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デジタルで広がる、オフライン広告の可能性

2022年に話題となった「オフライン広告」 SNSでの話題化は“ファンを起点に”起こす傾向

ぱっと見ではわからない広告 受験生の持つ赤シートがカギに

 2022年12月には渋谷駅および池袋駅で同時展開された、エナジードリンク「ZONe ENERGY」の広告が話題になりました。

井の頭線渋谷駅改札前の柱サイネージ。赤シートなし(左)、赤シートあり(右)
井の頭線渋谷駅改札前の柱サイネージ
赤シートなし(左)、赤シートあり(右)

 同広告は大学共通テストを控えた学生向けに掲載されたもの。裸眼では何も見えないですが、受験生の必須アイテム赤シートをかざすことで、応援メッセージが浮かび上がる仕組みになっていました。

 本来、いかに多くの方に広告を見てもらうかが焦点になりがちなOOHで、赤シートを持っていないと見ることができないという斬新な発想には驚かされました。

 「背中を押された」「演出がすごい」など、SNS上でポジティブな反応が数多く見られた事例でもあります。

 他にも、3月から山手線車内と渋谷駅のポスター枠で掲出された、格安スマホ/格安SIMサービス「mineo」の広告もインパクトがあり話題になりました。

渋谷駅地下で掲出されていたポスター
渋谷駅地下で掲出されていたポスター

 同広告は、一定の条件で広告表示にかかる通信料のカウントをフリーにするオプションサービス「広告フリー」を宣伝するためのもの。「スマホ通信量の約4割が広告によって消費されている」という同社調べの情報を直感的に表現するために、大きい枠に対してあえて小さい広告を出すという見せ方を行いました。

山手線内の中吊り広告。通常B3サイズポスターが掲出されるところに小さすぎるポスター
山手線内の中吊り広告
通常B3サイズポスターが掲出されるところに小さすぎるポスター

 あえて大きく余白を設けるデザインにより、直感的に“大きすぎる”規模感が理解できる設計になっており、見事なアイデアでした。

デザインではなく印象的なフレーズを使って話題化

 面の場所やデザインの工夫ではなく、インパクトが強いフレーズによって話題化した広告も数多くみられました。

 その中でも、2022年5月に掲載されたサントリーのコーヒーブランド「BOSS」とスマホゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」のコラボ広告は、担当者のサービスに対する愛が強すぎる文章が話題になりました。

新宿駅地下メトロプロムナードで掲載された、担当者のウマ娘愛に溢れた広告
新宿駅地下メトロプロムナードで掲載された、担当者のウマ娘愛に溢れた広告

 ユニークなのが、広告主はあくまでもSUNTORYでありながら、広告内には自社商品の紹介は一切ない点です。「突然ですが、僕はウマ娘が大好きだ。」と唐突な一言から広告が始まり、BOSSの開発担当者によるウマ娘に対する愛や情熱だけが描かれており、思い切りの良さが非常に印象的でした。

 BOSSの公式Twitterでは熱すぎるメッセージがユーザーに伝わったのか、4,000件近い拡散を記録しています。実際のウマ娘ファンからのコメントも多数見られました。BOSSが本来は交わることがないウマ娘のコミュニティー内でも話題化した様子がうかがえました

BOSSの公式Twitter
BOSSの公式Twitter

 フレーズ選定の絶妙さで言えば、ECCの広告もおもしろい事例として挙がります。同広告では「いつか使う英語」をテーマに複数箇所で展開。掲出された場所にちなんだフレーズと英訳がセットで掲出されていました。

東京メトロ六本木駅で掲出された実際のポスター
東京メトロ六本木駅で掲出された実際のポスター

 たとえば六本木駅では、芸能関係者が多く行き来する場所ということを意識してか、「お相手は一般の方です。(He’s just an ordinary parson.)」「事務所を通してください(Talk to my agent.)」と芸能人しか使わないようなフレーズを掲載。大きすぎる枠に対してたった1フレーズだけ描かれているというアンバランスさにもつい目線が持っていかれてしまいます

新宿駅では各地で展開された様々なフレーズが一枚に
新宿駅では各地で展開された様々なフレーズ

 その他、大阪では関西人がよく使うと言われる「行けたら行くわ!(I’ll go,if I can…)」、ショッピングを楽しめる東京の青山では「ここからここまで全部ください。(I’ll take everything from here to here)」などと、場所柄を反映した“言われてみれば英訳が気になるフレーズ”を選定。各所で広告を見つけたユーザーが面白がってSNSに発信するといったバズる流れができていました。

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SNSを駆使してファンの間で話題化させる BtoB企業のOOH施策

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この記事の著者

加藤 誠也(カトウ セイヤ)

株式会社ビズパ アドクロ編集長

 食品メーカーで営業職を経験後、2019年に同社入社。主に、編集長として広告・マーケティングの情報メディア「アドクロ」のコンテンツ制作を担当。「広告巡礼」を日課としており、Xでは見つけた広告事例に考察を添えて発信、テレビ出演やセミナー登壇も多数。 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/42706

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