SNSごとの特長に最適化、アサヒ飲料のSNS活用
MarkeZine編集部(以下、MZ):最初にアサヒ飲料様が活用しているSNSについて教えてください。
丹羽:アサヒ飲料では、Instagram・X・LINEの3つで企業公式アカウントを運用しています。私は、Instagram・Xをメイン担当として、LINE公式アカウントはサブ担当として関わっています。
MZ:それぞれどのような運用をされているのでしょうか?
丹羽:まずXでは、リアルタイム性や拡散性が高い特長を活かして、新商品の告知などタイムリーな情報や「~~の日」といったモーメントに沿った内容を投稿しています。投稿を通じてアサヒ飲料ブランドを定期的に思い出してもらう目的で運用しており、投稿のエンゲージメントと発話量を主に計測しています。
Instagramでは、ビジュアル映えする内容を意識して発信しています。具体的には、アサヒ飲料の商品を使ったレシピや新商品に関する内容が中心です。同じ新商品に関する情報でも、Instagramならではの写真や見せ方にこだわっています。Xと同じくエンゲージメント、それに加え保存数を指標に運用に活かしています。
LINEは特に多くの方が友だちになってくださっているため、商品に関する配信や販促キャンペーンをお知らせしてリーチを獲得しています。また、ブランドごとにデータを活用した配信を行い、深いファネルに情報を届けることを意識しています。こちらはメッセージの開封数やCTR、またデータを増やしていくために、ユーザーの方々から集めているアンケートの回答数などを記録していますね。
Instagramらしい視覚に訴える投稿を模索
MZ:それでは次にそれぞれのSNS運用について深くお話を伺えればと思います。まずはInstagramの運用について教えていただけますか?
丹羽:Instagramに限った話ではありませんが、最近は縦型のショート動画のフォーマットが浸透し始めています。Instagramにも縦型動画を投稿できるリールがあるため、その活用を進めています。
たとえば、夏に合うフルーツを閉じ込めた丸氷と三ツ矢サイダーを混ぜた“フルーツ氷サイダー”というレシピのリール動画を投稿しました。リーチや保存数が伸びるなど反響があったため、様々なレシピで展開していきたいです。
丹羽:また、Instagram活用において欠かせない機能のストーリーズでは、1日で消えるという特長を利用してその日のモーメントに合わせた投稿や、キャンペーンなどリンク先に遷移させたい企画で活用しています。
最後にフィード投稿ですが、注力しているのは見返したくなる投稿です。前者2つより手の込んだレシピの投稿や、印象の強い写真を先頭に置き、カルーセル形式で見てもらう設計をしています。
Instagramは本年開始したばかりですが、XやLINEでリーチできていない若年層へ新たな接点を創出すべく、若年層にリーチ率の高いクリエイティブを検証しながら運用しているところです。
リーチ×最適配信を両立する、LINE公式アカウント運用術とは
MZ:次にLINE公式アカウントの運用について教えてください。
丹羽:LINE公式アカウントでは、新たなCMの放映や販促キャンペーンが始まった際にメッセージを配信し、多くの方にブランドの情報を届けることを意識しています。
加えて、LINE公式アカウントでは独自のアンケートキャンペーンも行っています。ブランドの特性を活かしたオリジナルの企画に絡めて、お客様の趣味嗜好などを問う設問を用意することで、友だちに最適な情報をお届けするためのデータを増やす運用をしています。
取得したデータは、ブランドごとのメッセージのセグメント配信や飲用態度・行動の分析に活用しています。その他にも、商品に付いているシールやバーコードを読み取って応募するキャンペーンを行うこともありますね。
MZ:LINE公式アカウントを運用する上で心掛けていることはありますか。
丹羽:LINE公式アカウントの運用で意識しているのは、LINE社の提供する様々な機能をいち早く試すということです。
アサヒ飲料ではLINEに限らずあらゆるプラットフォーム、メディアで新しいことにチャレンジすることを大切にしています。実際、これまでも様々なキャンペーンを行ってきました。例えば業界で初めてエフェクトスタンプを活用したキャンペーンは、ユーザーの方々から大きな反響をいただくことができ、とてもいい取り組みだったと思っています。
LINEは、既存のアサヒ飲料ユーザーの方に関わらず身近なメディアの一つです。そのためユーザーの方々が楽しめる体験を提供しブランドを好きになっていただく、最初の入り口となれると考えています。
Xは拡散力の強さを活かし、企画性の高いキャンペーンを
MZ:最後にXの運用について教えてください。
丹羽:Xは情報発信の頻度が最も多いアカウントです。毎月各ブランドから発売される新商品を告知し、Xのモーメントと絡めブランドを訴求していくことで、より多くのユーザーに知っていただくことを目的に運用しています。また拡散性の高いメディアなので、SNS上で発信力のあるインフルエンサーとコラボすることで話題性のある投稿をつくり、“飲みたい”に繋げていくことも意識しています。
たとえば、三ツ矢サイダーの記念日である、3月28日“三ツ矢の日”。この日は、私たちもキャンペーンの内容に拘って企画をしていますが、中でもみなさんの身近なもので「三ツ矢の矢羽根」を作って投稿していただく企画では、多くの生活者だけでなく企業アカウントの方々が参加してくださることで、毎年大きな広がりをつくることができていると思います。
MZ:ありがとうございます。ここまでアサヒ飲料のSNS運用を伺って、ユニークビジョンの高橋さんはどう感じられましたか?
