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第106号(2024年10月号)
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翔泳社の本(AD)

今すぐ欲しいときにコピーのたたき台が見つかる『逆引きキャッチコピー事典』を実際に使ってみた

 たった数文字のコピーが売上をよくも悪くも劇的に変えてしまう場合があるように、マーケティングや販促はコピーを抜きにして成り立ちません。しかし、いざコピーが必要になったとき、自分の頭だけで目的に適うコピーを作れることは少なく、かといって検索しても参考にできるいい感じのコピーが見つかるとは限りません。そんなときに役立つ本がコピーライターである長井謙さん(ことばやさん)の『逆引きキャッチコピー事典』(翔泳社)──ということで本書の販促をしているんですが、今回は実際に本書を使って本書を販促するメルマガの件名を作ってみようと思います。

「マーケティング」のキャッチコピー例を参考にする

 今回は本書『逆引きキャッチコピー事典 業界/キーワード/季節/流行/環境/テクニックから引ける』の特徴や魅力を伝える販促のための件名を考えましょう。メルマガの受け手はMarkeZineの会員で、コピーを作ることはあるけれどまだ慣れていない人や自分で考えるのが苦手な人です。

 前提として、メルマガの件名は「メルマガを開いて中身を読み始めてもらうこと」を最重要の目的としています。そのため、メルマガを通じた本書の売上向上は件名の主目的ではありません。それはメルマガの本文にかかることなので、その点は誤解なきようお願いします。

 さて、本書はマーケティングやクリエイティブに関する本なので、まず目次を見て該当するページを探してみます。本書は第1章が「業界別キャッチコピー」、第2章が「キーワード別キャッチコピー」、第3章が「テクニック別キャッチコピー」という形で構成されています。なので、第1章を見てみると……ありました、「マーケティング」。

本書の目次
本書の目次

 P96とP97に載っているので、さっそく開いてみましょう。

(P96より)
次元の高さを強調する。
 次元の高さを強調する。「売り上げがアップする」というような表現だけですと、他社と差別化しにくくなります。売り上げアップを期待させながらも、「結果が出るまで寄り添う」「上流工程から提案する」「プロの知見で効果を最大化させる」など説得力のあるサービスの特徴や姿勢をアピールすることが大切です。カタカナ語を使いすぎると意味が通じにくくなるので注意が必要です。

マーケティングのキャッチコピー例
マーケティングのキャッチコピー例
こんな言葉もおすすめ!

 本書の担当編集者から「引用要件の事情で著者の長井謙さんが自作したものだけ記事に掲載してください」と言われているので、長井さんの自作サンプル以外にはモザイクをかけています。どんなコピーが掲載されているかを知りたい方はぜひ本書をお買い求めください。

 ということで、最後の2つから選ぶとすると「「ウェブが弱い」を終わらせよう」がよさそうですね。これを単純に本書に合わせると、「「キャッチコピーが弱い」を終わらせよう」となります。わりといい感じな気がします。

「キャッチコピーが弱い」を終わらせよう 『逆引きキャッチコピー事典』

 もう少し言葉を変えていくつか考えてみましょう。1つ作れたらこれをベースにしてAIに100個くらい案を出してもらったほうがはるかに効率的だと思いますが、今回は自分で考えています(なお、MarkeZineのメルマガ件名は全角35文字以内という規定があります)。

「キャッチコピーが弱い」なんて言わせない 『逆引きキャッチコピー事典』
「キャッチコピーに自信がない」 そんなあなたに最強カンペ
「キャッチコピーが苦手」な自分にさよなら 『逆引きキャッチコピー事典』

 という感じで、たたき台があるので数個なら自分でバリエーションを考えるのも苦ではありません。バリエーションを考えること自体が苦だという方は、それこそAIに任せるといいですね。

「クリエイティブ」のキャッチコピー例を参考にする

 これだけでは味気ないので、別案を考えるために目次を見直します。「クリエイティブ」の項目がありました。今度はP98とP99を開いてみます。

(P98より)
何を作り出すのか。
 クリエイティブ系の企業のキャッチコピーでは「何を作り出すのか」「何のために作るのか」を示しているものが多いです。ただデザインをするのではなく、そのデザインによってどんな価値を生み出すのか、その先の価値まで表現できると説得力や信頼感が増していきます。また、どのようなクリエイティブを得意としているのかも併せて伝えると差別化しやすくなります。

クリエイティブのキャッチコピー例
クリエイティブのキャッチコピー例
こんな言葉もおすすめ!

