世界中、さまざまな業界からクリエイターが集うテクノロジーと音楽・映画の祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)2023」が米国オースティンで開催された。日本から多くの人がリアル参加したのは、2019年以来4年ぶりのことだ。本稿は、2012年からSXSWに参加してきた電通 執行役員でCCOの佐々木康晴氏による「SXSW2023」のレポートである。テクノロジーが飽和状態になった今、それを使い倒す世界各国のクリエイターたちは何を思い、何を考えているのだろうか?
未来のヒントに溢れている、カオスでホットなSXSW
SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)のどんなところが好きかと聞かれたら、「カオスなところ」と答える。参加する人によって見るもの、感じるものが異なる、雑多で魅力的なイベントだ。
SXSWが日本で知られるようになったのは、2007年にTwitterがSXSWのWeb Awardを受賞したことがきっかけだろう。このストーリーがひとつの伝説のような形で語り継がれ、日本では「SXSW=スタートアップの祭典」として位置づけられていることが多いように思う。Twitterみたいな目立つ存在が発掘されるから、ウォッチしておいたほうがいいよ、と。
しかし、実際に参加してみて、本当にスタートアップの祭典だったかと聞かれると、答えに困ってしまう人が多いのではないだろうか。SXSWには、Film & TV Festivalという宇宙と、Music Festivalという全く別の宇宙、そしてInteractiveというさらに異なる宇宙が重なりあって存在している。たしかに、その中でInteractiveは、テクノロジーの種がビジネスとして花開く可能性を秘めた場所であることは間違いないのだが、ただ「トレンドをウォッチするため」に行くと、その多元宇宙からは何も見えてこないかもしれない。何か予見を持って参加し、現地で見つけた輝く星々のような事例やトークを強引につなぎ、次代を示す星座を自分で描いていく――そんなふうに楽しむイベントなのだと思う。
筆者が初めてSXSWに参加したのは2012年のこと。当時はニューヨークに赴任したばかりの時期で、「SXSWってなんですか?」状態だったのだが、アメリカ人の同僚から「カンヌなんかよりもSXSWが一番ホットな場所だぜ」と言われたことをきっかけに足を運んだことを思い出す。当時のエージェンシーにとって、クライアントがSXSWに参加するのを助けることはクールな仕事のひとつであった。
そこから時代は変わり、昔に比べるとSXSWは元気がなくなったのでは、ホットなものはもうそこにはないのでは、という声も聞こえる。しかし、相変わらず2023年のオースティンはカオスで、未来のヒントに溢れていると感じた。
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佐々木 康晴(ササキ ヤスハル)
株式会社 電通グループ グローバル・チーフ・クリエーティブ・オフィサー、株式会社 電通 統括執行役員(クリエーティブ)
コンピュータサイエンスを学び、入社後はコピーライターに。電通のインタラクティブ・クリエイティブ部門の創設メンバーとなり、電通アメリカのエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター、第4CRプ...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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