このレポートは、新聞・雑誌・テレビ・インターネット・屋外広告など19のメディアに投下した広告費を対象としており、オンライン広告では、ディスプレイ広告のみを調査対象としている。このため調査対象外となるダイレクトマーケティングやプロモーション、検索連動型広告や動画広告については推計データを示している。
発表されたデータによると、2007年の総広告費は1.7%増の1490億ドル。そのうち、調査対象であるメディア広告の伸びは0.3%にとどまり、2001年の景気後退以来の低水準となった。その一方で、総広告費の約4割を占める調査対象外の広告費は3.6%の伸びを示している。
媒体別の広告費とシェアを見ると、「雑誌」の303億3000万ドル(20.4%)を筆頭に、「新聞」282億2000万ドル(18.9%)、「ネットワークTV」254億2000万ドル(17.1%)、「ケーブルTVネットワーク」180億2000万ドル(12.1%)、「スポットTV」168億2000万ドル(11.3%)に続いて、「インターネット」113億1000万ドル(7.6%)、「ラジオ」は106億9000万ドル(7.2%)となっている。
このなかで明暗を分けたのは、インターネットと新聞。総広告費の7割を占める主要クライアント企業100社のデータでは、新聞広告費は8.5%、テレビ広告費は1.2%削減され、両者の削減分を合わせた約10億ドルがインターネット広告費に流れたもよう。その結果、インターネットディスプレイ広告費は33%増となっている。
また、今回調査では53回を数える調査史上、はじめて1社あたりの総広告費が50億ドルを超える企業が出た。2007年に広告費として52億ドルを使ったのはProcter & Gamble。洗剤、家庭用品、ヘアケア製品などのブランドを持つこの企業の広告費は、2位のAT&Tの32億ドルを大きく上回っている。企業の広告費ランキングの上位10社は次のとおり。
1位 Procter & Gamble Co.
2位 AT&T
3位 Verizon Communications
4位 General Motors Corp.
5位 Time Warner
6位 Ford Motor Co.
7位 GlaxoSmithKline
8位 Johnson & Johnson
9位 Walt Disney Co.
10位 Unilever
昨年3位だったGeneral Motorsは4位に後退し、5位だったVerizon Communicationsが3位に浮上している。また34位には、米国政府が11億2000万ドルで36位にランクイン。ブランド別の広告費ランキングでは、「U.S. Army(米国陸軍)」(クライアントは米国政府)が1億7600万ドルで96位にランクインしている。
このレポートでは、各種ランキングのほか、企業ごとの詳細な媒体別広告費や、広告費1ドルあたりの売上げも閲覧することができる。ちなみに、Procter & Gambleの広告費1ドルあたりの売上げは6.1ドルで、同じパーソナルケア分野のトップであるUnileverの8.2ドルを下回っている。自動車メーカーではToyota Motorの45.5ドル、テクノロジー分野ではIBMの65.3ドルがトップとなっている。
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