高橋:まず各SNSの特長を捉え、発信する情報を最適化しているのが素晴らしいと感じました。アサヒ飲料様とのお打合せでは、「ユーザーに楽しんでもらいたい」という言葉をよくお伺いします。ユーザーファーストという大前提を決して崩すことなく、Instagramは若年層へのリーチ・LINEはデータの収集や活用・そしてXは認知拡大や話題化といった目的を叶えるために日々の運用を行われているところが素敵だなと思います。
そしてキャンペーンにおいてもLINEは購買、Xは認知拡大・エンゲージメント獲得を目的としたキャンペーンを実施されている印象があり、普段からの情報発信に加えてキャンペーンの面でも、各プラットフォームの特性を活かして上手に運用されているなと感じています。
私は普段Xのキャンペーンでご一緒させていただいていますが、特に3月28日“三ツ矢の日”は日頃の運用とキャンペーンが融合して大きなモーメントとなるタイミングです。当日はキャンペーンの盛り上がりもありつつユーザーや企業のお祝い投稿で溢れ返り、三ツ矢サイダーがたくさんの方に愛されている歴史ある商品であることが分かりとにかく圧巻です。
ユーザーが楽しめる企画としての“三ツ矢の日”キャンペーン
MZ:先ほど“三ツ矢の日”の事例が出てきましたが、Xではユニークビジョンのツールを導入されていると伺っております。そちらについてお聞かせください。
丹羽:ユーザーの方々にワクワクしてもらえる企画を考える上で、ユニークビジョン様のツールはどれも魅力的だったので導入しています。“三ツ矢の日”の取り組みでも、ユニークビジョン様には「何ができるか」という段階から打ち合わせをさせていただきました。
具体的に行った施策としては、まず三ツ矢の日当日までのティザー期にオートリプライの機能やリマインダー機能を活用して話題を醸成しました。加えて、Twitter上で高速に読み込みができるクイックランディングページを作成し、実際に参加いただいたユーザーの投稿をリアルタイムでページ上に反映するなど、シームレスにキャンペーンに参加できる導線を作りました。
そうした取り組みの結果、三ツ矢の日のポスト数は年々増加しています。また、クイックランディングページの来訪による購買意向の変化を調べたところ、クイックランディングページを訪れた方の購買意向が上がっていることもわかりました。
高橋:アサヒ飲料様には、いつもいち早く新しい機能を活用いただいています。“三ツ矢の日”は毎年新しい挑戦をされている印象があるのですが、当時リリースして間もないクイックランディングページのお問合せをいただき「まだリリースしたばかりなのに、もう活用してもらえるのか」と驚いたことを覚えています。そして新しいものを取り入れるだけでなく、ユーザーにワクワクしてもらえる企画へと昇華して購買意向の向上にまで繋がっているという点が素晴らしいなと感じます。
また三ツ矢の日以外でも、参加ユーザーのアイコン画像を毎日変更するカウントダウン形式のアイコンジャック、32.8秒以内に全6問のクイズの正解を目指すタイムアタック型のカスタムストーリーなど、三ツ矢ブランドの施策では日頃から「Belugaキャンペーン」の様々な機能を活用いただいています。特にアイコンジャックは、これまではゲーム・エンタメ関連の企業に利用いただくことが多く、メーカー企業の利用はありませんでした。アサヒ飲料様にアイコンジャックを活用いただいたことで「飲料メーカーの場合、このような活用法があるのか」と新しい気づきを得られました。
弊社はツールを提供させていただいていますが、ただツールを活用するだけではユーザーの満足度向上には繋がりません。アサヒ飲料様はツールにアイデアを加えて、ユーザーに楽しんでもらえる企画として実現しているところがとても勉強になります。
日々新しい取り組みを アサヒ飲料とユニークビジョンのこれから
MZ:最後に今後の展望を聞かせてください。
丹羽:デジタルの世界の移り変わりは早く、SNSも新しいプラットフォームが増えており、ユーザーも新しいほうへとシフトしています。
新しいこと、というのは会社としてなかなか手を出しにくい部分ではありますが、世の中の流れに対応した取り組みができるように、挑戦を続けていきたいと思っています。
特に今できそうだなと感じているのは、TikTokの運用です。Instagramのリール素材を活用できるので若年層に向けて始めたいなと考えています。また最近ではMeta社がThreadsというSNSをリリースしました。まだ広告の機能はリリースされていませんが、多くのユーザーや著名人の方々が利用されているので、どんなことができるのか、随時確認し、世の中に流れに遅れないようにしていきたいですね。もちろん今運用しているSNSに関しても、同じことを続けていくのではなく、何か新しくて楽しいことができないか?もっとよくなる方法はないか?を考え続けて、世の中に目立つものを作っていきたいです。
MZ:高橋さんはいかがでしょうか?
高橋:私はアサヒ飲料様を長きにわたり担当させていただいており、様々な施策で代理店様と共にご一緒させていただいております。アサヒ飲料様にはいつも新しいことを期待していただいており、新機能を紹介すると斬新なアイデアで効果的なキャンペーンにしてくださっています。またアサヒ飲料様の中で出たアイデアを元に、こんなことできますか?というご相談をいただくこともあり、ユニークビジョンにお願いしたらなんとかなりそうと思っていただけている点が嬉しいです。
期待していただけることを非常にありがたく思いますし、これからもその期待を超えていけるように、スピード感のある開発・役立つ機能づくりを社内のエンジニアと共に頑張っていかなければいけないなと感じています。
またこれまではXメインの取り組みでしたが、直近ではLINEのキャンペーンに関するご相談もいただいているので、そこからさらにInstagramへと今後もお取り組みの幅を広げていきたいです。