 今回も長井さんの自作サンプル以外にはモザイクをかけました。一覧を眺めてみると、どちらかというとテレビCMや動画広告、あるいはWebサイトやLPのファーストビューに使うブランディングのためのキャッチコピーという印象が強く、私が求めている「特徴や魅力を伝える販促のための件名」とは雰囲気が合いませんね。

 本書のコンセプトは自分が今必要としているキャッチコピーのたたき台を探せることにあります。もし私がWeb制作の会社でLPを作る仕事をしていてブランディングのキャッチコピーを必要としていたら、この「クリエイティブ」の項目からたたき台を見つけられるでしょう。本書の冒頭で長井さんが解説されているように、ブランディングと販促のキャッチコピーは分けて捉えておくほうがいいですね。

(P8より)
 ブランディングはテレビCMや新聞広告など主にマスメディアで、企業や商品をイメージアップさせることを目的とし、企業のメッセージや商品に込めた想いを伝えることでファンを増やしていくものが多くあります。販促は主にお店のPOPやウェブのLPなどで具体的な商品のメリットを伝えて直接購入を促すものが多くあります。
 キャッチコピーを作る前に、そもそもこのキャッチコピーはイメージを上げるブランディングが目的なのか、それとも直接購買を促す販促が目的なのかを整理して考えていくことが大切です。

テクニックから考えてみる

 最後に、本書の第3章「テクニック別キャッチコピー」からメルマガの件名を考えてみます。改めて目次を見てみると、「ポジティブ変換」が面白そうです。P182とP183を開きましょう。

(P182より)
弱みを強みに変える表現法。
 「後先を考えない」という弱みも、言い方によっては「大胆にチャレンジできる」という強みに変えることができます。このように商品においても弱みを強みに言い換えていく表現方法が「ポジティブ変換」です。弱みを率直に伝えることで信頼性を持たせつつ、それを強みに変換することでインパクトのある表現になっていきます。

ポジティブ変換のキャッチコピー例
ポジティブ変換のキャッチコピー例

 こちらも長井さんの自作サンプル以外にはモザイクをかけましたが、「A(ネガティブ)だからB(ポジティブ)ができる」という公式は一目瞭然です。

 どういう人が本書を必要とするかを考慮すると、取り上げるべきネガティブ要素が見えてきそうです。

 対象はコピーを作ることに慣れていない人や自分で考えるのが苦手な人です。そしてそんな人ほどAIを使ったり、検索して先例を参考にしたり、そしてもちろん本書を使ってキャッチコピーを作ったほうが早くて成果も出せるでしょう(言わずもがな、作るのに慣れている人でも時短できたり、我流や思い込みから脱してもっと効果のあるコピーを作れたりするようになりますね)。

 このことを踏まえてポジティブ変換を使った件名を考えてみましょう。たとえば、

コピーを作るのが苦手だったら楽しよう 『逆引きキャッチコピー事典』
コピーライティングは『逆引きキャッチコピー事典』に頼ればOK
コピーは自力で思いつく必要なし!手元に1冊『逆引きキャッチコピー事典』

 苦手なことは練習や鍛錬を積んでできるようになるべきだという一般的な価値観があると思いますが、それを逆手に取った件名です。ゼロから自分で考えたり作ったりしなければならないわけではないですからね(ただし、権利面には注意!)。

 ここまで試しに作ってきた件名がいいか悪いかは実際にメルマガを配信して開封率を見なければわかりませんが(機会があればやってみます)、本書の使い方の一例として参考にしていただければ幸いです。

▶著者の長井謙さんが運営するキャッチコピーのお店「ことばやさん」はこちら

逆引きキャッチコピー事典 業界/キーワード/季節/流行/環境/テクニックから引ける

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逆引きキャッチコピー事典
業界/キーワード/季節/流行/環境/テクニックから引ける

著者:長井 謙(ことばやさん)
発売日:2023年9月11日(月)
定価:1,980円(本体1,800円+税10%)

本書について

本書ではさまざまな業界や商品、訴求ポイント等のキーワード別に、参考になる良質コピー事例を多数紹介。そのコピーに関する分析や表現のテクニックも紹介しているので、それを応用すれば、オリジナリティのあるコピー制作が可能になります。

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

 翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/14 13:11 https://markezine.jp/article/detail/43365

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