まずは各種KPIの相関関係を把握せよ
BtoBマーケターに向けてKPIの管理方法を紹介する本セッション。シャノンの藤井里名氏はまず、会社全体のKPIとして「受注」「商談」「アポイント」「応答」「フォロー数」の五つを挙げた上で、これらとマーケティング部が追うKPIの相関を数式によって整理する。
KPIと聞くと、マーケターは申し込み率やCV率などの細かな数値を見たくなるものだが、「まずは会社全体のKPIを理解し、マーケティング部が管理しているKPIとの相関を確認する姿勢が重要」と藤井氏。同社の村尾慶尚氏は先の数式について「マーケティング部で担うことの多い『獲得リード数』というKPIが、フォロー・応答・アポイント・商談・受注に相関していることがよくわかる」とコメントする。
次に藤井氏は、KPIの数値を改善するための方法を二つ紹介する。一つめの方法は、他部署との調整だ。
「マーケティング部の中には『商談数』をKPIに設定している担当者もいるでしょう。数式を見ればわかるように、商談数の目標値を達成するためには、自分たちの獲得リード数だけでなく、インサイドセールスのフォロー数や営業担当者のアポイント数も調整する必要があるのです」(村尾氏)
二つめは、各施策にフォーカスして改善を進める方法だ。但し、この方法においても「他部署との調整は発生する」と藤井氏。たとえばマーケティング部門が施策の見直しによってリード獲得数を改善したとしても、インサイドセールスのフォロー数が増えなければフォロー率は上がらない。周りを巻き込むためにはどうすれば良いのか。藤井氏は「商談獲得単価」という共通指標の有用性を提唱しつつ、施策別の具体的な改善方法を紹介する。
問い合わせと資料請求のフォームを明確に分ける
まずはWeb施策の改善方法について。藤井氏は前段として、Web施策のKPIを「集客」「接客」「送客」のプロセスに分けて整理する。集客がうまくいっているかどうかはアクセス数で、接客がうまくいっているかどうかはコンバージョン率/数で判断でき、コンバージョンが次のフェーズに引き上がっているかどうかはフォロー数・応答数・アポ数などに着目すれば判断できるわけだ。
集客において「指名検索数」を課題に挙げるマーケターは多いが、藤井氏はコンバージョン率から改善することを強く勧める。その理由は「既にWebサイトへ来訪している人の中に、取りこぼしている人が紛れているから」だという。
「BtoBの購買プロセスによくあるパターンとして、上司から情報収集の指示を受けた部下がWebサイトを来訪しているケースが挙げられます。このケースが指示型です。部下の方の多くは『製品を深く知りたい』ではなく『資料をクイックに入手して社内に展開したい』というモチベーションでサイトを訪問しています」(藤井氏)
指示型の人を取りこぼさないためには、どうすれば良いのか。藤井氏は「問い合わせフォーム」と「資料請求フォーム」を明確に分けることを提案する。なぜなら、具体的な内容を問い合わせたい人と、ただ資料を請求したい人のモチベーションは異なるからだ。シャノンでは問い合わせフォームと資料請求フォームを分けたことにより、問い合わせ件数の約4倍にあたる資料請求数を獲得できたという。