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ヒットの裏にマーケあり

人が聞きたい話をせよ!永田町の勝たせ屋・鈴鹿久美子に学ぶ、有権者の心を動かす政治家の演説とは

 数々のヒット作の裏側には、どのようなマーケティングが潜んでいるのか――。デジタルマーケティングのコンサルティングでこれまで2,000社を超える企業を支援してきたナイル。その代表で起業家の高橋飛翔が、各界の著名人と対談を行い、ヒットの裏に隠されたマーケティングを深掘りしていく連載企画。ゲストは、通称「勝たせ屋」で知られる政治家のためのブランディング戦略家、InStyle代表取締役の鈴鹿久美子さん。前半では、負け続ける中で見出した成功の法則やタッグを組む人の見極め方についてうかがいました。後半では、勝率88%を誇る鈴鹿さんの「勝たせ方」についてお聞きします。

1秒かけたら負け。0.1秒の判断力と独自の判断基準が要

高橋 飛翔(以下、高橋):鈴鹿さんの経歴を拝見すると、日本で唯一の女性選挙戦略家として、勝率88%という驚異的な数字を残していらっしゃるのが印象的です。ご自身では、この理由をどう分析なさっていますか?

鈴鹿 久美子(以下、鈴鹿):勝率が上がったのは、クライアントに会った瞬間に依頼を受けるかどうか決めるようにしてからです。多少迷いが生じて、決定に1秒かかると負けますね。0.1秒くらいで決めるのが私の中ではベストです。

 また、受けていいと瞬時に判断できる人がたくさんいたとしても、同時に受けるのは3人までと決めています。選挙は長丁場になることも多くて、場合によっては、一人に4年かかることもあるんです。

 スタッフでもできるポスターの制作や、ちょっとしたアドバイスなら間に差し挟むことができますが、24時間365日、何があってもすぐに飛んでいけるような関係性を作るとなると3人が限界です。体以上に、心がもちません。ですから、自分の勘を信じて、選ぶのは3人まで。これを徹底しています。

鈴鹿 久美子(すずか・くみこ)

 政治家のためのブランディング戦略家、InStyle代表取締役。政治家の育成、選挙コンサルティング、国会議員秘書の人材紹介会社を経営。15年で6人の政治家に仕え、勝つためのノウハウをブランディング戦略として体系化。通称「勝たせ屋」として素人から当選へ導いた政治家は60名を超え、勝率は88%を誇る。

高橋:自分がコミットできる上限を知ることは大切ですよね。なんでもかんでも手を広げると一つひとつの取り組みが中途半端になり成果が出なくなってしまいます。

 また、厳選して仕事を選ぶ以上、自分がこの仕事をやりたいと思えるか、というのはとても大事ですね。やりたいからこそ情熱が生まれてくるわけですし、直感で決めないと自分の中で仕事を受けるべき言い訳を考えてしまい、ピュアな意思決定から乖離してしまうのでしょうね。

鈴鹿:よくわかります。私も最初の判断が勝率に直結するとわかってから、「自分の気持ちに素直に従って、迷わず決める」ことをより徹底するようになりました。

敗北と向き合うことで勝率を挙げる

高橋:事業も同じですが、どんなに周到に準備して、徹底的に情報を精査してもうまくいかないことがあります。好きだからこそ続けられるし勝つ可能性も引き上がっていく。それでも中にはうまくいかないことも当然あるわけですが、鈴鹿さんはご自身の12%の負けとどう向き合っていますか?

鈴鹿:負けたクライアントには、お金を払ったのに負けたと関係が切れていく人と、もう一度一緒に戦いたいってつながりが深くなる人がいます。

 特に関係が切れてしまった人のことは、1日たりとも忘れたことはないです。毎日思い出すんですよ。「あの人どうしているかな」「また挑戦するって言っていたけど、誰かに騙されていないかな」って。

高橋:そうやって「負け」に心を寄せながら試行錯誤することで、また勝率が上がっていくのかもしれないですね。政治の世界はなおさらだと思いますが、勝負には時の運もあるから負けるときもある。それでも2回3回とチャレンジを続けると、以前の反省を踏まえて施策の精度が向上して勝率が上がっていくというのはある気がします。

 1回チャレンジしてうまくいかなくても、2回3回と粘り強く続けていくことが大切ですよね。そして、それが同じタッグでやれるなら、なお良いですね。

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この記事の著者

高橋 飛翔(タカハシ ヒショウ)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。

 ナイルにて、累計1,500社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足し「ナイルのマーケティング相談室」「ナイルのコンテンツ相談室」などを運営。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/28 08:30 https://markezine.jp/article/detail/41650

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