ガートナージャパン(以下、Gartner)は、「生成AIのハイプ・サイクル:2023年」を発表。2026年までに80%以上の企業が生成AIのAPIやモデルを使用して、生成AIに対応したアプリケーションを本稼働環境に展開するようになるとの見解を示した。
ハイプ・サイクルとは、イノベーションが過度にもてはやされる期間を経て幻滅期を迎え、最終的に市場や分野でその重要性・役割が理解され進化する共通のパターンを描いたもの。
同社は、10年以内に組織に大きなインパクトをおよぼすと予測される3つのイノベーションとして「生成AI対応アプリケーション」「ファウンデーション・モデル」「AI TRiSM(AIのトラスト/リスク/セキュリティ・マネジメント)」を挙げた。
生成AI対応アプリケーションは、ユーザー・エクスペリエンス(UX)とタスク拡張のために生成AIを使用し、ユーザーが目指す成果の達成を加速および支援するもの。一方でこうしたアプリケーションには、ハルシネーション(もっともらしいが誤った回答を返すこと)や不正確さといった障壁が依然として存在し、インパクトや導入の拡大が抑制される可能性がある。
ファウンデーション・モデルは、大規模な事前にトレーニングされたモデルだ。従業員の生産性向上、カスタマー・エクスペリエンスの自動化/強化、コスト効率に優れた方法での新プロダクト/サービスの創出を可能にすることで、企業内のデジタル・トランスフォーメーションを促進する。
同ハイプ・サイクルの「過度な期待」のピーク期にファウンデーション・モデルは位置している。2027年までに自然言語処理(NLP)のユースケースの60%を支えるようになると同社は予測。これは2021年の5%未満からの大幅な増加となる。
AI TRiSMは、AIモデルのガバナンス、信頼性(トラスト)、公平性、確実性、堅牢性、有効性、データ保護を確保するフレームワークだ。モデルの解釈可能性と説明可能性、データとコンテンツの異常検知、AIデータ保護、モデル運用、攻撃に対する敵対的抵抗のためのソリューション、テクニック、プロセスが含まれている。
首尾一貫したAIリスク・マネジメントを行っていない組織は、プロジェクトの失敗や侵害といった弊害を被る傾向が格段に高まるため、責任あるAIを提供するためのフレームワークであるAI TRiSMは、2~5年以内に主流の採用に達すると予測されている。
またAIの透明性/信頼性/セキュリティを継続的に実現する組織は、採用やビジネス目標、ユーザーの受け入れに関して、2026年までにAIモデルが導き出す結果の50%を改善できることも同社は示した。
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