デジタルマーケティング業界に起こっている3つの変化
MarkeZine編集部(以下、MZ):自己紹介をお願いいたします。
廣:イルグルムに入社後、「アドエビス」のコンサルティングセールス、人事部門を経て、現在はアドエビス事業部 部長を務めています。事業全体を統括する立場としてマーケティングからセールス、サクセス部門まで幅広く管掌しております。
MZ:デジタルマーケティング業界に起こっている変化について教えてください。
廣:現在、デジタルマーケティングの領域には大きく3つの変化が起こっています(参考:金田氏単独インタビュー)。
1つ目は規制の強化です。法規制については、EU一般データ保護規則(GDPR)から始まり、2022年には日本でも改正個人情報保護法が施行されました。技術面でも、Apple社が提供するCookie利用制限機能(ITP)が日夜アップデートされています。決められたルールの中で成果を出す必要があるマーケターにとっては、避けては通れない問題であることは明らかです。
2つ目は手法の多様化です。規制の強化に対応すべく、Cookieを利用せず広告主のサーバーサイドから各媒体にコンバージョン情報を返すコンバージョンAPIという機能が、Meta広告を始め主要媒体で実装されています。
3つ目は情報過多です。電通の「2022年 日本の広告費」によると、総広告費におけるインターネット広告の割合が43.5%、市場規模も3兆円越えと、堅調な成長が伺えます。インターネット広告はレッドオーシャンの様相ですので、広告を受け取るユーザーにとってはデジタル体験の中で様々な情報に触れることになり、これまで以上の情報過多が起こっているといえます。
現在マーケターが直面する、3つの課題とは
MZ:そのような変化をふまえ、今マーケターの置かれている状態はどういったものになっているのでしょうか?
廣:現在、マーケターは大きく3つの課題に直面しています。まず1つ目は、広告媒体管理画面で計測したコンバージョン数と基幹システムで管理しているコンバージョン数の乖離です。
廣:こちらのレポートは、アドエビスをご利用いただいているA社のデータです。基幹システムで計測したコンバージョン数を100件としたとき、広告媒体管理画面で計測されたコンバージョン数を示したものです。Facebook広告では、半分以上のデータ欠損があることがわかります。広告媒体管理画面と基幹システムで数値がずれたままでは、意思決定や判断が適切にできないという状況に陥ってしまいます。
2つ目は、計測ツールのパラメータ設定において人的なミスが起こり得ることです。弊社の調査では、約35%がパラメータの設定に漏れ・ミスがあったというデータが出ています。
廣:3つ目は、デジタルマーケティングの投資対効果の可視化に苦心していることです。実際に弊社が行った調査では、データ可視化における課題として「コンバージョンが実成果へつながっているかわからない」「投資対効果がわからない」といった声が多く集まりました。
廣:広告の費用対効果を可視化するCPAは非常に便利な指標ですが、実際にデジタルマーケティング施策が事業の成果につながっていなければ意味がありません。そこでマーケターは、広告の投資対効果を見極めるためにデータ統合を試みます。
しかし、デジタルマーケティング施策のデータと顧客管理データが点在していたり、そもそも正確なデータが計測できていなかったりとデータ統合に挫折し、結果的に思ったようなデータの可視化ができないという状況に陥ってしまいがちです。
これら3つの課題は、実務に表立って影響が出るような問題が起こるまでは意外と意識しにくいところでもあります。ですから、問題が顕在化する前にきちんと認識・対策をしておくことが大切です。
課題を乗り越えるための3つのポイント
MZ:これらの課題にはどのように対応すべきでしょうか?
廣:マーケターは3つのポイントを押さえる必要があります。1つ目のポイントは、高精度なトラッキングによる乖離のない、正確なデータを得られる環境を整備することです。サードパーティーCookieの規制によって、これまで使っていたツールでは正確なパフォーマンスを得るのが難しくなっています。加えて自社で設定している場合はヒューマンエラーの可能性も否めません。これらの課題に対処するため、早急に環境を整える必要があります。
2つ目のポイントは、施策を統合管理し顧客単位での接触情報を可視化することです。企業が様々な施策を展開した結果、どのユーザーがどの施策に触れて顧客となったかをきちんと理解できていないケースが多くなっています。それらを統合的に管理・把握し可視化できる運用環境が必要となります。
MZ:3つ目はどういったポイントがカギとなりますか。
廣:施策の成果と成約データを統合して、売り上げ・利益への貢献度を可視化することです。施策の成果データとCRMなどの成約データを紐づけ、ROAS・ROI・LTVといった共通言語となる指標に落とし込み、事業目標に対してどのくらい貢献したかを可視化し、正しい投資判断を行っていかなければなりません。これは、非常に重要なポイントです。
これらの3つのポイントをシステムで構築できれば、各施策のKPIと事業目標が連動していくようになります。またうまくいかなかった場合も、次の打ち手に向けてPDCAを効率的に回せます。このように、マクロ環境の変化を捉え事業目標に基づいて施策の正しい成果管理を行う環境こそが、マーケティング運用の「あるべき姿」だと我々は考えています。
マーケティング運用の「あるべき姿」実現にアドエビスが有効な理由
MZ:3つのポイントを押さえマーケティング運用の「あるべき姿」を実現するためには、具体的にどういったことが有効なのでしょうか?
