SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

田中洋が紐解く、ビジネス成功のキーファクター

さらなる個別化が進む人生100年時代。サントリーウエルネス沖中社長が語る、本来あるべきブランドの姿

 ブランド戦略論の第一人者であり、中央大学名誉教授でもある田中洋氏による本連載。第一回目は、田中氏たっての希望で、サントリーウエルネス 代表取締役社長の沖中直人氏にインタビューをした。人生100年時代に、企業はシニアといかに向き合うべきか? 広告に依存せず、健全かつ本質的なマーケティングを実現するには? 様々な話題で議論したインタビューの模様を、前後編に分けて紹介していく。

『伊右衛門』を作った沖中直人氏を取材

 テレビやオンラインで健康食品の広告を目にしない日はない。このような激戦区の市場において、サントリーウエルネスは、市場シェアNo.1企業として業績を着実に伸長させてきた。同社の社長を務めているのは沖中直人氏。沖中氏は、かつて『伊右衛門』を立ち上げ、そのブランドの基礎を作り、サントリー食品インターナショナルの基幹ブランドとして大きく成長させた実績を持つ。名実ともに日本のトップマーケターである。

 私は2005年に沖中氏に『伊右衛門』について取材したことがあるが、今回、以来18年ぶりに沖中氏にインタビューする機会を得た。なぜサントリーウエルネスはこの市場で飛躍することができたのか、また沖中流のマーケティングの考え方とはどんなものか、それを学ぶことが今回のインタビューの狙いである。

本記事のポイント

1.沖中社長の言う「“個客”原理主義」とはどのようなことか

2.ユーザーとの新たな接点になる、サントリーウエルネスのサービスプラットフォームとは。

3.人生100年時代にサントリーウエルネスが得たシニアのインサイトとは何か

4.人生100年時代のマーケティングはどうあるべきか

団塊の世代をターゲットに成長してきた、サントリーウエルネス

田中洋(以下、田中):サントリーウエルネスさんは、20期連続の増収増益、現在、国内健康食品市場で1位の地位を築かれています。なぜ、そうしたことが可能だったのでしょうか。通販ビジネスでは、コアになるリピート顧客を掴むことが重要と言われていますが、サントリーウエルネスさんの場合はどうでしたか?

沖中社長(以下、沖中):2000年代、健康食品という世界は、必ずしも信頼性が高くなかったのではないかと思っています。我々の場合、幸いにも「サントリー」の信用力を活用できるというアドバンテージがありました。サントリーという企業への信頼は、車はTOYOTA、家電はPanasonicというように、ブランドネームを重視する団塊の世代の期待に応えるものでもあったわけです。

サントリーウエルネス株式会社 代表取締役社長 沖中直人氏
サントリーウエルネス株式会社 代表取締役社長 沖中直人氏

 また、サントリーウエルネスがビジネスを開始したのは、団塊の世代が「老い」を意識し始めた時期です。我々のコア製品のひとつ『サントリーセサミンEX』は、セサミンで取り組んできたエイジングに対する研究を活用した製品です。このサイエンスに裏付けられた製品が、いつまでも若々しくいたいという団塊の世代のニーズに、ドンピシャで合っていたんですね。

田中:サントリーウエルネスの事業は、最初からダイレクトでの販売を志向されていたのでしょうか?

沖中:当初は、ドラッグストアなどの流通チャネルも活用していました。実は、店舗での値引きなども経験してきています。そこから、2001年にダイレクトビジネスに方向転換して、資源を集中させてきました。

田中:メディアの使い方に、これまで変化はありましたか?

沖中:過去にはテレビ広告を中心に商品訴求をした時期もありました。しかし、現在はその手段をテレビ広告以外にも広げています。我々は、“ブランドを創る会社”と自分たちを捉えています。抗酸化作用などサイエンスに基づいた製品を世の中に送り込んでいる会社ですので、本当に良い製品であれば、広告だけに依存しなくてもよいはずです。また、サントリーウエルネスには営業パーソンがいません。ユーザーの中にアンバサダーを作り出していくのが理想的な姿なのだと思っています。

この記事はプレミアム記事(有料)です。ご利用にはMarkeZineプレミアムのご契約が必要です。

有料記事が読み放題!MarkeZineプレミアム

プレミアムサービス詳細はこちら

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラスをご契約の方は
・こちらから電子版(誌面)を閲覧できます。
・チームメンバーをユーザーとして登録することができます。
 ユーザー登録は管理者アカウントで手続きしてください。
 手続き方法の詳細はこちら

次のページ
何よりも注力すべきは「本物」のブランドを作ること

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
田中洋が紐解く、ビジネス成功のキーファクター連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

田中 洋(タナカ ヒロシ)

中央大学名誉教授。京都大学博士(経済学)。マーケティング論専攻。電通で21年実務を経験したのち、法政大学経営学部教授、コロンビア大学客員研究員、中央大学大学院ビジネススクール教授などを経て現職。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。『ブランド戦略論』(2017年、有斐閣)など20冊の著書と9...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/05/24 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42171

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング