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今知っておきたいマーケティング基礎知識

YouTubeマーケティングが丸わかり!基礎・戦略・成功事例まで徹底解説!

 全世界で毎日、数十億回の動画が再生され、日本での月間アクティブユーザーは7,000万人以上といわれるYouTube。世界で最も影響力がある動画プラットフォーム・YouTubeをマーケティングに活用したいと考えている企業も多いのではないでしょうか。YouTubeというと有名YouTuberを想像するかもしれませんが、自社商品・サービスの認知・販売やWebサイトへの誘導など、企業にとっても数々のメリットがあります。今回はYouTubeを使ったマーケティングに興味がある企業に向け、基礎から戦略、成功事例まで解説します。

YouTubeマーケティングとは

 YouTubeマーケティングとは、世界中で多くの人々が利用する動画プラットフォームYouTubeを活用したマーケティングです。具体的にはYouTubeで自社の商品・サービスや活動などを紹介したり、広告を配信したりすることです。動画の再生中に挟まれる商品・サービスのCMもYouTubeマーケティングにあたります。

 YouTubeは、毎月約20億人のユーザーに視聴されており、視聴されている言語は80ヵ国語以上に上ります。

 日本国内においてもYouTubeの市場規模は年々増加しており、インターネット利用ユーザーの8割はYouTubeの利用経験があるといわれているほどです。

 このような背景からマーケティング施策の1つとしてYouTubeを取り入れる企業は増えています。

企業がYouTubeマーケティングを行うべき理由

 現在、多くの企業でYouTubeマーケティングが注目されている理由を紹介します。

動画の需要が高い

 矢野経済研究所が発表した2021年度の動画コンテンツビジネス総市場規模(主要5市場計)に関する調査によると、売上は年々増加しており、伸び率も2018年度~2022年度まで100%を超えると好調な様子がわかります。

 好調の要因はスマートフォンやタブレットが広く普及し、時間や場所を問わず動画視聴が可能になり、利便性が著しく向上したことからでしょう。

出典:動画コンテンツビジネスに関する調査/株式会社矢野経済研究所
出典:動画コンテンツビジネスに関する調査/株式会社矢野経済研究所

※1 事業者売上高ベース

※2 動画コンテンツビジネス総市場規模は(1)動画制作サービス、(2)動画編集ソフト、(3)動画配信プラットフォーム、(4)ライブ配信アプリ、(5)アニメ制作の主要5市場の合算値

※3 過去に遡って動画編集ソフトの市場規模の見直しを行ったため、今回調査の総市場規模は過去公表値とは一部異なる

※4 2022年度は予測値

動画広告の市場が拡大している

 2022年に実施された国内動画広告の市場動向調査(※)によると、市場規模は昨年対比133.2%となる5,601億円を達成しました。この流れはまだ続くと思われ、2023年は7,209億円、2025年には1兆円を突破すると予想されています。

2022年国内動画広告の市場調査/株式会社サイバーエージェント

 今後、動画の需要はさらに高まり、それに伴い動画広告の市場も拡大するとみられています。これらの点から、YouTubeマーケティングは企業にとって積極的に取り組むべき施策といえます。

YouTubeマーケティングのメリット

 動画市場が順調に伸びている中、YouTubeマーケティングの導入は企業に様々なメリットをもたらします。どのようなメリットがあるのか詳しく解説します。

動画コンテンツは自社の資産になる

 自社商品・サービスの認知や集客を行う場合、広告出稿という方法もありますが、配信期間が終了すれば後に残るものはありません。しかし自社で制作したコンテンツはそれ自体が資産となり、企業の利益に貢献してくれます。

 動画コンテンツはマニュアルやFAQとしても利用できますし、社員研修やセミナーなど社内外のイベントを動画にすれば社内教育や広報にも活用できます。

効果的なターゲティングが可能

 YouTubeマーケティングは、運用によって得た情報を分析することで、クリック率や総再生数などの詳細なデータを取得できます。それらのデータを活用すればマーケティングの精度向上に繋げることが可能です。

広告配信は短期間で多数のユーザーに接触できる

 「YouTubeマーケティングの種類」で詳しく解説しますが、YouTubeマーケティングには広告運用という手法があります。YouTube広告の中でも、YouTubeホーム画面の最上部に表示される「マストヘッド広告」は、短期間で数多くのユーザーの目に触れるという点がメリットとして挙げられます。

