フードデリバリーアプリは差別化が難しい
──マーケティングを進めるにあたって、課題を感じている点はありますか? フードデリバリーアプリ業界ならではの難しさもあわせてお聞かせください。
栗原:フードデリバリーアプリには「差別化が難しい」という特徴があります。店舗と注文者をマッチングするビジネスの仕組み上、どのサービスも似通ってしまうのです。
栗原:だからこそmenuでは顧客理解を徹底しています。「日本のユーザーがどのように使っているのか」「どのような顧客行動に注目して顧客を分類するべきか」などの問いを深掘りし、ユーザーの解像度を高めながら最適な施策を探っているところです。
──menuでは顧客理解を深めるために、アプリ向けCXプラットフォーム「KARTE for App」を活用しているとうかがいました。具体的にどう役立っているのでしょうか?
中須賀:個人のユーザーを定性的な視点で観察する際に、KARTE for Appの「ユーザーストーリー機能」を活用しています。この機能を使うと、特定のユーザーがアプリを開いてから離脱するまでに閲覧した画面やクリックした場所、購入した店舗および商品を一つひとつ細かく見ることができるのです。
中須賀:私はロイヤルユーザーへのインタビューも担当しているのですが、インタビューの前にインタビュイーの行動をKARTE for Appで把握しておくわけです。これにより解像度が高まり、インサイトを深掘りしやすくなります。また、インタビュイーの回答内容と実際のアプリ内行動が違っていることもあるため、インタビューだけでは捉えきれない無意識の行動をKARTE for Appで拾っています。
自社のデータと連携して仮説を高度に検証
中須賀:定量的な分析と組み合わせた活用もしています。たとえば全体の数字を見て「今日は購入人数が少なかった」と感じた場合、アプリを開いたものの購入せずに離脱してしまった人のリストをKARTE for Appで確認し、各ユーザーの実際の行動の流れを辿りながら離脱の背景を探っています。
栗原:KARTE for Appのデータを他のデータと連携した分析も行っています。menuがユーザーごとにIDを発行の上取得している属性(性別・年齢・エリアなど)やアプリ上の購入履歴を、KARTE for Appのデータと突合するのです。そうすると「都市圏に住んでいる人はどのような行動をしているか」などの観点で、データを横断した分析ができるようになります。
中須賀:「このユーザーはこういうお店や料理が好みだろう」と予測して施策を展開しても、menu側では購入履歴しか参照することができません。KARTE for Appのデータと結びつけることにより「その方がバナーを見てくれたのか」「バナーをクリックしたのか」などを詳細に見ることができるため、仮説の検証に役立っています。