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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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人を育てる。組織を育てる。

「全社のマーケティング力向上」と「人材のリスキリング」の両方を実現する、三井不動産の横断マーケ組織

 人事異動による人材のローテーションがある場合、組織的にマーケティングの専門性を上げていくことは難しい。同様の課題を抱えている読者は、特に大手企業の中に多く存在するのではないだろうか。元々、マーケティングの専門人材が少なく、さらに人材のローテーションもあるという状況にあった三井不動産は、DX本部内に全社・全事業を横断して機能させるマーケティング組織を設置し、全社のマーケティング力向上を実現しつつある。三井不動産の横断マーケティング組織「&Marketing」の概要や実際の動き方を、聞いてきた。

三井不動産が掲げる「DX VISION 2025」

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は、三井不動産の全社のマーケティングを横断で支えているDX本部の「&Marketing」という組織についてお話を伺っていきます。はじめに、三井不動産が掲げているDX戦略の概要からご説明いただけますか。

塩谷:三井不動産は、2025年に向けた長期経営方針として「VISION 2025」を定めており、この中では「街づくりを通して持続可能な社会の構築を実現」「テクノロジーを活用し不動産業界そのものをイノベーション」「グローバルカンパニーへの進化」という3つのビジョンを掲げています。会社としての大きな方針の中にDXがあり、それを具体化する形で定めているのが「DX VISION 2025」です。

三井不動産株式会社 DX本部 DX二部 部長 塩谷義氏新卒で三井不動産に入社。2016年から現在まで、約8年間DX領域に従事している
三井不動産株式会社 DX本部 DX二部 部長 塩谷義氏
新卒で三井不動産に入社。営業を経験し、2016年より情報システム部に異動。以降、ITイノベーション部、DX本部 DX二部のグループ長を経て、2021年より現職。2016年から現在まで、約8年間DX領域に従事している

 DX戦略は事業変革と働き方改革の2軸で策定しており、中でも「Real Estate as a Service」というスローガンのもと進めている“顧客視点でのサービスの創出”に重点を置いています。リアルとオンラインの融合が進んでいる今、単に不動産を貸す、不動産を売るだけでは顧客のニーズを満たせません。顧客視点を前提に、リアルとデジタルを掛け合わせて、不動産を「モノ」としてではなく「サービス」として提供していく――これを「Real Estate as a Service」と表現し、DX推進の本丸としています

三井不動産のDX推進における重要視点
三井不動産のDX推進における重要視点

2017年のDX元年より、プロフェッショナル人材の採用を開始

MZ:DX本部には、どのようなスキルや知見を持つ人材が集まっているのでしょうか?

塩谷:DX本部は三部に分かれており、現在100名以上の社員が在籍しています。三井不動産は2017年をDX元年とし、そこから毎年10名ほど、スキルや知見を持った各領域のプロフェッショナル人材を採用してきました。インフラエンジニアやデータアナリスト、システムマネージャーなど専門的なスキルを持った中途社員が70名ほどDX本部に所属しています。

MZ:今回お話しを伺う「&Marketing」は、全社のDX推進を担うDX本部の中に設置されていると聞きました。&Marketingとは、どのような組織なのでしょうか?

塩谷:&Marketingは、私が率いている二部の中にあります。商業施設、マンション、ビル、ホテルなど様々な事業を展開している三井不動産で、全社をあげたDXを各事業部とともに推進していくのが二部の役割で、新規事業の支援や事業部でのデータ活用、営業のDXなど、様々なプロジェクトを行っています。

 そもそも、三井不動産には「マーケティング部」という組織がありません。「Real Estate as a Service」のスローガンのもと顧客視点でのマーケティングに注力しようとなった時、全社で組織的にこれを実現するには、マーケターを一人ひとり外部から採用しても叶わないということで、全社横断のマーケティング組織として&Marketingを作りました。

 現在、&Marketingでは、社外の各領域のプロフェッショナルの力も借りながら、各事業部のマーケティング施策の策定・実行からナレッジの展開までを支援しています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/10 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42613

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