他コンテンツへの導線になる

 YouTubeで配信した動画内で自社サイトやSNSに誘導する流れを作れば、それぞれの特徴を活かしてより多くのターゲットへのアプローチが可能です。

ブランディングに活用できる

 ブランディングを行うには、自社および自社商品・サービスに対して、多くの消費者に共通のポジティブな印象を抱いてもらう必要があります。しかし文章や画像、イラストなどでそのような印象を抱いてもらうのは簡単ではありません。

 その点、世界観や雰囲気が直感的に伝わりやすく、かつ一度に多くの情報を伝えられる動画は、ブランディングと非常に相性がいいといえます。

 YouTubeマーケティングは多くのメリットの一方、注意すべきデメリットも存在します。続いては知っておきたいデメリットについて説明します。

YouTubeマーケティングのデメリット

 YouTubeマーケティングを導入・実行する際に意識したいデメリットについて解説します。

知識が必要

 YouTubeマーケティングには動画の制作が欠かせないため、撮影や編集に関する知識のほか、使用するカメラやデザインソフトに関する知識なども必要です。また広告出稿やデータ分析など、YouTubeの運用についての知識も身につけていなければ、効果的なマーケティングは難しいでしょう。

動画の制作に手間がかかる

 動画は数本、制作して配信すれば終わりというわけではありません。継続して動画を制作・配信する必要があるため、手間や時間がかかります。業務が忙しく定期的な動画配信が難しい場合は、費用を割いて外注することも検討すべきでしょう。

炎上のリスクがある

 制作・配信した動画で不適切な発言や行動をしてしまった、あるいは他チャンネルの運用者や視聴者から批判されたなどの場合、炎上する恐れがあります。またYouTubeは拡散力が高いため、いったん炎上するとあっという間に広がってしまうものです。

 炎上を避けるには過激、または誤解を招きかねない発言をしないよう注意し、コンプライアンスにも意識します。かつ配信前に複数の関係者でチェックを行うようにしましょう。

 YouTubeマーケティングのメリット・デメリットに続いては、YouTubeマーケティングの種類について説明します。

YouTubeマーケティングの種類

 YouTubeマーケティングには、主に(1)自社でYouTubeチャンネルを運用する(2)YouTube広告を利用する(3)有名YouTuberやインフルエンサーを起用する などの種類があります。それぞれを詳しく説明します。

1.自社のYouTubeチャンネルで顧客を獲得する

 企業が自社のYouTubeチャンネルを開設・運用することで、以下のようなメリットが期待できます。

(1)新規顧客の獲得

 世界中に膨大な数の利用者がいるYouTubeで自社チャンネルを運用すれば、国内外の幅広い層に商品・サービスを紹介できます。

(2)商品・サービスの理解促進

 写真や文章より多くの情報を利用者に伝えられることが動画の特徴です。商品・サービスの使い方を実際に見せたり、メリットをわかりやすく伝えたりできるため、より深い商品・サービスの理解促進につなげられます。

(3)ファンの育成

 YouTubeではコメントや評価、チャンネル登録などの機能を使い、企業と利用者が双方向のコミュニケーションを取ることが可能です。利用者からのコメントに返信したり、評価を参考に利用者のニーズに合わせた動画を制作・配信したりすることで、自社チャンネルのファンを育成できるようになります。

(4)GoogleでのSEO効果

 詳しくは「YouTubeマーケティング成功のポイント」で解説しますが、YouTube動画はGoogle検索でも表示されます。そのためSEO効果も期待できるのです。

2.YouTube広告を利用して顧客を獲得する

 YouTubeに広告を出稿して利用者にアプローチする手法です。広告出稿には以下のようなメリットがあります。

ターゲットを絞った配信が可能

 YouTube動画広告はGoogle広告と連携しており、地域や性別、年齢、嗜好など細かいターゲット設定が可能です。届けたい利用者に効率よく広告配信できます。

自社サイトへ誘導できる

 例えば動画内にCTA(※)を設置し、自社サイトやLP(ランディングページ)へ誘導が可能です。利用者に資料請求・問い合わせ・購買などの行動を促します。

※「Call To Action(コール・トゥ・アクション)」の略で「行動喚起」の意味。動画におけるCTAには、動画内に貼ったリンクから自社サイトやイベント用の特設サイトへの誘導などがある。

