画像・動画収集サービス「Pinterest」
昨今はさまざまなSNSやコミュニケーションツールが企業のマーケティング活動に利用されていますが、Pinterest(ピンタレスト)もその一つです。画像・動画収集サービスであるPinterestには、ほかのSNSにはない独自機能があります。
本記事では、Pinterestの特徴や機能、マーケティング活動に活かすためのポイントを紹介しますので、ぜひお役立てください。
Pinterestとは?Instagramとの違い
Pinterest(ピンタレスト)は、インターネット上や同サービスに投稿されている画像や動画を収集できるサービスで、公式サイトでは以下のように同サービスの強みを紹介しています。
“Pinterest はインスピレーションを刺激するアプリ。役に立つ自分にぴったりのアイデアを探して、それを実行したいユーザーの強い味方です。”
Pinterestとは「未来のため」のツール
Pinterestと比較されるサービスとして、Instagramが挙げられます。
Instagramはおもに、ユーザーの記録や興味関心のある内容を画像や動画を通じて共有するSNSです。Instagramでは自分で画像を撮影・加工して「投稿する」使い方がメインである一方、Pinterestはすでに投稿された画像や写真を「収集する」使い方をメインとします。
Pinterestは、自分の日常や作品をシェアするというより、自分の好みのブランドや世界観を収集したり、ほかのユーザーに知ってもらったりするためのサービスといえるでしょう。
一般的なSNSは「今何をしているのか」「過去に何をしてきたのか」といった、時系列を意識した投稿が中心です。
一方のPinterestは「未来の自分のために使うサービス」といわれています。その理由は、個人ユーザーでいえば旅行を計画する際にPinterestで旅先を見たり、外出時のコーディネートを調べたりといった使い方がされるためです。
企業であれば、Webデザインやロゴなどを制作する際のアイデアを探しに活用できます。そのため、Pinterestユーザーの利用感覚は、SNSよりもインターネット検索に近いといえるでしょう。
実際にPinterestでは、自分で撮った写真をアップする使い方よりも、外部メディアやほかのユーザーがシェアした画像を収集する使い方が中心になっています。
Pinterestが企業にも向いている理由
Pinterest上で画像をクリックすると、投稿元のサイトに遷移するように設計されているため、企業のプロモーションにも活用できます。自社アカウントを運用し、ほかのユーザーが興味関心を持ってくれるような運用を行えば、自社サイトなどへの送客が可能です。
Pinterestにおけるユーザーの行動は、おもに「Discover(発見)→Save(保存)→Do(行動)」の3種類に大別できます。特に、Pinterestは「Do」のアクションにつながりやすい点が特徴で、遷移や問い合わせ、購買行動といったアクションを高い確度で見込めるでしょう。
また、Pinterest社が公表している内容によると、そもそも情報を求めてPinterestを利用するユーザーが多いため、購買意欲が高く、結果的にコンバージョンの期待値も高いとされています。
このように、Pinterestでは顕在化した興味関心を持ったユーザーが集まりやすいため、質の高い商品やサービスを提供している企業が、ターゲット層のニーズに効果的な運用を行えば、認知拡大や売上向上が期待できるでしょう。
TwitterやInstagramといったSNSと比較すると、活用する企業が少ない印象のPinterestですが、実際には参入企業も多く、さまざまな業種で活用しがいがあるサービスといえます。
Pinterestの登録手順
Pinterestへの登録手順は、以下の4ステップに大別されます。
手順1. Pinterestへのアクセス
手順2. アカウントの登録方法の選択
手順3. アカウント登録
手順4. 「5つの興味関心」の選択
手順1. Pinterestへのアクセス
Pinterestに登録するには、まずサイトへアクセスし、画面右上に表示されている【無料登録】ボタンを選択します。
手順2. アカウントの登録方法の選択
その後、アカウント登録用の画面が表示されますので、メールアドレスを使って登録、あるいはFacebookやGoogle、LINEアカウントを使ったログインが可能です。
手順3. アカウント登録
メールアドレスを使って登録する場合は、メールアドレスと任意のパスワード年齢を入力します。
入力を終えたら【続行】ボタンを押します。その後、ジェンダーを選択し、ドロップダウンメニューから言語と国/地域を選択します。
手順4. 「5つの興味関心」の選択
