深津さん、AIのこと教えて下さい!
深津:今日のテーマは何でしたっけ?
藤平:ざっくりと、「AI」です。AIがクリエイティブワーク全般に与える可能性って話なんですけど、僕まだあまりAIをちゃんと使えていなくて。一緒にお仕事をしていても、深津さんはAIをすごい使い倒されている印象があるので、勉強させていただきたいなと。
深津:博報堂は(クリエイティブワークの現場では)、そんなに(AIに)手を出してないんですか?
藤平:そうですね。会社としては色々取り組んでいるのですが、今の時点で、僕自身がクリエイティブワークにAIを入れられているなと思うのは、英訳くらいです。海外の広告賞のケースドキュメントをAIに流し込んで、サマリーして和訳をもらえるのは便利です。すごい時代です。
深津:なるほど、それはどちらかというとBeagle GPTのほうですね。一番王道のAIの使い方だと思います。
藤平:まだ企画や戦略のインプット(下ごしらえ)の省略に使う程度で留まっています。
深津:基本は(AIを使うというのは)そういうことだと思いますけどね。
藤平:それ以外のフェーズでAI×クリエイティブで何ができるのか、もしくはもっと高度にAIと共存できるのか。深津さんが見ている景色をお聞きしたいなと思っています。
チャリとフェラーリの差?ChatGPT4は、何がそんなにすごいのか
藤平:そもそもなんですが、いま僕が使っている3.5くらいのチャットボットであるChatGPTに比べて、ChatGPT4は何がそんなにすごいんですか?
深津:感覚的には、チャリとフェラーリくらい性能が違います。
藤平:え、3.5と4でそんなに差があるんですか? 3.5は英文を瞬時に和訳&サマリーしてくれるとか、人物の画像を読み込ませたら色々なパターンをすぐに生成してくれるみたいな“下ごしらえ”で使っていましたが、それはチャリレベルということですか?! たった0.5バージョンの差でそんなに変わるんですね。
深津:うん、iPhoneとGPT4どっち手放すってなったら、僕は今ならiPhoneを手離すかな。
藤平:!! 深津さんがそこまで言い切るのは結構なことですね。一番の差は何なんでしょうか?
深津:シンプルに、頭が良くなっているんです。
藤平:僕は広告コミュニケーションやサービス開発などをリードするクリエイティブワークが多いので、あえてこういう言い方をしてみると、「頭がすごく良いこと」と「クリエイティブであること」は、また別な気がするのですが、そこはどうなんでしょうか。
深津:(能力として考えると)頭が良くなると、クリエイティブも良くなる。たとえば、頭が良くなると、単純に複雑なタスクをこなせるようになりますよね。
藤平:なるほど、それはたしかにそうですね。どうも「AIには非連続なクリエイティブワークはできない(であってほしい)」という願望まじりの見方をしがちな気がしているが、そんなこと言っている場合じゃねぇ、と。