利用者へのリマーケティング

 YouTube広告を視聴したユーザーリストを作成し、Google広告と関連させてリスティング広告・ディスプレイ広告を配信できます。

 続いてYouTube広告の種類と概要について紹介します。

(1)インストリーム広告

 YouTubeで配信されている動画枠内で配信される広告です。動画の前後または途中に挿入され、5秒にわたり再生された後、スキップ可能な広告と不可の広告の2種類があります。

【スキップ可能】

  • 5秒でスキップされれば料金が発生しないため、広告主にとってコストパフォーマンスがよい
  • スキップ不可な広告に比べ、利用者に与えるストレスが少ない

【スキップ不可】

  •  広告(15秒以内)をスキップできないため、最後まで視聴してもらえる
  •  スキップ可能な広告に比べ、利用者にストレスを与える恐れがある

(2)インフィード広告(旧・ディスカバリー広告)

 再生中のYouTube動画の右横に、関連動画などと合わせて表示される広告です。利用者がサムネイル画像をクリックしなければ再生は始まりません。利用者の能動的なアクションによって再生されるため、興味・関心のある利用者に対して効果的であること、かつ「わずらわしい」というネガティブな印象を与える恐れが少ないことが特徴です。

 過去には「ディスカバリー広告」と呼ばれていましたが、2021年に「インフィード広告」に名称が変更されました。

(3)バンパー広告

 動画の前後または途中に挿入される最長6秒間の広告ですが、スキップはできません。再生時間の短さから利用者への負担は少なめですが、魅力的な動画広告を制作すれば、視聴者の印象に残り高い効果を見込めるでしょう。

(4)マストヘッド広告

 YouTubeのホーム画面の最上部に表示される広告で、最大30秒の動画がミュート(音声なし)で自動再生されます。目立つ場所に表示されるため商品・サービスの認知向上に役立ちますが、ターゲット以外の利用者にも広告が表示される場合があり、効果が低下する恐れがあります。

(5)オーバーレイ広告

 YouTubeで動画を再生した10秒後に、動画の下部に重なるように(=オーバーレイ)表示されるバナー広告です。時間制限がなく利用者が好きな時に閉じられるため、ネガティブな印象を与えにくい広告といえます。

3.人気YouTuberを起用してファンを増やす

 多くのファンをもつ人気YouTuberやSNSのインフルエンサーに依頼し、商品・サービスを紹介してもらうことも、YouTubeマーケティングの手法の1つです。

 企業からの広告よりも、YouTuberやインフルエンサー商品・サービスを紹介した方が、視聴者は身近に感じやすいといわれています。そのため、アピールしたい商品・サービスと親和性が高いYouTuberに依頼すれば、高い効果が望めます。

 YouTubeマーケティングの詳細に続いて、YouTubeチャンネル開設の流れについて紹介します。

YouTubeチャンネル開設の流れ

 YouTubeマーケティングの概要の解説に続き、YouTubeマーケティングを始めるにあたって必須となるYouTubeチャンネル開設の流れを紹介します。

1.Googleアカウントの作成

 YouTubeはGoogleが提供するサービスのため、チャンネル開設にはGoogleアカウントが必要です。アカウントの作成は以下の手順で行いましょう。

  1. Googleトップページから「ログイン」を選択
  2. 「アカウントの作成」→「ビジネスの管理用」を選択
  3. 必要事項を入力
  4. 「プライバシーポリシー」「利用規約」に同意
  5. テキストまたは電話で通知されたコードを入力
  6. 確認されればアカウント作成完了

2.GoogleアカウントでYouTubeにログインする

 PCブラウザから、GoogleアカウントでYouTubeにログインします。

3.新しいYouTubeを作成

チャンネルの種類から「ブランドアカウント」を選定

 YouTubeチャンネルには、ログインしたGoogleアカウント名で作成される「デフォルトアカウント」と、独自の名前をつけられる「ブランドアカウント」があります。

 デフォルトアカウントの名前が、自社の商品・サービスとの関連があまりない場合、利用者に与える印象が薄くなる恐れがあります。企業がYouTubeマーケティングを行う場合、チャンネル作成時にはブランドアカウントを選び、自社の商品・サービスと結び付けやすい名前で登録することをおすすめします。

