

インバウンドなオウンドメディア運営とコンテンツ制作法 鍵は「トピッククラスター戦略」にあり

ブログ運用戦略「トピッククラスター」とは

 次に、インバウンドなSEOを実践するためにHubSpotが意識している三つのポイントを紹介します。

1.キーワードありきではなく、有機的に考える「トピッククラスター」を実施
2.検索ボリュームにとらわれ過ぎず、ユーザー視点で戦略を立てる
3.過去記事のメンテナンスを行うことで、社会の潮流に合わせた鮮度の高い情報を届ける

 まず、一つ目の「トピッククラスター」について説明します。これはHubSpot独自のSEO戦略で、キーワードではなくトピックに重点を置いた考え方です。トピッククラスター戦略では、一つのトピックに関してあらゆる情報を網羅できているかどうかが重視されます。そのため、HubSpotでは丁寧な調査の上でメイントピックとサブトピックを紐付け、それらがきちんと整理された「読者にとって利便性の高いサイト」を目指しているのです。

 2023年は、トピッククラスターがより一層重要になると私たちは感じています。なぜなら、Googleの検索アルゴリズムのアップデートによって、Googleが目指す理想像、つまり「検索ユーザーが自分の探している情報にアクセスしやすい状態の実現」がより現実味を帯びてきたからです。実際、アルゴリズム設計の評価基準として、E-A-T(※)の中でも特に「信頼性」に重きが置かれるようになってきています。つまり、機械的ではなく人間に近い観点での評価へと変わってきているのです。

※Googleの「検索品質評価ガイドライン」に提示されている「Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)」のこと

 このような流れを受け、アルゴリズムをハックする類いのSEO手法は今まで以上に通用しなくなるでしょう。つまり、検索ユーザーが求める情報を整理し、網羅的にわかりやすく提供することを目指したトピッククラスター戦略が重要かつ有効となるのです。この仮説を裏付けるため、Googleが2022年にアルゴリズムをアップデートした後、私たちはトピッククラスター戦略の成果を検証しました。その結果、トラフィックは変更前と同等まではいかないものの回復し、過去16ヵ月で最高のリード数を達成。同戦略が有効な手段であることが確認できました。アルゴリズム更新にどう対応したかについては、後半で詳しくご説明します。

トピック選びの判断基準は「価値がある否か」

 ポイントの二つ目が「検索ボリュームにとらわれ過ぎないこと」です。トピックの選定がSEOを推進する上では大きな鍵となりますが、HubSpotでは自分たちが自信を持って価値ある情報を提供できるトピックに振り切ることを強く意識しています。キーワード分析ツールの数字にとらわれすぎず、ユーザーの「知りたいこと」「求めているもの」などのニーズを基に記事テーマを選定しているのです。

 たとえば「SFA」というキーワードは、検索ボリュームがそれほど大きくありません。そのため、このトピックに注力することで創出できるトラフィックもそこまで大きくないでしょう。しかし、この領域はHubSpotが有益な情報や知見を提供できる領域なため、注力しています。読者に役立つ情報が提供できるトピックに振り切ることで顧客の信頼が得られ、結果としてリードの創出にもつながっているのです。

 自社が現時点で持っている知見のみをベースにしてトピックを選定していくと、作成できるコンテンツは当然限定されてしまい、オウンドメディアを成長させられません。そのような場合、当社では独自の調査コンテンツを活用するなどして戦略的に情報の付加価値を高め、自信の持てる領域を広げていく工夫をしています

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過去記事を再編集することで、新鮮さを出す

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

HubSpot Japan 日本語ブログ編集長。CMS制作会社の営業職に従事した後、Webマーケティングメディア「ferret」の立ち上げから参画し、ライター・副編集長を経て独立。「MarkeZine」や「ITMediaMarketing」「AMP」など複数のビジネスメディアで執筆活動する傍ら、BtoB、BtoC複...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

池村 真澄(イケムラ マスミ)

HubSpot Japan マーケティングチームSEOストラテジスト。旅行、アパレルなどのメディアサイトやECサイトのWebデザイナーとして従事。その後、Webマーケティング職へ転身。留学やフランチャイズなど複数の比較メディアでSEO・CROを担当。2022年4月より現職。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/13 09:00 https://markezine.jp/article/detail/41507

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