3ステップで簡単に理解する、CEPの調査スキーム
当社では、カテゴリーエントリーポイント(Category Entry Point、以下CEP)の調査スキームとして、「特定」「発想」「評価」の3つのステップに分けるアプローチを取っています。この調査スキームは、サイモン・ブランチャードらが2012年に発表した論文「Identifying consumer heterogeneity in unobserved categories(和訳:未観測カテゴリーに基づいて消費者の異質性を特定する)」を参考に開発したものです。
ステップ1:特定
では、最初のステップにあたる「特定」から解説していきましょう。
「特定」のステップでは、消費者の頭の中にあるカテゴリー構造を明らかにし、そのカテゴリーの購買や使用を連想するシーン、すなわちCEPを調査から抽出していきます。たとえば、ワインであれば、以下のようなアウトプットイメージです。
この例は、ワインを中心に他の商品カテゴリーを含めてどのように分類されるか、その分類で購買・使用を連想されるシーンは何か、そしてそれを連想する消費者はどのような特徴を強く持っているかを分析したものです。
たとえば、「週末の高級おつまみ」として連想されるのは、ワイン以外には紅茶・コーヒー、和菓子があり、シーンとしては「リラックスしている時」や「自分にご褒美をあげたい時」に連想されることを示しています。また、そのような連想をよくする人は「自分の趣味に没頭する時間を大切にしたい」という価値観を強く持っていそうな人だ、ということが明らかになっています。
特に重要なのは、「週末の高級おつまみ」の分類の中では、ワインカテゴリーの購買額が、紅茶・コーヒーカテゴリーの購買額よりも小さいという情報です。つまり、「リラックスしている時」や「自分にご褒美をあげたい時」というCEPは、ワインカテゴリー、もしくはあるワインブランドにとって、市場シェアを拡大するまたは市場そのものを成長させられる余地が大きいCEPだと言えるかもしれません。ここで発見したCEPの有望性を判断するのに役立つのが「自己受容感」という指標です。