自己受容感の傾向を洞察し、新たなコンセプトを発想する
自己受容感とは、一言で言うと、「自分のことが好きかどうか」を問う指標です。当該CEPでカテゴリーを使用・飲食している時の自分が好きかどうかを問い、「嫌い」の割合が多ければ多いほど、そのCEPはすわりが悪そうだと判断します。こうして有望なCEPを「特定」できたら、次は自社商品を打ち出すのに効果的なコンセプトを「発想する」ステップに移ります。
ちなみに、当社でCEPの調査を行う場合は、以下のような表を用いて、様々な商品やカテゴリーの画像を回答者に任意に分類してもらうことで、CEPを抽出しています。この表を使い、自社商品に置き換えて社内でワークショップを実施してみると、いつもの枠組みでは思いつきづらい、新たな訴求点の発見につながるかもしれません。ぜひ活用いただければと思います。

ステップ2:発想
自社商品を打ち出すのに効果的なコンセプトを発想していく時、着眼点として、「自己受容感の低さが何によって生じているか」を見ていきます。たとえば、睡眠補助薬や睡眠補助サプリをよく購入している人の「睡眠補助薬およびサプリを飲んでいる時の自分があまり好きではない」、すなわち「自己受容感」が低かったとします。
「睡眠時間の短さ」が、その人が「強さ」や「優秀さ」というイメージを社会的に連想させているようだ、という様々な研究があります。このことから、「仕事が忙しい時」に「睡眠補助薬およびサプリを飲む」というのは、短い睡眠時間で高いパフォーマンスを発揮できないダメな自分を連想させ、自己受容感を下げていると解釈できるかもしれません。
このような「弱さを自覚させてきた」睡眠補助薬・サプリに対して、ヤクルトの「Yakult1000」は、同じ睡眠補助という機能を持ちながら、「自らの強さを確認する」というコミュニケーションを展開してきました。「Yakult1000」の大ヒットには、この転換が一因としてあるのではないかと筆者は考えています。
使用・飲食している時に自己受容感を下げる傾向にあるカテゴリーないしそのCEPを特定し、何が自己受容感を下げているのかを洞察することで、効果的なコンセプト発想につなげることができます。調査を行う際は、本調査前に一定の先行研究レビューを行い、調査カテゴリー群の使用・飲食において自己受容感を左右しそうな指標にあたりを付けた上で実施するのがポイントです。