 またブランドアカウントは自社商品・サービスと関連付けた名前をつけられる上、複数のアカウント作成や複数人での共同運営が可能になるというメリットもあります。

ブランドアカウントを作成する

 以下の手順に沿ってブランドアカウントを作成します。

  1. 作成済のデフォルトアカウントでYouTubeチャンネルにログイン
  2. 画面右上にあるプロフィール画像→設定をクリック
  3. 「新しいチャンネルを作成する」をクリック
  4. 自社の商品・サービスと関連させたチャンネル名を入力し、「作成」ボタンをクリック
  5. 「動画をアップロードしてください」と表示されれば作成完了

 上記が完了した時点で動画投稿が可能ですが、チャンネルをカスタマイズすれば、自社商品・サービスの認知度アップにつながります。

4.カスタマイズ項目の設定

チャンネル名

 自社の商品・サービスの内容が利用者に伝わりやすいチャンネル名をつけましょう。

  1. YouTubeチャンネルのホーム画面から「チャンネルをカスタマイズ」をクリック
  2. チャンネル名の右横にあるペンのマークをクリック
  3. チャンネル名を変更

チャンネルの説明

 利用者にチャンネルについて理解してもらうため、チャンネルの概要や配信している動画の説明を記載します。

 また海外にも商品・サービスをアピールしたい場合は、「説明」の下にある「言語を追加」から元の言語(日本語)と翻訳言語を選択すると、チャンネル名と説明が自動で翻訳されます。

リンクの追加

 配信した動画から自社サイトやSNSに利用者を誘導するため、リンクを追加します。

  1. 「リンク」の下のフォームにリンクタイトルとURLを記入
  2. 「リンクを追加」をクリック

連絡先情報

 問い合わせ先のメールアドレスを記入・登録します。登録アドレスはYouTubeチャンネルの概要欄に表示されます。

ブランディングの設定

 YouTubeチャンネルのホーム画面上部にある「ブランディング」では、プロフィール画像やバナー画像を設定できます。企業や商品・サービスのイメージが利用者に伝わりやすく、かつ興味・関心をひきやすい画像を設定しましょう。

  1. YouTubeチャンネルのホーム画面から「ブランディング」をクリック
  2. 「写真」→「アップロード」を選択
  3. パソコン内にある適切な画像を選択して「完了」をクリック

 YouTubeチャンネルの開設とカスタマイズが完了したら、いよいよ動画を制作・配信していきますが、どんな動画を制作すべきか悩む方も多いのではないでしょうか。

 そこで、続いてYouTube動画でよく使われる5つのパターンについて解説します。ぜひ動画制作の参考にしてください。

YouTube動画の5パターン

 YouTubeでよく見られる動画には、商品・サービスの詳しい紹介や使い方・内容の解説、イベント、ユーザーの感想やコメント、YouTubeライブなどがあります。それぞれについて説明します。

1.自社の商品・サービスの紹介

 文章や写真より効率的に、多くの情報を伝えられる動画は、商品・サービス紹介において非常に効果的です。

 商品・サービス紹介動画のパターンの1つに、ブランドイメージに特化したものがあります。いわゆる世界観のアピールに優れ、商品・サービスがある程度、浸透しているケースで用いられることが多いです。住宅や高級車など単価が高く、長期的なスパンで利用者のアクションを期待する商品・サービスでも利用されます。

 その他、機能をわかりやすく見せる動画もよく見られるパターンです。あまり認知度が高くなかったり、使い方をイメージするのが難しかったりする商品・サービスの紹介に適しています。

 また商品・サービスを実際に利用した人にインタビューした、ドキュメンタリー風の動画も人気があります。ユーザー目線で商品・サービスのメリットを伝えやすく、かつ視聴者の共感を得やすい点が特徴です。

2.解説・チュートリアル動画

 解説・チュートリアル動画とは、マニュアルや説明書を動画にしたものです。解説・チュートリアル動画を制作する際は、他のパターンよりさらに「わかりやすさ」を最優先し、簡潔にまとめることです。

 そのためには動画全体を5分程度にまとめる、重要な場面にはテロップを入れる、ナレーションは聞き取りやすさを重視する、商品を操作する際はわかりやすい動作と速さで見せる、必要に応じてアップにするなどの工夫を意識しましょう。

3.イベント動画

 YouTubeチャンネルでイベントに関する動画を配信する場合、終了したイベントの録画を紹介する方法と、開催予定のイベントに関する告知を動画で紹介する方法があります。

