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テックネイティブなα世代の生活から見えてきた、SNSの使い方&ゲームの存在感

α世代にとって大きい「ゲーム×インターネット」の存在

 α世代にとってゲーム(機器)はとても身近なもので、オンライン化されたゲームを通じて、様々な世界を体験できる「どこでもドア」になっているようです。

 α世代がゲーム機器でどのようなコンテンツを楽しんでいるかを尋ねたところ、「ゲーム」がほぼ100%近いのはもちろんですが、YouTubeをはじめとした「無料の動画視聴サービス」が3割を超えていました。2割程度だったZ世代を大きく引き離し、α世代ならではのゲーム機の使い方と言えます。自分専用のスマホを持たない層も少なくないことから、スマホの代替としてネットにつながるゲーム機から様々な動画を楽しんでいるようです。

 このYouTubeをはじめとした「無料の動画視聴サービス」については、ゲームの実況や解説といったコンテンツを楽しんでいることもα世代を対象としたインタビューでも確認できています。アニメはもちろんですが、興味関心を持つゲームに関する攻略法や裏技などをこうした動画から積極的に仕入れているようです。以前は「攻略本(ムック)」など活字主体でしたが、もはや「知識やスキルは動画から」という流れのようです(図表4)。

【図表4】ゲーム機利用コンテンツ
【図表4】ゲーム機利用コンテンツ

 また、α世代はテレビ(機器)ではどのようなコンテンツを楽しんでいるのでしょうか?利用率の高い順に見ていくと「テレビ番組」「録画番組」「DVD・ブルーレイ」がTop3、4位に「無料の動画視聴サービス」、そして、5位が「ゲーム」となっていました。4位まではテレビならではの大画面でテレビ番組や動画を楽しんでいるようです。また、最近ではインターネットにつなげて有料あるいは無料の動画を楽しんでいるご家庭も多いことから、そうした楽しみ方がα世代にも定着しているようです。ゲームについても「大画面」「ネット接続」はテレビ画面に向かう理由になっているようです(図表5)。

【図表5】テレビで見ているコンテンツ
【図表5】テレビで見ているコンテンツ

 「ゲーム」というものがα世代にとって非常に大きな存在であることをシンボリックに表したワードクラウドをご紹介しましょう。「10,000円という臨時収入があったとき、α世代は何にどのように使うのか?」という状況を実験的に作り、実際に買い物までしてもらったときの事前課題の結果です(図表6)。

 ど真ん中に大きく鎮座する「ゲーム」、その上の「ゲームソフト」「ソフト」というワードを目にして、彼らのマインドを占めるゲームの存在感に圧倒されます。周辺に目を向けるとようやく「菓子」「文房具」「服」「漫画」「おもちゃ」などが出てきますが、ゲームとの存在感の違いは明らかです。

 そしてさらに特徴的なのは「貯金」というワードです。臨時収入があったから「即買い物」とはならず、「貯金」という堅実な発想がゲームに続く存在感を示していることもα世代の一つの特徴を雄弁に物語っていると考えています。少子高齢化、老後不安、日本の将来における先細り感や閉塞感といった経済不安に対しての備えなのか、あるいはお金に関する学びを充実させるように変化している学校教育※1の影響なのかもしれませんが、貯金や投資といったお金に関する意識の芽生えが早いこともα世代の特徴と捉えています。

【図表6】思わぬ臨時収入の使い道
【図表6】思わぬ臨時収入の使い道

※1:2022年4月から変化した「新高等学校学習指導要領」やその低学年化

SNSの利活用が自己理解と確立を深める(高校生以上)

 次に現在においてはなくてはならない情報入手経路であり情報の受発信を通じて人とのつながりをも形成するSNSの使い方について見ていきましょう。

 SNSのアカウントの保有状況を学齢別(小学生・中学生・高校生)に見てみると、小学生では「LINE」が2割となっており、その他のSNSアカウントはごくわずかになっています。そして、中学生になると「LINE」が一気に6割に急増し、「Instagram」や「TikTok」なども2割弱まで増えてきます。さらに、高校生では「LINE」は9割を超え、「Instagram」「X(旧Twitter)」が7割、その一方で「TikTok」は3割強に留まっています(図表7)。

【図表7】年齢別SNSアカウント保持率
【図表7】年齢別SNSアカウント保持率

 次にSNSのアカウント数を見てみます。2個以上、複数のアカウントを持つのは「高校生・大学生」になってからのようで、調査結果では3割程度が高校生・大学生になると2個以上のアカウントを持つようです(図表8)。

【図表8】年齢別X(旧Twitter)アカウント保持数
【図表8】年齢別X(旧Twitter)アカウント保持数

 「LINE」については中学生くらいになると学校の連絡網(グループLINEなど)にも使われるようになり、学校標準の連絡ツールとして浸透しつつあることもありますが、他のSNSアカウントの広がり状況を勘案すると、中学生くらい(13~15歳)からSNSの利用が始まり、高校生くらい(16~18歳)に「LINE」以外にもSNSの利用が広がり本格化していると言えそうです。

 高校生になるとスマホの保有率も一気に高まることはデバイス的な側面からの拡大背景ですが、それ以上に、友人や知人をはじめとしたコミュニケーションが広がりとともに、様々なジャンルに自身の興味や関心も広がり、より広い世界の情報を欲するようになることや、自分の考えなどを外部に発信する「自己表現意欲」も高まってくることもその要因と考えられます。

 複数のアカウントの保有についても、Instagramなどでは同一のSNS内で複数のアカウントを持つことも可能なため、趣味や推しなどによって複数のパーソナリティを切り変えることも可能です。「自分らしさ・自分らしく」を求めるワカモノならでは特性の表出のように映ります。

 SNSのデビューや複数アカウントの保有といった変化は、併せて彼らの意識や価値観などの形成要素が「家庭・家族」から、より広い世界(外部)へと拡大していることも意味しています。複数のアカウントの保有についても、Instagramなどでは同一のSNS内で複数のアカウントを持つことも可能なため、趣味や推しなどによって複数のパーソナリティを切り変えることも可能です。「自分らしさ・自分らしく」を大切にする彼らにとって、現実世界とともに、いや、それ以上に重要な空間なのかもしれません。

次のページ
まとめ:α世代へのマーケティングで押さえておきたい3つのポイント

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この記事の著者

田中 宏昌(タナカ ヒロマサ)

株式会社インテージ 生活者研究センター

1992年 電通リサーチ(株式会社電通の100%グループ会社 当時)に入社。1994年より電通の大規模生活者データベースの立ち上げメンバーとして参画。以後、2012年まで消費者研究センターや電通総研などの横断機能組織に駐在勤務する形で、広告コミュニケーションプランニングや...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/09/07 09:30 https://markezine.jp/article/detail/43292

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