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【特集】明快な方程式がなくなった、メディアプランニングの今

WBC期間中のテレビCM投下量が話題 カーネクストのメディアプランニング

「やるときはやる」WBC前後で認知率に変化

──次に、具体的なプランニング事例についてうかがいます。直近1年間で広告を出したメディアについて、デジタル・マスを問わず教えてください。

 デジタル広告で活用しているのはGoogleやYahoo!のリスティング、ディスプレイ広告と、各種SNS広告です。ほかにもCriteoなどのディスプレイ広告への出稿も強化しています。

 メディアを選定する際はボリュームを重視しています。一定のインプレッションが見込めることを条件に「問い合わせにつながるか」「そのメディアのユーザー層がカーネクストというサービスにマッチしているか」をしっかりと見ながら、日々PDCAを回しています。

 一方、オフライン広告のKPIはリーチの最大化です。こちらもボリューム重視でメディアを選定しています。テレビCMやラジオ広告をメインに出稿し、カーネクストのメイン顧客である40代・50代の方を意識してクリエイティブを制作しています。

「買うわ」の台詞が印象的なカーネクストのテレビ CM『クルマドンナ』篇
「買うわ」の台詞が印象的なカーネクストのテレビ CM『クルマドンナ』篇

 加えて、WBCやお笑い番組への協賛もしています。「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC東京プール」では、特別協賛社として参画しました。WBCの試合は世界各地で開かれましたが、そのうち日本国内で開催された全ての試合の大会名称に当社の社名を冠し、「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC 東京プール」として大会を盛り上げました。

 WBCが開催された3月は、1年のうちで中古車の売却需要が最も高まる時期なのです。マス広告とWBCを通じた露出でどこまでビジネスを伸ばせるか、考えながら出稿しました。

──実際のところ、成果はいかがでしたか?

 WBCの前後で認知率に変化が見られました。当社が独自に行った調査によると、WBC開催前は中古車の買い取りサービスとして実店舗を持つ大手買い取り企業の名前ばかり挙がっていましたが、WBC開催後はカーネクストの名前も挙がるようになりました。

 テレビCMを含めたマス広告では一定のリーチを獲得できたと感じています。ここからさらにボリュームアップを狙うためには、スポットCMの出稿を継続しながら別の層にもアプローチする必要があります。たとえば最近は地上波のテレビ番組を視聴せずに、ABEMAやYouTubeなどのストリーミングサービスでコンテンツを視聴する人がかなり増えていますよね。メディアとの相性の良さは出稿してみなければ正直わかりませんが、「テレビCMの露出を増やしている今こそ、認知をしっかり拡大していこう」と社内で動いています。

──WBCのスポンサー企業は、いわゆるナショナルクライアントが多かった印象です。そんな中でカーネクストが大胆な予算投下を決断できた理由はどこにあるのでしょうか?

 当グループ代表の「やるときは中途半端にやらず思い切りやる」という方針にあると考えます。さらに、従業員100名程度のコンパクトな組織だからこそ実現可能な意思決定のスピードも影響しているはずです。マーケティングチームの構成人数は、両手で数えられるほどの少数精鋭。出稿にあたっては、広告会社を極力挟まないインハウスでの運用を基本としています。

──マスを含めたメディアのプランニングから実際の運用までをインハウス、それも少数で行うのは相当大変な気がします。

 大変ですが、メディアプランニングから施策展開まで一気通貫で実行でき、スピーディーに意思決定できています。クリエイティブの制作にあたっては、一部広告会社の力を借りていますが、年間の出稿計画やKPIの設定、デジタルとマスをいかに連動させるかという戦略の策定は当社の上層部が行っています。上層部が決めた大枠に沿って、我々現場のメンバーがある程度主導権を握りながら実行する流れです。

 大きな企業では、マーケティングチームとPRチームの部署や場所が完全に分かれているケースが多いのではないでしょうか。その場合、たとえば「SNSとデジタル広告で別々の施策を行っていて、うまく連動できていない」ということも起こり得ます。また、デジタル広告・マス広告・SNSが三つ巴になってしまい、「どのメディアで何をやっているのか」が見えづらくなることもあるはずです。

 当社はベンチャーIT企業ということもあり、数値では表せない一人ひとりの気概や、それらを率いる上層部の推進力が強いと感じます。デジタル広告は私が所属するマーケティングチームが、マス広告は別のチームが担当していますが、上層部は「部署を越えていかにシナジーを生み出すか」を常々議論しています。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/27 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42542

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