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継続購入の実現で売上増!アサヒ飲料が「LYPマイレージ」で見据える新たな販促の形

「販促施策をこれまで以上に定常的に実施することで、継続購入につなげたい」。こうした想いを叶える手段として、LINE・ヤフー・PayPayが2023年3月に新たなサービスをリリースした。定常的な購入を通じてLTV向上に寄与する、マイレージ型の販促サービス「LYPマイレージ」だ。実際にアサヒ飲料ではこの「LYPマイレージ」にいち早く参画し、継続購入による売上増加に成果を上げているという。アサヒ飲料で販促を担当している森本忠宏氏、そしてLYPマイレージ事業を担当するヤフーの岡田憲氏、LINEの江田達哉氏の3名に、LYPマイレージが実現する新たな購買体験について聞いた。

LINE、ヤフー、PayPayの強みを生かした新サービス「LYPマイレージ」とは

MarkeZine(以下、MZ):2023年3月、LINE、ヤフー、PayPayの新たなマイレージ型販促サービス「LYPマイレージ」がリリースされました。まず、「LYPマイレージ」とはどのようなサービスなのか教えてください。

岡田氏・江田氏
(左から)ヤフー株式会社 マーケティングソリューションズグループ セールスプロモーションユニット ユニットマネージャー 岡田憲氏
LINE株式会社 Z販促事業本部 Z販促事業戦略室 室長 江田達哉氏

岡田:「LYPマイレージ」は、対象のリアル店舗もしくは「Yahoo!ショッピング」で対象商品を購入すると、商品ごとに設定された購入達成額に応じてPayPayポイントなどの特典が受け取れるサービスです。

 その特長の1つが、商品を購入するだけで自動的にマイレージが蓄積されていく利便性の高さです。事前のエントリーや登録も不要なため、ポイ活(ポイントを貯めたり、貯めたポイントを活用すること)に熱心な方でなくとも、自分の好きな商品やブランドを購入するだけで、自然とマイレージを貯められるサービスになっています。

 また、リアル店舗とYahoo!ショッピングの双方で同一商品を購入した場合、購入金額を合算することもできます(※)。オンラインとオフラインの枠を超えて、マイレージを貯められる世界観を目指しています

LYPマイレージの概略図
「LYPマイレージ」の利用方法

※ 購入金額の合算においてはYahoo! JAPAN IDとPayPay IDの購買データを連携するため、ユーザーは注意事項への同意が必要となる。同意しない場合は合算はされず、「PayPay」のミニアプリからはオフラインでの購入金額が、ブラウザー版「Yahoo! JAPAN」および「Yahoo! JAPAN」アプリからはオンラインでの購入金額が、それぞれ確認できる。

MZ:「商品ごとにマイレージが貯まる」というのは、具体的にはどのようなイメージですか?

岡田:商品ごとにポイントカードが発行されるイメージです。自分の好きなAという商品を継続的に購入することで、Aのポイントが貯まっていきます。

 従来の販促施策では、商品にちょっとした景品やポイントを付けるなど、「1回の買い物に対するお得感」を訴求するケースが多かったと思います。一方、「LYPマイレージ」は商品を継続して購入いただくことを目的にした販促ソリューションのため、「1回の買い物にお得感を打ち出す」のではなく、「継続的に買い続けることでお得が返ってくる」。これが、他サービスとの大きな違いと捉えています。

 もう1つの特徴は、リアルとECのショッピングの両方でマイレージが貯まっていくことです。このサービスに参加している小売店の皆様からPOS情報をいただき、我々が決済番号を紐付けることで、誰がどの商品を購入したのかをユーザー単位で把握するようにしています。

MZ:他のプラットフォームにはなく、LINE、ヤフー、PayPayだからこそ提供できる「LYPマイレージ」の価値は何ですか?

江田:我々はコミュニケーションアプリ、EC、決済サービスと、それぞれがすでに多くのユーザーに利用いただいている大規模なプラットフォームです。多くのユーザーに使ってもらいやすく、利用のハードルが低いというメリットがあります。

岡田:さらに、企業にとっても購買データの利活用という観点からメリットがあります。たとえばユーザーごとに「最近この人買っていないな」などの購入ステータスが明らかになるため、ユーザーの状況に応じてLINE公式アカウントからクーポンの配信を行うなど、最適なコミュニケーションが実現できるようになります(※)。

コモディティ化が進むお茶・飲料水カテゴリが抱える「継続購入」の課題

MZ:アサヒ飲料さんが「LYPマイレージ」への参画を決めた背景を教えてください。

森本氏
アサヒ飲料株式会社 マーケティング本部 プロモーション戦略部 販促企画グループ グループリーダー 森本忠宏氏

森本:まず、お茶や飲料水カテゴリの販促の課題についてお話します。近年、お茶や飲料水カテゴリの商品はコモディティ化が加速し、競争は一層激しくなっています。どの商品もおいしさだけではなく、何かプラスアルファの価値がないと「今日はこれを試してみよう」というきっかけが生まれません。

