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デジマ人材育成 5つの落とし穴と回避術

デジマ人材育成での“主旨ズレ研修”を未然に防ぐ!チーム全員の目線を合わせた「共創型研修」とは

研修の“主旨ズレ”が起こる二つの理由

 前述の事例は、時間もお金ももったいない研修内容です。ではなぜ、意味のない主旨のズレた研修をしてしまうのでしょうか。考えられる原因は二つあります。

©psphotography - stock.adobe.com

原因1.「やらねば論」が先行して、目的と手段がズレてしまう

 新チームで新たなサービス立ち上げの職責を与えられた管理職のプレッシャーは大変重いものです。目標の予算に対して毎月進捗報告を迫られる管理職は焦ってしまいがちでしょう。しかし、1歩止まって考え、「顧客」と「自分たちの提供価値」を定義し、競合サービスとの差別化ポイントを明確にすることから始めないと危ういです。

 この合意形成がチーム内でされて、初めて自身に足りないスキルが可視化されます。この工程を飛ばしてしまうと、管理職の意識だけが先行し、思い込みによる目的と手段がズレた研修を受けることになるのです。

原因2.研修素人が「期待値先行」で研修会社を探す

 VUCAの時代といわれる現在において半年以上の先を読むことは誰にもできません。したがって、個人的には「未来予想」などがタイトルに入る研修やセミナーは要注意だと考えています。研修やセミナーの知見が足りない研修素人が、未来予想というタイトルに期待を寄せてしまうことで、選定にズレを生じさせてしまうのです。

失敗に陥りやすい組織の三つの特徴

 では、どのような体制のマーケティング組織がこれら二つの失敗に陥りやすいのでしょうか? 私は次の三点が欠如している組織だと考えます。

1.戦略的なビジョン

 チーム全体の方向性やビジョンが不明瞭でそれらに基づいた戦略的な研修が実施されていない。特に急な組織変更や方針転換により構成されたチームは、方針や役割が不明瞭なことで、必要な研修の判断を見誤ってしまうことも少なくありません。

2.チーム内のコミュニケーション

 チームの目標や活動方針がメンバーに十分に共有されておらず、メンバー間で認識のずれがある場合です。研修の目的や内容、さらには、実務にどう活かされるかの説明・準備不足から、各メンバーは「やらされ感」を持ったまま研修に望んでしまうのです。

3.研修内容と実務の直接的な関連性

 研修内容が現場の実務と直結しない、または関連性が明確にされない場合です。メンバーは一律のスキルや経験があるわけではないので、研修内容がメンバーそれぞれに必要かの判断の必要性もあるでしょう。

“主旨ズレ研修”を未然に防ぐ三つのポイント

 ではマネージャーは、こういった主旨ズレ研修を防ぐために、具体的に何を意識したら良いのでしょうか?

 前提として「共創型研修」が理想であることを頭に入れておく必要があります。共創型研修とは、メンバーの多様性を理解し、それぞれのポテンシャルを発揮できる研修を指します。この研修を作るためには、三つのポイントがあります。

ポイント1.マネージャーに求められるのはチームメンバーとの目線合わせ

 マネージャーにとって重要なのは、研修の実施前に目的と目標を明確にし、それをメンバー全員と共有することです。また、研修内容の実務への活かされ方や具体的な事例を示すことで、メンバーが納得感を持って研修に臨めるようにすることも重要です。

ポイント2.研修内容を人事に相談する

 現場に裁量が与えられることは、柔軟で迅速に意思決定を可能にしますが、一方で全社的な視点や戦略的な視点で判断が欠けるリスクも抱えています。このバランスを取るために、人事部が持っている人材育成フレームワークや研修過去実績を入手し、研修で獲得したいスキルを構想の段階から相談することが重要です。

ポイント3.講師には実務の経験者をアサインする

 研修を実務未経験の講師に依頼した場合、教科書に載るような一般論にとどまってしまいがちです。一方、実務経験が豊富な人であれば、経験から得た知見や業務での成功・失敗の例を引き合いに出し、実践的な指導が可能になります。そのため、研修内容を業務にスムーズかつ即座に適用させるためには、実務経験が豊富な講師のアサインが必要不可欠です。

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実りある「共創型研修」を生み出す四つのステップ

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この記事の著者

髙岡 直人(タカオカ ナオト)

株式会社Growthing 代表取締役

29年間電通グループのプロモーション専業会社である株式会社電通テック(現:電通プロモーションプラス)で統合プロモーションのプランニングから実装まで数百件の案件に従事。大手メーカーのオウンドメディア立ち上げやPDCAサイクルの構築などの経験があり、前職での実績として、デジタルマーケティング...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/09/19 08:30 https://markezine.jp/article/detail/43411

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