単なるチャージポイントにとどまらない、ATM+
川合:今後もATM+の世界を広げて行かれると思うのですが、展望はどのように考えていますか?
水村:ATM+は「社会で最もやさしいデジタルチャネル」を目指しています。具体的には、冒頭でも少し触れたのですが、ATMを通して「銀行」「行政」「事業会社」の3つの側面を満たすサービスの提供を考えています。
「銀行」窓口が開いている時間は仕事や家事で間に合わない方も多いと思います。そのような方にとって、窓口の代わりになりたいと考えています。「行政」も同様です。国全体でDX推進の必要性が叫ばれる中、ATMがマイナンバーの取り組みや地方自治体の給付金受け取りの窓口を担うことが便利さになると思っています。
「事業会社」としては、ホテルの自動チェックインや、中古品売買の本人確認手続きなど本人認証が必要なサービスを中心にATMでできることがあると考えています。これらを総合すると、実は我々のライバルは他社のATMではなく、スマートフォンかもしれません。とはいえ、目指しているのは「vsスマホ」ではありません。スマホでもできるし、ATMでもできるという、生活者の皆様の選択肢を増やしていく世界です。
セブン銀行のATM+は最新のデジタルチャネルが「いつでも・どこでも・だれでも」安心してご利用いただけるということが1つの価値だと思っています。今後はお客様がわざわざ窓口の時間に合わせたり、使い慣れないスマホにアプリを入れたりといった努力をせずに、サービスを利用できることを新たな価値にしていきたいですね。そのため、いかにパーセプションチェンジしていくかもポイントだと考えています。
インクルーシブは共創関係作りが重要
川合:インクルーシブは、今多くの企業が注目していることかと思います。最後に、これから取り組みたいと考える企業は何を意識すべきなのか、お考えを伺えればと思います。
水村:繰り返しになりますが、きちんと当事者のお話を聞くことが重要です。中途半端に取り組んだり、やったつもりになったりすることが一番良くないことだと思います。やるなら、徹底的にやる。そのために、きちんと当事者の皆さんのお話を聞いて、こちらの考えもお伝えして、その上で進めることが大事だと思います。
川合:「共創関係」を作るというのはとても良い考え方ですよね。アイデアから一緒に考えて、完成したものに対して声を聞くだけではなくて、意見をもらって調整しながら、ともに取り組みを進めていくことを、御社は大事にされているのだと強く感じます。だからこそ、第4世代ATMへも良い反響が出ているのだと思います。今日はありがとうございました。