 上記カテゴリの販促施策というと、たとえばIP(知的財産)とコラボしたデザインパッケージを提供したり、景品を付けたり、デジタルポイントをキャッシュバックしたりといった取り組みが多く見られます。その理由はやはり「商品の差別化=他商品よりお得を打ち出すこと」が有効な手段になっているからです。

 そうした背景から、当社では販売促進の一環としてポイント施策を重視してきました。昨今は輸入原材料が高騰し、値上げラッシュが続いていることもあり、「キャッシュバックとしてポイントを付与する」という施策には一定の効果があると考えています。ROI(費用対効果)を考えても、制作工数やコストがかかる景品やパッケージデザインよりも、ポイント施策を実施するほうが効率的です。

 ただ、ポイント施策には課題もあります。そもそも販促施策全体に通じる話なのですが、キャンペーンで購入数が上がったとしても、キャンペーンが終わると売上効果が元に戻ってしまう。販促施策で得た新規ユーザーからリピートしてくれる方を増やしたいのですが、なかなか継続購入につながりにくく、単発施策で終わってしまうという点は課題に感じていました。

「継続購入の促進」「将来のデータ利活用の可能性」に期待

MZ:「LYPマイレージ」の継続購入を促す点に期待されたのですね。

森本:そうですね、これまでになかった定常的な販促プログラムであることに惹かれました。過去実施してきたポイントキャッシュバックキャンペーンでは1つ100円未満の商品に対して10〜20ポイントを付与していましたが、「LYPマイレージ」では「1,000円分の『十六茶』を購入すると、PayPayポイントを50ポイント付与」と設定しています。単発のキャンペーンより少ないポイント付与であっても、「購入し続けることでメリットがある」とお客様に思っていただければ、継続購入につながり、結果的に売上が増加すると考えました。

UI
「LYPマイレージ」のUI(イメージ)

 加えて、今後「LYPマイレージ」が拡大し、LINEのユーザーIDとPayPayの決済データを掛け合わせられるようになると、これまでより踏み込んだ販促ができるようになると期待しています(※)。当社がその施策の先駆者となるべく、「LYPマイレージ」にファーストエントリーさせていただいたわけです。

MZ:今後のデータ活用まで見据えての参画だったんですね。そのほか、魅力を感じた点はありますか?

森本:購入するだけでマイレージが貯まるので、わざわざ告知する必要がない点でしょうか。ポイント施策を行う際、プラスチックボトルなどに掲示シールを貼ってキャンペーンの告知をするケースも多いと思いますが、将来的には「環境に悪い」「エコではない」といわれる可能性があります。現在は小学校からSDGsについて学ぶ時代なので、その子どもたちが将来大人となった時に「実はアサヒ飲料は早期から環境配慮も考えた販促に取り組んできた」という点が販促やブランドとしての強みになるかもしれないと考えました。

森本氏

継続性の強みが発揮され売上が増加 小売店は顧客単価の向上効果も

MZ:「LYPマイレージ」への参画によって、これまでにどのような成果が得られていますか?

森本:「LYPマイレージ」対象商品の1つに、アサヒ飲料の「十六茶」があります。この「十六茶」について、調査会社のインテージが出している市場前年比と、「LYPマイレージ」に参加している小売業5社からPOSデータをいただいて前年比の売上を見たところ、「LYPマイレージ」対象店舗のほうが、売上が約20%高いことがわかりました。

 実は、当社は2023年4月に同じ無糖茶の新商品「颯(そう)」を発売していたため、「十六茶」の売上に影響が出ていたんです。「LYPマイレージ」対象外の小売店では前年比でみた売上が落ちてしまったのですが、「LYPマイレージ」の対象店舗では前年比でもほぼ横ばいの売上を記録し、ほとんど差はありませんでした。

 4月は「LYPマイレージ」がリリースして1ヵ月の時期で、ユーザーの方に「『十六茶』はお得なんだ」という意識が生まれてきた頃だと思います。そのため、大きなプロモーションを行わずとも対象店舗で「十六茶」が購入されるようになり、これだけの売上インパクトにつながったと考えています。

 まさに、期待していた継続性の強みが発揮された結果です。「LYPマイレージ」の対象店舗にとっても「これまで『十六茶』を買わなかったお客様がそのお店で買うようになった」ことで、小売店の顧客単価の増加につながったと見ています。

MZ:期待していた強みが売上にもしっかり結びついているんですね。「LYPマイレージ」全体としても売上効果は出ているのでしょうか?