廣:これらに対応するために提供しているサービスが「アドエビス」です。1つ目のポイントである正確なデータについては、イルグルムの専任研究チームがデータ計測環境における国内外のアップデート情報やトレンドをいち早くキャッチアップし、対応した技術をアドエビスに反映しています。
2つ目のポイントである施策を統合管理し顧客単位での接触情報を可視化することについては、アドエビスではコンバージョン1件ずつのログデータを保持しています。これにより、ユーザーが顧客になるまでのコンバージョン経路が詳細に把握できるため、顧客理解が進み施策の役割が明確になります。
廣:3つ目のポイントである施策と成約データを統合した売り上げ貢献度の可視化については、主要なCRMツールとAPIの連携によって実現しています。受注データと施策の成果データを紐づけ、顧客単位でのカスタマージャーニーを可視化することで、事業目標に基づいた正しい投資判断が可能となります。
廣:こうした一連のシステムは、自社でフルスクラッチしたり既存のツールを組み合わせたりして実現しようとする場合、市場の目まぐるしい変化に逐一迅速に対応していかなければなりません。最新情報のキャッチアップや複雑な設定を施してデータを連携させる手間もかかります。しかしアドエビスをご活用いただければ、そういった手間をかけずとも正確なデータマネジメントを可能にする環境を整備できる点が大きなメリットとなります。
Salesforceと連携し、有効商談への転換率が約143%向上!
MZ:実際にアドエビスを導入した企業からは、どういった声が寄せられているのでしょうか?
廣:BtoB領域でアドエビスをご活用いただいているガラパゴス社をご紹介させていただきます。同社はこれまでも自社広告を運用されていましたが、それぞれ施策の良し悪しを見て“点”で運用するだけではなく「施策全体で捉え、役割分担をする“面”での最適化を図りたい」という課題感をお持ちでした。
そこで、すべての広告媒体を横断して情報を一元管理できるアドエビスを導入。CRMツールとして利用されていたSalesforceと連携させることで、有効商談につながったリードが広告やメルマガ、自然検索など、どのような経路で獲得されたものかを可視化することができました。
MZ:結果はいかがでしたか?
廣:獲得効率が大幅に上昇し、導入4ヵ月で獲得したリードの有効商談への転換率が約143%向上というパフォーマンスを記録しました。
また、CPA(有効リード獲得単価)を約20%改善。さらにレポート作業工数は、体感値として「従来比20〜50%程度削減できた」とお声をいただきました。
ガラバゴス社はアドエビスを通して、データを共通言語として関係者全員で共有できる環境の構築にも成功。同社はまさにマーケティング運用における「あるべき姿」を構築されたといえます。
正しい数字と各種機能でビジネス成長をサポート
MZ:今後の展望について伺えますか。
廣:アドエビスについて「広告効果分析ツール」や「アトリビューション分析サービス」にすぎないと思われているマーケター様もいらっしゃるかもしれません。しかしアドエビスの本質は、マーケティングの「あるべき姿」の実現を効果的にサポートできる点にあります。
時代を追うごとに日々アップデートを重ね、現在ではAPIを用いて様々なツールと連携できるようになりました。さらに、カスタマーサクセスの拡充によってお客様の不安を迅速に解消できる体制を整えています。
アドエビスはツールベンダーとして公正な立場で正確なデータを提供し、お客様のビジネスをサポートすることを大切にしています。「マーケティング環境の変化に対応しきれず困っている」「正しいマーケティング運用ができているか不安」などのお悩みを抱えている方がいらっしゃいましたら、ぜひアドエビスが課題解消を支援し、新たな一歩を踏み出す後押しをできれば幸いです。