 終了したイベントについては、例えば展示会やセミナー、交流会などの社外イベント、あるいは社内イベントの録画を編集し、コンテンツとしてYouTubeチャンネルに配信します。会場が遠いなどの理由で当日、参加できなかった人にもイベントの様子が伝わり、企業や商品・サービスなどへの理解が深まることが期待できます。企業風土がわかるコンテンツとして、採用サイトへの利用もできるでしょう。

 また開催予定のイベント告知や案内に、紙の広告物ではなく動画を使えば、印刷代や配送費用などのコストカットに繋がります。

4.ユーザーからの感想・コメント

 商品・サービスを実際に購入・使用したユーザーの感想やコメントを動画で紹介します。注意したいのは、ユーザーの感想やコメントを淡々とナレーションで紹介するだけの動画にしないこと、広告臭が強くならないよう適切な長さで収めることです。

 イラストやアニメーション、テロップなどを使って動画にメリハリをつけたり、1分程度の動画にまとめたりするよう意識しましょう。

5.YouTubeライブ

 チャンネル上でライブ配信を行える「YouTubeライブ」。人気YouTuberが行っている印象が強いYouTubeライブですが、企業が活用する事例も増えてきました。

 YouTubeライブに向いているコンテンツとしては、展示会やセミナーなどの商品・サービス紹介、または社員研修や企業説明会など社内教育を目的としたイベントです。

 利用するにはYouTubeからパートナーとして承認してもらう必要がありますが、基本的にコミュニティガイドラインや利用規約に準拠し、違反コンテンツがなければ認証されます。

 YouTubeマーケティング導入後は、効果測定やマーケティング手法の改善を行う必要があります。次は、YouTubeマーケティングに活用できる、便利な分析ツールについて紹介します。

YouTubeマーケティングに活用できる分析ツール

 手間と時間をかけてYouTubeチャンネルに動画をアップしても、再生回数が少なければ効果は望めません。多くの視聴者を獲得するために欠かせないのが、制作・配信した動画を分析し動画のレベルをアップさせて、YouTubeマーケティングに活かすことです。

 ここでは動画の分析に役立つ、無料で使えるおすすめのツールを紹介します。

YouTubeアナリティクス

 Googleが提供する公式ツール「YouTube Studio」の機能の一部がYouTubeアナリティクスです。

 チャンネル全体の設定やカスタマイズ、コメント管理などに対応するYouTube Studioの機能の中で、YouTubeアナリティクスは以下の確認に利用できます。

  • 視聴回数
  • クリック率
  • ユーザー層
  • 総再生数
  • 視聴者分布
  • 視聴者維持率(視聴者が動画をどれくらい見続けたかを表す指標) など

NoxInfluencer(ノックスインフルエンサー)

 有料プランがありますが、無料でも利用できます。NoxInfluencerの大きな特徴は、自社はもちろん競合チャンネルのデータをチェックできることです。

 この競合調査は無料プランで利用できるのが嬉しいポイント。人気があるチャンネルの傾向を確認し、自社の企画や動画制作に活かしていきましょう。

  • 競合チャンネルの分析
  • 日付ごとのチャンネル登録数の変化
  • 日付ごとの再生回数
  • 広告の推定収益
  • チャンネル登録数のランキング など

YouTube Keyword Tool

 YouTubeに特化したキーワード分析ツールです。WEBサイトのトップページから、検索ボリューム順に関連キーワードを確認できます。動画にSEO対策を施す場合に利用しましょう。

 無料プランでも、関連キーワードの提案や検索ボリュームを上位100位まで確認できます。

 YouTubeマーケティングの概要からメリット・デメリット、導入の手順や必要な要素などについて解説してきました。

 ここからは、YouTubeマーケティングで成功するためのポイントをみていきましょう。

YouTubeマーケティング成功のポイント

 YouTubeマーケティングで成功するための5つのポイントを紹介します。

YouTubeの仕組みとマーケティング戦略の理解

 まずマーケティングを行う「場」であるYouTubeの仕組み、およびマーケティング戦略を理解することが重要です。例えばターゲット設定やKPI設定、SEO対策などを行い、PDCAサイクルを回して登録者数を増加させ、マーケティング効果を高めていきます。

ターゲットや目的の明確化(集客、商品販促など)

