交通広告は事前の仮説立てが重要
藤盛:交通広告は事前の仮説立てやストーリー設計が非常に大切です。最近は掲出中の運用が効くデジタルサイネージも増えてきていますが、鉄道系の交通広告はポスターや看板などのアナログ媒体が6~7割を占めています。クリエイティブの差し替えはできるものの、事前にタイミングを決めておく必要があります。
桒田:MONOLITHの場合は、店舗の近くに交通広告を出稿することで認知拡大と来店を促せるのではないかと仮説を立てました。そのため、看板の掲出場所は表参道駅内でもピンポイントで指定しています。またMONOLITH AOYAMAの世界観を伝えるため、チーム内のブランディングディレクター・アートディレクターと議論を進めながら表参道駅ユーザーに合うクリエイティブを柱巻、ポスター、看板とそれぞれ制作しました。丸の内にも店舗があるのですが、お客様の雰囲気や購入される商品が異なるため、「表参道に合うもの」と「広告の連続性を意識したストーリー」を考えました。
MZ:プランニング時のデータ活用が重要そうです。どのようなデータを参考にするのでしょう?
藤盛:移動者の特性や見込めるリーチ数は可視化できます。実際の駅構内の視察と合わせることで、プランニングのヒントが得られます。たとえば当社の東京メトロユーザーの行動DNA分析では、表参道駅の来訪者は駅を基点に半径1km以内を徒歩で移動することが多いです。私もMONOLITH AOYAMAを訪れた時、ランチをするためにぐるぐる回っていました(笑)。また、女性はリアルな購入体験を求める傾向が高い一方、男性はECを利用する傾向も見られます。これらのデータをもとに、男性のお客様にはウィンドウショッピングを楽しめるような設計にしたり、ECでスムーズに購入できるようなPOPを設置したり、といったストーリープランニングも可能となります。
交通広告は計測が難しい!?
MZ:交通広告は効果計測が難しいとも言われますが、その点はいかがですか?
藤盛:位置情報サービスの普及により、アクチュアルのリーチ数などはレポーティングされるようになってきています。スマホの捕捉からECや決済アプリと連携したり、広告効果計測ツールで計測ロジックを作り、コンバージョンまで計測しているケースもあります。最近はビュースルーコンバージョンを指標として、交通広告・OOHを高く評価してくださるクライアントも増えてきています。
また、位置情報サービスを使わずとも効果計測はできます。特に日用消費財の小売などと比較して、1日の来店数が少ない店舗形態の場合、来店時のアンケートや店員によるヒアリング集計の方が有効です。MONOLITH様はどうされましたか?
桒田:MONOLITHはお客様への接客をしっかり行うため、会話の中で自然と来店経緯が話題に出ている様子です。現場のスタッフも広告効果を体感し、次の改善案も考えてくれています。