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事実上の日本版Cookie規制として注目の「改正電気通信事業法」
Cookieなどによるオンライントラッキングの問題や、2021年に問題となったLINEの中国への業務委託問題などに対応するため、改正電気通信事業法については2021年3月頃から議論が重ねられてきました。結果、2023年6月16日に施行されることが決定しています。
この中でオンライントラッキングの問題に対応しているのが「外部送信規律」です。外部送信規律はWebサイトやアプリにおいて利用者の知らないうちに第三者に利用者の情報が送信されている問題に対処するもので、具体的には「事業者が利用者に関する情報を第三者に送信させようとする場合、利用者に確認の機会を付与する」となっています。必要な事項の公表や通知を行う必要があるため、事実上の日本版Cookie規制として注目され、またその規制対象はCookieだけにとどまらず、対象事業者もわかりにくいことから多くの議論を呼んでいます。
加えて、この改正電気通信事業法は一部経済団体のロビイングによる「改正潰し」の動きが報道されるなど、成立までに様々な議論が繰り広げられ、改正の動きが注目されてきました(参照『ネットの利用情報、総務省の法改正にIT企業が「懸念」表明…突然「延期」の舞台裏』読売新聞オンライン)。
個人情報保護法ではカバーされていなかった課題
Cookieは2022年4月に改正された個人情報保護法によって規制対象になったのでは? と思われた方もいるかもしれません。たしかにCookieなど個人に関する情報については「個人関連情報」として個人情報保護法で定義はされました。
しかし、個人関連情報は第三者に提供され、それが日本の個人情報保護法における「個人情報」に紐づけられる場合のみが規制対象となっており、Cookieなどのオンライン識別子それ自体は規制対象となっていません。また、「第三者提供」の考え方の範囲も狭く、たとえばGoogle広告のタグをWebサイトに設置してGoogleがCookieを含むデータを取得している場合、これは第三者提供ではなくGoogleによる「直接取得」であると解釈されます。つまり、個人関連情報の第三者提供にはあたらない、と解釈されるのです。そのため、諸外国の規制と比較すると、利用者の権利利益が十分に保護されている状態とは言えず、Cookieなどによるオンライントラッキングの問題は依然として課題が残っていました。