 多くのマーケティング手法と同様に、YouTubeマーケティングもターゲットと目的の明確化は欠かせません。

 ターゲットを明確にするには、自社の商品・サービスをどんな層にアピールしたいのか、あるいはどんな層にニーズがあるのかをはっきりさせることから始めるとよいでしょう。

 また目的の明確化については、「自社のYouTubeチャンネルで動画を視聴した後、ターゲットにどんな行動を取ってほしいか」を軸に考えます。商品・サービスの購入なのか、自社のファンになってほしいのかなど、最終的に起こしてほしいアクションを明らかにすれば、制作すべき動画の内容や選定すべき広告手法などが定まってくるはずです。

目的別のKPI設定

 効果的なYouTubeマーケティングを行うにはKPI設定が重要ですが、目的に応じて異なるため注意しましょう。主な目的とKPIを以下にまとめました。

【YouTubeマーケティングの目的とKPI】

 目的達成に最適なKPIを設定し、YouTubeマーケティングを成功させましょう。

PDCAを常に行う

 PDCAサイクルによる施策の改善や動画の品質向上は、他の業務と同様、YouTubeマーケティングでも必須のアクションです。

 YouTubeマーケティングでPDCAサイクルを回す際は、以下の手順で進めるとよいでしょう。

(1)Plan(計画):YouTubeチャンネルのコンセプトおよびKPIの決定

 コンセプトを決定する際は、売りたい商品・サービスやターゲット設定、伝えたい内容・イメージ、訴求方法などの要素から考えると決めやすいでしょう。

 またKPI決定については「目的別のKPI設定」の表を参考に、達成したい目的に応じたものを選んでください。

(2)Do(実行):動画の制作・チャンネル投稿

 「P」で決定したコンセプトに応じた動画を制作し、投稿していくフェーズです。この段階ではコツコツと動画の撮影・投稿を続けることが大切です。時間がない、人材がいないなどの理由で自社での制作が進まない場合、予算に余裕があればアウトソーシングも検討してみましょう。

(3)Check(分析):投稿した動画の分析

 動画のクリック率や視聴者維持率、コンバージョン率などをチェックします。

(4)Action(改善):現在の施策の改善を行う

 動画の分析結果から目標達成や次サイクルに向けた改善を行い、計画段階に戻ります。

YouTubeアナリティクスを活用する

 動画の分析にあたって、YouTubeアナリティクスをはじめとする分析ツールの活用は有効な手段です。上記で説明したようにPDCAサイクルを回してマーケティング施策を改善する際に非常に重要です。無料で使えるツールが多いため、積極的に取り入れてみてください。

動画に必要な施策を行う

 YouTubeマーケティングを成功させるには、投稿する動画そのものへの施策も必要です。

SEO対策

 YouTubeに配信されている動画について、Googleが「他のWEBサイトよりも有益でユーザーにとって役立つ」と判断した場合、Google検索の結果にも表示されることがわかっています 。

 そのため動画に対してSEO対策をしっかり行えば、YouTubeに加えGoogle検索からの流入も狙えます。

タイトル・サムネイル・紹介文でCTRを最大化する

 YouTubeでCTR(動画のサムネイルが表示された時、視聴者にクリックされた回数)が低いと再生回数が増えず、マーケティングの効果は上がりません。つまりYouTubeマーケティングにおいて、CTRの最大化は大きな要素ということです。

 CTRを最大化するには、動画のタイトルやサムネイル画像(動画一覧の画面などで良く表示される小さいサイズの画像)、動画の紹介文などを見直し、ターゲット層の興味や関心を引きやすい表現にすることが必要です。

 最後に、YouTubeマーケティングを行った企業の成功事例を紹介します。

YouTubeマーケティングの成功事例

 YouTubeマーケティングに成功している企業は、どのような施策を行っているのでしょうか。ここではYouTubeマーケティングの成功事例として、6社の例を紹介します。

北欧、暮らしの道具店

 同名のオンラインショップを運営する「北欧、暮らしの道具店」は、2011年10月にYouTubeチャンネルを開設。2022年1月に登録者数50万人を突破し、同年11月には総再生回数が1億回を超えました。

 同社のYouTubeチャンネルの特徴は「オリジナルドラマ」「ドキュメンタリー」「Vlog(※)」など、カテゴリごとにシリーズ展開をしていることです。シリーズ化によって企画のクオリティが安定し、エンタテインメント性を楽しみにチャンネル登録をするユーザーが増え続けています。