最後に、「5つの興味関心」を選ぶ画面に遷移します。Pinterestでは、その情報をもとにアカウントのホームのフィードがカスタマイズされます。フィードに表示したいカテゴリを5つ選択すれば登録は完了です。
Pinterestの基本的機能と使い方
Pinterestの主要機能は、以下のとおりです。
- Pin(ピン)
- Board(ボード)の作成と活用
以前あった「Like(いいね)」機能は「保存」機能に集約されました。次項より、それぞれ個別に解説します。
Pin(ピン)
「Pin(ピン)」とは、Pinterest内で閲覧できる画像や動画などのそれぞれを指します。保存機能を使えば、Pinを「ブックマーク」することができ、ホームフィード・検索画面に表示され、同じ画像を複数のボードにピンすることも可能です。
Board(ボード)の作成
「Board(ボード)」とは、収集した画像を保存しておくお気に入りフォルダのような機能です。Pinを保存する際は、必ず保存先であるボードを選択しなければならないため、ボードがまだない場合は作成する必要があります。
ボードは、Pinterestプロフィール画面の【保存コンテンツ】タブにある【+】をクリックし、【(作成する)ボード】を選択することで作成可能です。
ボードはサブボードを作成して整理をしたり、やることリストを作ったりすることができます。任意のボード内にある「+」ボタンから追加ができます。
このボードには他のユーザーを招待することができるので、チームでイメージの共有をするなど、業務に活用することができます。
Pinterestの便利な機能
そのほかにも、Pinterestでは次のような機能が実装されます。
- 画像検索機能
- アイデアピンの作成機能
- コメント機能
それぞれ個別に解説します。
画像検索機能
Pinterestでは、ユーザーが画像検索を行うための機能が2種類実装されています。
- キーワード検索
- Pinterest レンズによる検索
キーワード検索は、通常のテキスト入力による画像検索の手法です。Pinterestでは独特の検索アルゴリズムとなっており、検索したキーワードがPinのタイトルや説明文に含まれていなくても、関連性の高い画像が上位に表示されます。そのため、ユーザーは自分が探している画像にリーチしやすいといえるでしょう。
Pinterest レンズによる検索とは、Pinを画像や動画といったビジュアル起点で探せる機能です。Pinterest 上にある画像の内、特定範囲に絞って画像検索をしたり、似た画像を探したりできる仕様になっています。
そのほかにも、自分で撮影した写真を使って画像検索を行うといった活用方法も可能です。
コメント機能
Pinterestで気に入ったピンを見つけた際は、コメントを残せるようにもなっています。コメントは最大500 文字まで入力でき、「@」とユーザー名を入力すれば、 Pinterestの登録アカウントを最大5つまでメンションすることが可能です。
なお、コメントの表示/非表示については、投稿者側で設定できます。ほかのユーザーにとっても有益であるなどの理由で見てもらいたいコメントについては、ハイライトすることも可能です。
アイデアピンの作成機能
アイデアピンとは、複数の画像や動画、リスト、カスタムテキストを 1つのピンにまとめる機能で、ビジネスアカウントで利用できます。
画像や動画を組み合わせたページ構成や、短い動画としての投稿も可能です。商品カタログや複数のトレーニングのまとめ動画、写真と動画を組み合わせたレシピ動画を作成したりできます。具体的には、以下の機能を利用できます。
- 複数の動画や画像を組み合わせたページ構成投稿やまとめ動画を作成し投稿が可能
- 動画や写真にテキストや音楽を追加する編集機能
- タグトピックを最大10件まで追加でき、ターゲティング可能
ボードにアイデアピンを作成した場合、その他ピンと一緒にビジネスアカウントのプロフィール画面の【作成コンテンツ】タブに表示されます。
Pinterestのマーケティングへの活用方法
企業組織がPinterestを利用する場合は、以下のような活用方法があります。
- 受注確度の高い新規リードの獲得
- 有形商材の訴求や自社ブランディング
- 自社サイトへの誘導もしやすい
各詳細を解説しますので、自社で活用する際のヒントにしてください。
受注確度の高い新規リードの獲得
Pinterestユーザーは、閲覧をきっかけにして購買行動をとる頻度が高い傾向にあります。
株式会社ネオマーケティングの発表している「SNSでの商品購入に関する調査」によると、Pinterestユーザーの約5割が「SNSで商品を購入する頻度」について「よく購入する」「ときどき購入する」と回答しており、確度の高さがうかがえます。
また同調査では、Pinterestは第1位のInstagramに次いで購入頻度が高いこと、検索キーワードの約97%は特定の商品やブランド、企業名を含まない「ノンブランド」の検索であることが発表されています。