岡田:アサヒ飲料様以外の商品も含めた全体感でお話すると、2023年3月に「LYPマイレージ」のリリースに伴った大々的なキャンペーンを行ったことも功を奏し、対象商品の売上総額は、2023年3〜5月計で目標比110%と好調に推移しています

 日用品カテゴリと比べると、飲料カテゴリは価格帯が低単価で購入サイクルが短いため、継続購入が増えれば売上に反映されやすい傾向があります。全体感としても、まさにそうした商品の売上増加がけん引して伸びていると考えています。

岡田氏

継続購入からのファン化やLTV向上に期待

MZ:継続購入からファン化の動きも期待できそうですね。

森本:そうですね。さらにブランドのファンが増え、LTV(顧客生涯価値)が向上するのではと期待しています。

 まずは「LYPマイレージ」を通じて「『十六茶』を買うのがお得だ」と認知され、「十六茶」を飲み続けているうちに商品の魅力も伝わってファンになっていただければ、ブランディングとしても大きな成果です。

 また、ファン化を進めるための動きとして、今後のアップデートによるデータ利活用にも期待しています。

 今後LINEのユーザーIDとPayPay決済データが紐付けられるようになれば、ロイヤルユーザー化する可能性が高い潜在層のユーザーを発見しやすくなります。また、それらのデータとLINE公式アカウントを連携させることができれば、その方が求める商品の情報を最適なタイミングで届けられるようにもなります(※)。

 さらに、決済データから購買傾向が読み取れれば、それに応じて購買離脱を防ぐためにクーポンを配布したり、新たなキャンペーンの案内を送ったりと先んじた打ち手も可能になります。

3名の写真

岡田:従来のスポット的な販促施策では、購入したユーザーのうち誰がロイヤルユーザー化するかはわかりませんでした。「LYPマイレージ」が描くデータ利活用の実現によって、ブランドを好きになって購入を続けている方が把握でき、将来的には一人ひとりに最適化した提案ができる仕組みも整います。

江田:森本様がおっしゃるとおり、将来的に「LYPマイレージ」で得られたデータとLINE公式アカウントが連携できるようになれば、最適なOne to Oneコミュニケーションが実現します(※)。ユーザーにとっても、自分の好みが反映された的確なレコメンドや特典を受け取れるようになることで、よりお得で便利な買い物体験につながると思います。この世界観が実現することで、LTVのさらなる向上に寄与することができます。

 そして、小売店様に関しては、対象店舗になっていただくことで「マイレージを貯めるためにこのお店で買おう」という来店の動機付けになりますし、ブランドからのレコメンドで購買単価が上がる可能性もあります。

江田氏

提供価値を拡大し、ユーザー・企業・小売店の三方良しを目指す

MZ:「LYPマイレージ」をきっかけに、アサヒ飲料として今後どのような販促戦略を展開していきたいか、展望をお聞かせください。

森本:岡田さんと江田さんがお話された世界観の実現によって、顧客データ管理がより進み、CRM(顧客関係管理)もさらに推進できると思います。これまで、当社の顧客データの中で最も保有量が多いのは、LINEのユーザーIDでした。そこにPayPayの決済データが加わることで、お客様のことがより立体的に理解できるようになるでしょう。

 お客様がブランドに触れる機会をより増やしていきたい当社としては、「LYPマイレージ」は良いきっかけになると思いますし、そこからLTV向上につなげていきたいと考えています。

森本氏

MZ:ありがとうございます。最後に岡田さん、江田さんから、「LYPマイレージ」の今後の展望についてもお話いただけますか?

岡田:我々プラットフォームが企業様や小売店様に求められているのは、ユーザーが欲する情報や伝えるべき最適な情報を理解して、直接届けられるような環境を作っていくことです。ユーザー自身がワクワクしながら商品を購入でき、企業様や小売店様に利益還元されることを目指しています。

 「LYPマイレージ」はその第一歩として、「継続的な購買を促す」という点を実現しました。連携できる機能の追加やデータ利活用を推進し、企業様、小売店様、ユーザーの皆様と、三方良しとなるようなソリューションにしていきたいです。

江田:我々が従来から行ってきたスポット的な販促施策に、定常的な販促サービスである「LYPマイレージ」を組み合わせることで、マーケティング施策のカバレッジを広げ、より効果をもたらす提案ができるのではないかと模索しています。実際に企業様と一緒に施策を展開していく構想も進んでいます。

 ただ、その施策はユーザーの日常の延長線上にあるものでなくてはなりません。 いつもの買い物、いつものコミュニケーションの延長線上で参加できるキャンペーンを展開することで、心地良い買い物体験でお得が返ってくる──そんなワクワク感を今後も追求していきます。

※LINE・ヤフー・PayPayのID連携開始後に「購買履歴に基づいた情報」がLINE公式アカウントより配信可能となる。LINEとYahoo! JAPANのID連携は2023年10月に開始する。その後、PayPayとのID連携を2024年度中に開始する予定。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:LINE株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/03 09:29 https://markezine.jp/article/detail/42476