成果につなげるには、“戦術”よりも“戦略”から考える
MZ:神戸製鋼所では、「PVDコーティング装置」のデジタルマーケティング施策に取り組まれました。取り組みの背景や意図をお聞かせください。
糸数(神戸製鋼所):社内でのデジタルマーケティングに対する課題感の高まりを受け、先行事例を創出することにしました。全社一斉に取り組むことは難しいため、まず特定の商材で成功事例を作り、ノウハウを蓄積してから横展開していくという試みです。
尾石(神戸製鋼所):製造業では既存顧客との取引が多いのですが、PVDコーティング装置は新規開拓の余地がある商材でした。さらに同装置を取り扱う機械事業部門高機能商品は、コーポレートサイトとは別で専門サイトを作ったりマーケティングオートメーション(MA)ツールを導入したりと、元々デジタルマーケティングの試行を始めていた背景もあります。
池田(日本IBM):神戸製鋼所様と取り組みを進める中で、既存MAツールの機能強化や新たな施策を単発で行うだけでは、成果に結びつけることは難しいと考えました。重要なのはマーケティングの全体戦略と目標を設定し、その目標に合わせた顧客接点全体に紐づく施策の立案・実行・運用まで含めたPDCAを着実に回すことだったのです。
当社はITを軸にしたコンサルティングを提供する会社であり、プロジェクトを効率的に進めるにあたりデジタルマーケティングに特化したパートナーが必要でした。そこで、地に足の付いた実績やスキルがあり、BtoB支援の専門部隊を持つメディックス様を提案しました。
MZ:実際にどのような取り組みをされたのでしょうか。
福田(メディックス):リード獲得から商談、受注までの全体設計を行ったうえで、プロモーション施策として広告運用やコンテンツ作成など、上流から下流まで一気通貫で支援を行いました。取り組みのポイントは、はじめに全体の目的を明確化したことです。その上でKGIを設定し、各施策を進めていきました。
大内田(メディックス):成果を出すためには、「デジタルマーケティングによって何を実現したいのか」「どうやったら達成できるのか」など、“戦術”よりも“戦略”から始めることが大切です。支援を開始してから、半年以上はこの戦略を練る時間に充てましたね。加えて、スモールスタートで施策に着手することや広告効果を可視化するためのハード面の支援など、先ほど挙がった課題の解消も意識しました。
目標を上回る有効リードを獲得!
MZ:お取り組みの成果をお教えください。
糸数(神戸製鋼所):定量的なKPIとして、半年での有効ホットリード(新規有望顧客数)を設定しましたが、最終的には目標を超過達成することができました。また定性的なKPIとして設定した、商材の新規用途探索やデジタルマーケティングのノウハウ蓄積も進んでいます。
さらにこのような成果が出たことで、社内のデジタルマーケティングへの関心も大きくなっています。当初の狙い通り、他部署への横展開も既に始めています。
尾石(神戸製鋼所):これまで接点のなかった領域の企業様から、今回作ったコンテンツ経由で引き合いをいただくことができました。旧来の営業方法では新規だと1件受注するだけでも困難な中、非常に大きな成果といえます。
大内田(メディックス):他部署への横展開に関しては、当社は実はPVDコーティング装置の案件ほど細やかなサポートは提供していません。神戸製鋼所様の中で、自走できる体制が整いつつあるのだと思います。