さらに、Pinterestユーザーのホームフィードに流れてくる情報は、それぞれのピンやボードの情報をもとにパーソナライズされています。つまり、自社が発信する情報に対する興味関心の度合いがより見込み顧客に情報を届けやすい設計になっているのです。
そのほかにもPinterestには、ユーザーの興味関心に即したトピックだけを閲覧できるよう、ボードのみをフォローできる機能も実装されています。このような点からも、Pinterestは将来的に顧客になり得る可能性の高いリードの獲得に適した媒体だといえるでしょう。
自社のマーケティングにPinterestを取り入れる際は、ボードのみをフォローできる機能を想定してボード構成を設計すれば、より効果的といえます。似たターゲット層であっても、ニーズが異なるケースは当然あるため、細かくボードを分けておくことで、よりユーザーごとに最適化されたコンテンツを提供可能です。
結果的に、ユーザーにとって利便性の向上にもつながり、ロイヤリティや購買率の向上にもつながりやすくなるでしょう。
有形商材の訴求や自社ブランディング
Pinterestは画像や動画がメインの媒体ですので、視覚的なアプローチが効果的な衣料品やインテリア用品、消費商材などの有形商材を扱う業種と特に相性が良いといえます。
しかし、ここで注目したいのは、ビジュアライズしづらい教育系サービスやコンサルティングサービスといった無形商材でも十分に活用できる点についてです。
最近Pinterestでは、情報を画像化して発信するパターンのピンも増えています。イメージ写真なども必要ないので、商品の形を問わず、活用することができるためです。
Instagramも情報発信ツールとしてビジネス目的で活用されていますが、Pinterestでも自社商材の特性や発信したい情報に合わせて投稿のスタイルを変えることで、効果的な情報発信が可能です。
認知度の低い商品やサービスの場合、自社サイトにおける情報発信だけでは認知拡大が課題になりがちですが、Pinterestにはより関連性の高いユーザーに自動的におすすめ表示をしてくれる仕組みが備わっているため、効率的にアピールできます。
前述のコメント機能などを活用してユーザーとコミュニケーションを図り、関係性を深めることで、購入確度をさらに高めることもできるでしょう。
自社サイトへの誘導もしやすい
Pinterestでは、ピン(投稿)にリンクが設定でき、画像や動画を見たユーザーが投稿から直接Webサイトへ遷移させることも可能です。
自社商材に興味を持ったユーザーが、「情報にすぐアクセスできる」というスムーズな導線設計ができる点は、Pinterest独自の強みといえます。自社で運用するオウンドメディアやサービスページに送客することで、各マーケティング施策間での相乗効果も期待できるでしょう。
企業によるPinterestの活用事例
以上を踏まえ、Pinterestを自社のマーケティング活動に導入している企業例を紹介します。
Honda
“車のホンダ”として有名な「本田技研工業株式会社」では、Pinterestでフィットやアコード、オデッセイといった自社製品の画像を中心としたページを作成しています。
車種ごとにボードを分け、さまざまな使用シーンや風景を見せることで、商品の魅力を発信しています。車のような単価が高めの製品であっても、Pinterestを有効活用できることを示す好例といえるでしょう。
H.I.S Japan
「H.I.S. Japan」のPinterestでは、カナダやタイ、中国など国ごとのボードに加え、「学生旅行」「一人旅」などのテーマ別のボードも設定されています。
さらに、「his_blue」「his_orange」などの色別ボードでは、ユーザーによって提供された写真を集めて掲載しています。このように、ユーザーも参加できるコンテンツを作っている事例は、無形商材を扱う企業にとって大いに参考になるでしょう。
Tasty Japan
「Tasty Japan」は米Webメディア「BuzzFeed(バズフィード)」が運営するフードネットワーク「Tasty」の日本版です。同メディアはFacebookやTwitterなど、多くのSNSを活用していますが、Pinterestでも料理やシーンごとに豊富にボード作成を行っており、「つい閲覧してしまう」設計になっています。
獲得リード数や閲覧数をおもなKPIとするケースにおけるPinterest活用例といえるでしょう。
まとめ
以上のとおり、日本におけるPinterestのマーケティングへの活用は日本ではまだまだメジャーではありませんが、参入企業も多く存在します。Pinterestを使えば、ほかのSNSとは異なる角度でユーザーにリーチすることが可能です。
有形商材はもちろん、無形商材とも相性の良いサービスですので、自社のマーケティング戦略への採用を検討してみてはいかがでしょうか。