 動画に商品を自然に登場させ、ECサイトへ誘導すると共に、他シリーズの動画を訴求するという流れを生み出しました。

※Vlog(ブイログ):Video blogの略でブログの動画版

Coke ON ×YouTuber

 日本コカ・コーラ株式会社は自動販売機連動型アプリ「Coke ON」を提供し、有名YouTuberとコラボレーションすることで、YouTubeマーケティングを成功させました。

 「Coke ON」アプリをダウンロードした利用者は、対応する自販機で飲料を購入するごとにスタンプを受け取り、15個集めれば飲料1本と交換できるシステムです。

 同社はこのアプリの認知に「はじめしゃちょー」や「HIKAKIN」などの有名YouTuberとコラボ。その効果は絶大で、「Coke ON」はアプリ総合ダウンロードランキングで142位から最高6位までアップしました。

 トップレベルの人気を誇るYouTuberとのコラボは大企業ならではですが、中小企業の場合でも、知名度はそれほどでなくても自社商品・サービスと親和性が高そうなYouTuberとコラボすれば効果が期待できるでしょう。

エイベックス

 安室奈美恵やglobeなど多くの有名アーティストを輩出してきた芸能プロダクション・エイベックス株式会社。YouTube公式アカウントは2008年に開設されており、所属アーティストのミュージックビデオや関連動画などを配信しています。

 同社のYouTubeマーケティングの特徴は、新曲のPRに動画を利用していることです。新曲のミュージックビデオの一部のみを配信し、ダンス・パフォーマンスに定評のある所属アーティストの魅力を活かして、視聴者の購買意欲をかき立てる戦略を展開しています。

KDDI

 稲森和夫氏を創業者とする電気通信事業者のKDDI株式会社。携帯電話事業ではauブランドを提供しており、人気俳優やタレントを起用して桃太郎・浦島太郎・金太郎が登場する「三太郎」シリーズが人気を集めています。

 企業YouTubeアカウントでも三太郎の動画コンテンツを配信。基本的にキャンペーンやサービスなどのPRを目的としていますが、内容の面白さから楽しみにしているファンも多く、宣伝のわずらわしさを感じさせにくい点が成功のポイントといえるでしょう。

バンダイ

 株式会社バンダイは、キャラクターなどの知的財産を軸に、玩具やカード、アパレル、生活用品など幅広い領域で事業を展開しています。バンダイのYouTubeチャンネルは、2022年7月時点で約99万人のチャンネル登録者数を誇っています。

 バンダイのYouTubeチャンネルでは、有名YouTuberの「はじめしゃちょー」を筆頭に、様々な人気クリエイターが次々と登場。特に、小学生に大人気の「はじめしゃちょー」はバンダイの商品・サービスと親和性が非常に高く、商品・サービスと企業の認知拡大、ファンの増加を実現しています。

ルイ・ヴィトン

 ファッションやジュエリー、香水など様々なカテゴリで多くのブランドを有するルイ・ヴィトン。同社のYouTubeチャンネルでは、職人が工場でバッグや靴などのアイテムを作っている様子を紹介する動画が人気を集めています。

 関係者しか入れない制作の現場を見られること、丁寧な手作業や職人のこだわりを目にするなどの疑似体験によって、ブランディングやファンの獲得に成功しています。また同社は韓国出身の世界的アーティスト「BTS」をモデルに起用するなど、コラボレーションにも積極的です。

まとめ

 世界中で多くの人に利用されている動画プラットフォームYouTubeは、商品・サービスや企業の認知、ファンの育成、ブランディングなどの実現に効果的です。動画コンテンツの需要・市場は今後さらに拡大し、YouTubeマーケティングの重要性はますます高まることでしょう。

 YouTubeマーケティングには自社でYouTubeチャンネルを運用する、YouTube広告を利用する、有名YouTuber・インフルエンサーを起用するという3つの方法があります。

 YouTubeマーケティングの導入を検討している、または導入したいけれど方法がわからないという方は、当記事を参考にぜひ取り組んでみてください。

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マーケ研究所(マーケケンキュウジョ)

 マーケティングに関する情報を調べ、まとめて届けています。

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2024/03/17 07:00 https://markezine.jp/article/detail/43504

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